2018年06月17日

サイアノタイプ - その35(引き伸ばし機)



中華製のUV LED球(砲弾型) 100個(冷却フィン・ファンを組み込んだもの)を光源に引き伸ばし機でサイアノタイプ・プリントを再開し、楽しくなってついつい使いすぎたのか、やはりLEDの光が弱くなってきた。紫外線が弱いと出来上がりも色合いが薄くなる。補うためにジャスミン茶でトーニング。

近々、電球型のローパワーの観葉植物のUV照射用(UV LED球(砲弾型) 60個使用)が米国から届く予定なのでそれまではなんとか頑張って欲しい。

サイアノタイプ・プリントに最適だと私個人は大変気に入っている vif Art (B5 H.P. surface)に薬剤を塗布するのだが、湿気の多い日は塗りやすい。化粧と同じなのだろうか(したことがないのでわからないが)?梅雨の時期は最適なのかもしれない。

さて、結果は以下の通り。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(拙稿「Voigtländer Superb 顛末記 - その10」の武蔵丘陵森林公園のフィルム写真をプリント・NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け、水洗後オキシドール浴後、ジャスミン茶でトーニング)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(同上)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(拙稿「Rolleiflex SL66・Kodak TRI-X 400・Carl Zeiss S-Planar (1:5.6 f=120mm)」の羽田沖・城南島海浜公園のフィルム写真をプリント・NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け、水洗後オキシドール浴後、ジャスミン茶でトーニング)

Cyanotype print made by a conventional contact printer

(同上。ただし、プリントはデジタルネガとコンタクトプリンタ+太陽光による従来の方法によるプリント)

従来のコンタクトプリンタによるプリントと引き伸ばし機によるプリントを同じ写真を使って(前者はデジタルネガ、後者はアナログネガ)比較してみた。

Contact print vs. Enlarger print


強烈な太陽光の下で二、三分で焼きあがるプリントでは微妙なコントラストはコントロールできない(私の技術では)。従って、あらかじめデジタルネガでは明暗を強調し情報を間引いておく(パソコン上でのデジタル処理)。結果は赤外線写真のようにかなりおどろおどろしくなる。インクジェットプリンタと版下となるフィルムの物理的制約が元の画像データの情報を再現するには足らないのかもしれない。

他方、オリジナルのネガフィルムを使い、引き伸ばし機で長時間かけてゆっくり焼く本稿のプリントは一切情報に手を加えないので、微妙なコントラストも表現できる。サイアノの感光剤としての限界を試すことができる。

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羽田沖・城南島海浜公園が気に入って、重いRolleiflex SL66で撮影していたが、やはり持ち歩くのに苦労だと、二眼レフのVoigtländer Superbでその後は撮っている。クローズアップレンズ(Voigtländer W/w FOCAR 30)で朽木を撮影したネガフィルムを使ってプリントした。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(拙稿「Voigtländer Superb 顛末記 - その18」でのフィルム写真をプリント・NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け、水洗後オキシドール浴後、ジャスミン茶でトーニング)

二眼レフはVoigtländer Superbの他にフレクサレットIV(Flexaret IV)を所有しているが、こちらは出番が少ない。80mmのBelarは描写に雰囲気はあるが逆光に弱くシャープさに少しかける。Voigtländer SuperbのSkopar 75mm F/3.5は85年も前のレンズなのにそういう弱さが一切ない。

老体のVoigtländer Superbばかり使うのも気の毒なので、フレクサレットIV(Flexaret IV)はスナップ撮影的に使っている。以下はそのフレクサレットIV(Flexaret IV)で撮影したフィルムを使ってプリントした。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(拙稿「Flexaret IV - 薔薇の花束ほか(モノクローム)」でのフィルム写真をプリント・NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け、水洗後オキシドール浴後、ジャスミン茶でトーニング)

元の写真もBelarの柔らかさが現れていたが、プリントでも確認できる。なかなか良い出来だ。

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最後の一枚は昨年惜しくも閉園した群馬県赤城高原にある赤城クローネンベルク(クローネンベルクドイツ村)の閉園間際の園内をTenax 1にKodak T-MAX 400フィルム(モノクローム)を詰めて撮影した一枚からプリント。35mmのスクエア(24x24mm)を引き伸ばし機で印画紙いっぱいに広げてプリントした。このあたりからUV LED光源が弱くなってきた。仕上がりは淡い感じとなった。柵の上に落ちていた枯葉を撮影。この柵の内側で客待ちの老いたポニーが草を食んでいた。撮影を終えてこの場所に戻っても私以外誰一人客はいない。このまま誰も乗せることなく静かに園と共に引退するのだろうかと、少しノスタルジックな気分になったことを思い出した。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(拙稿「招き猫の誘惑(Tenax 1)その7」でのフィルム写真をプリント・NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け、水洗後オキシドール浴後、ジャスミン茶でトーニング)

(おわり)
posted by ihagee at 18:45| サイアノタイプ