2018年06月20日

サイアノタイプ - その36(引き伸ばし機)



中華製のUV LED球(砲弾型) 100個(冷却フィン・ファンを組み込んだもの)を光源に引き伸ばし機でサイアノタイプ・プリントを行ってきたが、ここ数日、顕著に光が弱くなってきた。六時間程度で焼きあがったのがそれ以上時間を要するようになった。元はアマゾンで二、三千円程度で売られているUV 懐中電灯(ブラックライト)なので(UV LEDユニットだけ利用)、これで一ヶ月プリントが楽しめるのならタバコ代と思えばまぁ許容できる出費だろう(私はタバコは吸わないが)。しかし、やはり非効率でもあるし省資源でもない。近日、米国から届く予定の電球型のローパワーの観葉植物のUV照射用(UV LED球(砲弾型) 60個使用)に期待したい。

弱くなった光で半日かけて焼いてみた(タイマーで電源管理)。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing


積丹・美国の夏景色・子供たちが海辺で遊んでいる(1957年7月撮影/NeoPanSS 120フィルム)。NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で引き伸ばした(絞りは開放)。印画紙に用いたのはvif Art (B5 H.P. surface) paper。水洗・オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニングした。元のネガフィルムに記録されている情報をそのままサイアノタイプで再現すればこの辺りまで狙うことができる。再現(コピー)よりも再構成/創作を目的とするデジタルネガとコンタクトプリンタとは方向性が異なる。本稿のプリントはその意味では面白くはない。しかし、近い将来、銀塩印画紙が手に入らなくなれば、引き伸ばし機で印画紙に焼き付けるというアナログ写真のアナログたる最後の工程が消えることになる。市販されていると同じ銀塩印画紙を個人が作成するのは不可能だろう。その代替として個人レベルで作成可能な印画紙はいくつか種類がある(超古典的なアルビューメンプリントやプラチナプリントなど)。薬剤の調合やら前後処理の工程の複雑さなどを考えると、もっとも敷居が低いのがサイアノタイプということだろう。

アナログたる最後の工程とは、デジタル処理を介在させないこと、つまりパソコンで情報を加工しデジタルネガを作らず、オリジナルのアナログフィルムを引き伸ばし機で焼くことである。サイアノタイプの極めて低い感光性から不可能とされてきたこの工程もUV LEDを光源とすれば可能となる。暗室も要らない。焼き上がりの過程を部屋の明かりの下で視認できる。焼き付けるのに数時間かかるが私のスローライフな趣味時間にはむしろ忙しくなくて良い。その間、他の趣味に時間を充てることができる。これが本稿のテーマである。

スキャン(EPSON GT-X980)した画像でしか紹介できないが、やはり紙の実物で鑑賞すべきものなのだろうと思う程、リアリティは紙の方が優れる。

(おわり)

追記:
「米国から届く予定の電球型のローパワーの観葉植物のUV照射用(UV LED球(砲弾型) 60個使用)に期待したい。」と書いて、その品物が届いた。
さっそく引き伸ばし機のライトハウスに組み込んで焼き付けを試したものの、さっぱり印画紙が感光せず。つまり、感光に必要な紫外線がない。観葉植物用だが念のためセラーに目的を知らせて大丈夫だとの返事で購入したのだが・・。また無駄に費用をかけて勉強したことになる。一応セラーに駄目だったことを知らせた。返金などしないだろうが。
仕方なく、またアマゾンに上述の中華製UV LED 懐中電灯(ブラックライト)を一つ注文した。紫外線防護用のメガネ(おまけ)が一組み増えてしまうが(これで三組目)、このメガネ、おまけにしてはしっかりした出来なので気に入っている(メガネ単体でも売れそうだ)。さて、印画紙とフィルムを引き伸ばし機にかけたままなので、ついでとばかりに光が弱くなった中華製UV LEDを再度引っ張り出した。もうダメかと思ったら不思議なもので少し明るさが戻っている。印画紙もすぐに感光し始めた。交換させられると思って頑張っているのかもしれない。

posted by ihagee at 04:09| サイアノタイプ