2018年03月15日

菅官房長の発言が改竄の教唆となったのか



スクリーンショット 2018-03-15 3.40.31.png


朝日新聞(2018年3月14日朝刊)は森友文書問題を時系列に詳報。その中でも以下の経緯(下線部)は重要である。

平成29年2月9日:
朝日新聞が学園側への不透明な国有地売却を報じた。国会で野党の追及が始まった。安倍首相は関与を否定する。
平成29年2月17日:
「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と安倍首相は国会答弁で言い切った。
平成29年2月24日:
 佐川宣寿理財局長(当時)、国会で「不当な働きかけは一切なかった」とし、学園との交渉記録は「速やかに廃棄した」と答弁。同じ日の記者会見で、記録の廃棄を疑問視する質問に、菅義偉官房長官はこう返した。「決裁文書に、(交渉の経緯の)ほとんどの部分は書かれているんじゃないでしょうか

国会での佐川氏の強気の発言とは裏腹に、理財局内は混乱していた。菅長官の言うとおり、決裁文書に多くのことが書かれていたからだ

----

決済文書の内容を見ていない筈の菅官房長ならば、「決裁文書に、(交渉の経緯の)ほとんどの部分は書かれているんじゃないでしょうか」などと、本来言える筈はない。ところが佐川氏の「廃棄した」に慢心して(二度と表に決済文書は出てこない筈だと)、知っていることを言外に明かしてしまった。菅官房長の発言の後で理財局内部で「多くのことが書かれていた」と気づく、あたかも菅官房長が予言したかのようだが、予言ではなく知っていたからだろう。

すなわち、官邸は元(改竄前)の決済文書原本の内容を知っていた、または、決算文書原本に不都合な記載が存在すると意識するに十分な事情を知っていた。だから佐川理財局長(当時)には「廃棄した」と言わせた。これで留めておけば良いのに、菅官房長は「決裁文書に、(交渉の経緯の)ほとんどの部分は書かれているんじゃないでしょうか」と発言し、内容を知っていた・その内容が不都合であることが判っていたゆえに、表向き廃棄としながら財務省に原本の改竄を教唆した、ということを示しているからだ。

その通り、平成29年2月末から財務省内で決済原本の改竄が始まる。

----

朝日新聞が学園側への不透明な国有地売却を報じた平成29年2月9日の前後に、決済原本に政権に不都合な記載が存在することを佐川理財局長(当時)が官邸に事前に通知していたとすれば(または官邸が佐川氏に報告させたとすれば)、この一連の時系列の経緯に整合が生まれる。官邸が知った時点で「(表向き)廃棄」が決まり、廃棄ゆえに記載は存在しないことを前提で安倍首相は強弁し、それに呼応するかの如く佐川氏は「棄てた」と表向きを繕う。本来ならば財務省が「棄てた(とする)」文書にそれ以上官邸はコメントする必要がない筈なのに、菅官房長は慢心したのだろうかその棄てた文書に「経緯が書かれている」と言った。ところが、保管規定のある公文書を棄てる立場にない財務省にすれば「有るなら削除せよ」と教唆されたことに他ならない。官邸主導であるからこそ、強弁もし、棄てたと言わせ、有るなら削除せよと暗に改竄を教唆したということだ。

旧大蔵省時代から財務省に至る佐川氏の官僚としての人物評はあまり芳しくない。今回の騒動では世論は彼も犠牲者だと思いがちだが、そんな弱者ではないようだ。彼を間近で知る人の多くが、彼を出世欲・名誉心が強く、強者に媚びる傾向の人物と評する。理財局長として安倍政権の政策ではなく政局(官僚が本来関わってはならない領域)に積極的に関わったとしても不思議ではない。その過程で決済原本の内容を官邸に情報を提供し見返りとして国税庁長官の椅子が与えられたと・・。

(おわり)

追記:
佐川理財局長(当時)が学園との交渉記録は「速やかに廃棄した」と答弁したことについて、本当に廃棄すれば公文書の管理規定に違反する。だから、廃棄したことにしておいて、後で見つかったとすれば良い、それなら佐川氏は事実誤認し答弁をしただけでそれ以上責任は追求されずに済むし、改竄が完了した時点で廃棄した文書が見つかったと言えば良いと、官邸が判断したとも考えられる。つまり、改竄の時間稼ぎの為に理財局と官邸が共謀して「速やかに廃棄した」と口裏を合わせた可能性である。安倍首相の強弁も菅官房長の慢心もその工作を前提にすれば至極整合がつく。

経済評論家の植草一秀氏が刑事コロンボで描かれる犯人像を引き合いにして面白い考察をされていた。

"訊かれてもいないのに、
「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」というのは明らかに饒舌過多である。
「及ばざるは過ぎたるに勝れり」の言葉がある。安倍首相の発言には明らかに不自然さが表出している。
刑事コロンボでは、犯人が、まだ関与について問いただされてもいない段階で、饒舌過多になり、自分の疑いを晴らす発言に突き進む。コロンボはこの行動を見て疑いを強めるのである。安倍首相の平成29年2月17日の国会答弁は、まさに刑事コロンボに登場する犯人の言動とピタリと重なるのである。"

然りだ。我々国民は安倍首相の饒舌過多・異常・不自然な発言に逆に疑いを深めている。欺こうとする人間の心理とは万国共通なのだろう、不安心理が裏返って自ら表出しようとする。何も疑われていない段階で、相手に先に自分の立場(無実)を主張せずにはいられない。安倍首相の平成29年2月17日の国会答弁がまさにそれである。至極わかりやすい。すなわち、森友学園問題の核心に安倍首相夫妻(日本会議を背景にした)は大いに関わっていることを示している。

いや、安倍首相が饒舌過多・異常・不自然な発言をする場合は大抵国民を欺こうとする意志がある。「世界経済はリーマン・ショック前に似ている」と過剰な景気認識を平成28年の伊勢志摩サミットで振りまいた時もそうだった。安倍首相の饒舌過多・異常・不自然な発言と各国首脳・海外メディアは取り上げた。その発言の裏には消費増税延期の口実が隠されていたわけである。公約通り消費増税を行えば政権支持率が下がり政権維持が不可能になるという不安心理が、安倍首相の饒舌過多・異常・不自然な発言となって表出したということだ。

posted by ihagee at 03:41| 政治