2018年05月28日

サイアノタイプ - その26(引き伸ばし機)



相変わらず、UV LED光源を組み込んだ引き伸ばし機を用い、ネガフィルムからダイレクトにサイアノタイプ・プリントを試みている。今週から早々と梅雨模様となりそうだが、このスタイルなら空模様は全く関係ない。

さて、可視光の少ないUV LEDでは印画紙面上の像のピント合わせがなかなかし辛い。そこで一工夫。マイクロファイバークロス(超極細繊維)と謳う市販のメガネレンズ拭きを置いてみた。紫外線に当たると強烈に真っ白く蛍光する。蛍光増白剤が含まれているためなのか、クロスの物理的性質によるのか判らない。メガネレンズ拭きはとても薄い素材なので印画紙に載せてもさほどピント面のズレはないだろう。そこに現れる像は視認しやすい。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from an analog negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(メガネレンズ拭きの上の顕像)


プリント紙も無印良品で売られているスケッチブック(F1の再生紙)に変えてみた。vif Artのコットン100%で厚みのある紙とは比較すべくもないペラペラした安紙(値段も半額)だが、物は試し。「にじみ止め」など表面処理の如何によって、サイアノの薬剤の定着の度合いが異なる。vif Artの細目の紙はサイアノタイプにもっとも適していると評判だが、果たして無印良品の再生紙はどうだろうか?スポンジ刷毛で薬剤を紙の面に塗布するのだが、薬剤を弾くこともなくスムースに塗ることができた。毛羽立ちもないことからしっかり表面処理がなされているようだ。あとはどれだけ繊維に浸透しているかだろう。

乾かして後、プリントを試みた。光源は少し光が弱まってきた中華製の砲弾型100球のUV LEDを用い、タイマー設定で六時間焼いた。

img060

(1950年代ブローニー(ハーフ版)・六時間焼き付け、水洗後ジャスミン茶でトーニング)

まずまずの出来なので、この紙は使えそうだ。ただし、厚さがない紙なので乾くと反り返るのは難点。重い辞典に挟むなどして梅雨空模様の湿気た軒先きに出しておけば平らになるだろう。

光源を米国製レジン硬化用のオンボード(実装型=COB)の電球型UV LED(110W)に換え、多重露光の複雑な構図のネガフィルムをフィルムキャリアーで引き伸ばし機にセットし、上述の再生紙を敷いてタイマーセットし外出。戻ってさて、出来上がりはいかに。

その結果:

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(1950年代ブローニー(KonipanSの多重露光)・六時間焼き付け、水洗後オキシドール浴+ジャスミン茶でトーニング)

(おわり)

posted by ihagee at 04:19| サイアノタイプ