35mmネガフィルムを元に、銀塩プリントとサイアノタイプ・プリントを出来上がりを比較してみた。
元となるフィルムはノルマンディ・オンフルール=バトゥ(Honfleur Bateau)の景色(1953年撮影)。
半世紀以上前の風景だが今もその通り残っているようだ。このネガフィルムはフランスのeBayでスリーブとして出品されていたものを落札購入した。フィルムを見て気づいたのだが、フィルムベースが厚い。そしてこの時代の特徴だが、銀塩が多い。従って、アナログ方式の焼き付けには最適だと判る。
(銀塩プリント)
さて、サイアノタイプではどうなるか?NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で焼き付けた(絞り開放)。
(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)
六時間焼き付けではあるが、十五分おきに電源を入切するタイマーで焼いてその時間ということは、実質は三時間の焼き付けということになる。もう少し長く焼いた方が色目が出たかもしれない。情報の表現力としては銀塩プリントに及ぶまでもないが、富士フィルムが市場から用材などを引き上げると発表したアナログ銀塩プリントの将来を考えると、代替手段として最も敷居が低く且つ本稿で紹介しているUV LEDを光源とすれば、引き伸ばし機も使い続けることが可能ということからも、サイアノタイプをその目的で研究する価値はあると思う。
押入れなどに放置されたフィルムを仕掛けて、紙に焼いてみせるとあっと誰もが驚く。手品のように見えるのだろう。デジタル社会だからこそ、アナログの工程は新鮮に見えるようだ。サイアノタイプの感光性の低さというデメリットは実はUV LEDを組み合わせることで、暗室不要の引き伸ばし機の活用法として見直しても良いのではないかと個人的には思う。この時代、アナログの引き伸ばし機のメカニックな外観はそれを見たことのないデジタル世代には新鮮なようだ。折角の外観だからこそ、暗室に閉じ込めるよりも、明るいところで焼き付けの過程を眺められる方が良いのではないだろうか?暗室不要な引き伸ばし機なら、使ってみたいと思う人がいるだろう。ヤフオクなどで廃物同然で売られている古い引き伸ばし機も本稿で紹介のサイアノタイプ・プリントなら将来的に活用可能と考え、興味のありそうな向きには紹介しているところだ。
乾板もいくつか所有しているので(拙稿「乾板写真の美」「乾板写真の美(続き)」)、近々、引き伸ばし機でのサイアノタイププリントを試みたい。
写真乾板を蒐集され、引き伸ばし機とともにその活用を社会啓蒙されている「名張古寫眞調査保存研究会 @nabakosya 」のブログは必見。乾板用のハンザの引き伸ばし機は個人的に大変興味を引いた。
(おわり)
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