光源による焼き上がりの違いを、米国製レジン硬化用のオンボード(実装型=COB)の電球型UV LED(110W)と、中華製の砲弾型100球のUV LEDとの間で確かめている。
前者は高熱を発するハイパワーLEDゆえに本体に冷却用フィン(アルミ)が予め配置されているが、念のため百均の洗濯バサミ(ステンレス)でフィンを延長していた。ハサミの端は引き伸ばし機ランプハウス内側(アルミ製)に触れさせて熱を逃すようにもしたものの、アルミとステンレスでは熱伝導率が異なるのであまり放熱の用を果たさないことは判っていた。
そこで、あらためて最寄りのセリアでアルミ製のピンチ(アンティークピンチ)を購入しステンレスのものと交換してみた。指先の冷たさ感はアルミの方が勝る。その上で電球型UV LEDでサイアノタイプ・プリントを試みると、なぜか焼き付けの状態が良くなっていた。印画紙に像が現れるのも早くまた、焼き目の付き具合も以前と比較して明らかに良好である。熱を逃すことはLEDの寿命ばかりでなく性能にも影響するのであろうか。不思議なものだ。
(1962年ロサンジェルス・父撮影 / 米国製レジン硬化用のオンボード(実装型=COB)の電球型UV LED(110W)で六時間焼き付け後、ジャスミン茶でトーニング)
(1962年ロサンジェルス・父撮影 / 中華製の砲弾型100球のUV LEDで六時間焼き付け後、ジャスミン茶でトーニング)
(オリジナルのネガフィルムの一コマ・35mmハーフのオリンパスペンで撮影しているので通常の「ライカ判」(36mm×24mm)で二コマ撮影することができた。一本のフィルムに情報を可能な限り多く収めるには好適なフォーマットだったのだろう。父が社用で使った訳である。)
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比較してわかるように、同じ時間焼いてみて、米国製光源による前者はいかにもサイアノタイプ・プリントらしい感じに上がったが、後者は焼きが足らない。中華製の光源はやはり少し光が弱くなっているのかもしれない。グラデーションを確かめるために、なぜか具合の良くなった米国製光源で人物のポートレイトをプリントしてみようと思う。
その結果:
(米国製UV LED光源・1950年代ブローニー・七時間焼き付け、水洗後濃いめのジャスミン茶でトーニングし水性ニスでコート)
ジャスミン茶は沸騰する程度煮出し、まだ熱い状態でプリントをひたひたに漬けた。そのまま十数分放置。青紫色が暗紫色となった。白飛びしていた部分も濃淡が少しはっきりした。生乾きの状態で百均(セリア)で売っていた水性ニス(光沢)で表面をコート。濡れた状態のプリントの瑞々しい感が乾くと失われてしまうが、光沢ニスでコートするとその状態を保つことができる。ニスが乾くにつれ暗紫色が少し緑がかって出来上がった。まずまずの仕上がりとなっている。
(おわり)
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