2018年06月12日

立ち位置を知ること(続き)



YOUは何しに日本へ?(テレビ東京)を家人が熱心に観ている。
「いい加減にしたら」と言った。何しに国際社会に?じゃないのか。国際社会での多様な人々の交流は立ち位置が必ずしもこちらにあるわけではない。世界の中でわれわれと考え方が異なる人々の方が圧倒的に多い。その側を見ずに日本という立ち位置をフィルターにそこを潜って挨拶にくる人々ばかりを見続けることは思考が内向きになる。この国が世界の真ん中にあると錯覚する。バラエティー番組は子供たちも観る。だからこそ、そのようなフィルターは外さなくてはダメだ。

日本という国は、内側から見る場合と外側から見られる場合で立ち位置が大きく異なる(拙稿「立ち位置を知ること」)。

外側から見ると我々が理解していると全く異なる日本という国の姿が判る。
国境なき記者団、国連・表現の自由調査官、世界報道自由ランキングなど、外側から見たこの国の異なる姿がある。これらはそう見られては困る者(官邸)が悉く水際で遮断してきた。最近では副総理の前時代的感覚ばかりか、行政・官僚が嘘をつく国家、もう民主的国家ではないわが国、行政府の長が嘘の本源・膿の親ぶりまでが、海外でも知られるようになり、この国の積み上げてきた国際社会でのイメージや信用が失墜している。

外交(政治)の場面でも、国内でマスコミが伝えれば常に日本がその場の中心に居るが、海外の報道ではそうではない。なぜならば、少なくともその政治が信用されていないからだ。政権維持という内政(内向き)の口実・アリバイづくり(やってます感)に利用する外交の底の浅さに、うんざりしているのだろう。地球儀を俯瞰する外交といいながら、回数ばかりで、実質「何しにその国へ?」はさっぱり知れない。否、「何しに?」は一部の人たちにははっきりしているのだが秘密主義で蓋をしなければならない内情がある。この辺りはモリカケスパと共通している。

開発資金を貸し付ける円借款が、貸し付け先の人道援助や医療・教育施設などの社会インフラ整備よりも、空港・港湾・ダムなどの経済インフラ整備に比重が多く占められており、その経済インフラ整備に於いて、貸し付け先の国での日本の大企業の発注比率に貢献しているところから、結果的に政治家と一部大企業の利権構造となっている。また、ODA(政府開発援助)も同様に一部大企業の海外進出促進の手段として、軍事安全保障上重点国と米国がみなす国々にばかり配分を続けて、本当に援助を必要としているLLDC(後発開発途上国)には配分されていないという実態がある。そのODA・円借款の総額は約30兆円とも言われている(第二次安倍政権)。

外遊=日本の一部大企業への利益供与、なる利権構造はアベノミクスを経団連が強力に後押しする原動力・ビジネスモデルとなっている。その内情は徹底した秘密主義だ。これも政権維持という内政(内向き)に外交を利用する例だろう。このテンプレート化した日本外交では、テンプレートにない国際紛争や問題の調停や提言をする側に立てないのも当然だ。事実、先般のG7でわが国のプレゼンスは海外メディアではほとんど確認できない。従来の外務次官クラスで事前に打ち合わせを済ませ、外交儀礼として首脳同士が仲良く握手するG7なら、このテンプレートでも良いだろう。今回は首脳同士が丁々発止意見をぶつける真剣勝負となった。テンプレートがないこの場で、わが国の総理大臣にできることは、あたかも真剣を振って勝負していますとそれらしき写真を自撮りしtwitterにアップすることだけだった。通訳を外されて首脳だけの場にその姿はなかった。

スクリーンショット 2018-06-11 2.30.31.png


しかし、わが国のマスコミではいかにもその中心的役割を果たしたかのような持ち上げ方である。本当なのか?海外メディアの報道にも常に目を向ける姿勢を我々は持たなければならない(英語が苦手な人もGoogle翻訳を使えば拙い翻訳ながらも大凡は内容を掴むことはできる)。そういう習慣を必要するほど、国内のメディアの政権への日和見ぶりはひどくなっている。



この写真にあるように米独仏英加の首脳がひざを詰めてミーティングを行っている。イタリアの首相は就任したばかりなのでこの場に居ないのはわかるが、わが国の総理大臣は席を外され天を仰いでいる。

「激しい意見のやりとりとなりました」「首脳同士が、直接、膝詰めで議論を重ね」と彼はtweetしているが、実際はこの写真の通り。「会場の外に出てから、昨日は夜遅くまで」とする場の写真は他にも多数ネットに上がっているが、わが国の総理大臣が「激しい意見のやりとりとなりました」「首脳同士が、直接、膝詰めで議論を重ね」の主語を示す写真は一つとしてない。この場を説明する外電の記事を読みまわしても、米独仏英加首脳とあり、日本はその中に入っていない。ここでも、モリカケスパ並みの、虚飾・粉飾・嘘・偽りがあるとすれば、外交でも詰んでしまっているのが事実(ファクト)かもしれない。

(おわり)

追記:
米朝首脳会談終了。トランプ大統領へのメディアの質疑で「拉致問題に言及」だけで声明に「拉致問題」は書かれなかったことがわかった。触れただけで、書かれない。言った・聞いたの範囲。書かれないものはなかった。と同じ扱いがこの国の官邸の判断(モリカケ問題)なら、同じ物差しで「拉致問題」はこの会談では実質話し合いはされなかったと閣議決定でもすべきだろう。きっとしない。それどころか、明日あたりは安倍総理の得点とすべく偏向的な解釈がなされるだろう。NHKは岩田解説員が拉致問題に進展などと、お先棒を担ぎ出した。そして国内メディアは拉致問題解決に進展とか大書するだろうが、そんなニュアンスは一つもない。安倍総理大臣の記者会見も「われわれにとって何よりも大事な拉致問題」と言いながら、「拉致問題を提起してもらって感謝する。」これが拉致問題の当事者である一国の総理が言うことなのか?トランプ大統領に預けて他人事のようにコメントをする。自国の問題すら米国に預け果報を待つその感覚は国際社会では無能とされる。あの若造のキムの足元にも及ばない。悲壮な決意でキムは米国との会談に臨んでいるのに、安倍総理は寝たまま果報を待っている。あまりの違いにどちらが本当の政治家であるか、トランプはわかっただろう。

今回の会談ではっきりしたことは、拉致問題解決のための交渉は日朝間で行うべしという当たり前の結果だろう。

安倍総理は明日にでも日朝首脳会談をすれば良いだけの話であるのに。それすらしない。日本だけが北の首領と話し合いの場を持てないのは、安倍総理大臣の政治責任であると拉致被害者の会ははっきりと言うべきだろう。最大限の圧力とか北の脅威とか煽るだけ煽って、落とし所を探らない。つまり国内向けの不安ファシズムにミサイルや拉致問題を最大活用していただけ。今になってモンゴル経由で接触のルートを探るところからして、政権保身の口実にこの問題をお門違いの米朝会談に持ち込んだと海外メディアは捉えている(内政の課題を外交に持ち込む)。だから、海外メディアの口からこの手の質問はトランプ大統領に対して出なかった。

拉致被害者の会もいつまでも政権の広告塔をして良いわけではない。北の脅威とか拉致問題を利用し、我々国民が被る損害の方が大きい(軍事強化・改憲など)。これ以上政治利用しないで欲しいと是枝監督のようにはっきり言うべきだ。安倍政権の手を借りずとも国際社会に発信することはできる。安倍政権の専権事項ではない。それでも被害者の会が政権に解決を委ねるなら、安倍総理大臣、今度こそあなた自身が北の首領と直接会って交渉すべきだと声を荒げるべきだ(解決?したいのなら)。

拉致問題の解決とは、一体なにを指しているのか?
未帰還者の全員死亡の報告を北朝鮮は日本側に送ったとしている。それを受け取らず、「死んでいない筈だ」と死者させ生き返らせようとすれば、永遠に解決はしない。北朝鮮の主張するように事実は事実として受け止めるか、安倍総理の主張するように、事実は不実だと未解決のまま政治的に利用させ続けるのか?拉致被害者の会に、何を以って「解決」とするのか聞きたい。

posted by ihagee at 03:13| 政治