2018年02月26日

インド映画考 – その10(シュリ・デヴィ死す)



インド映画界の伝説的人気女優シュリ・デヴィが24日、心臓発作のためドバイで死去した。54歳。親族の結婚式で倒れそのまま逝ったそうだ。

15年ぶりに銀幕復帰となった2014年「マダム・イン・ニューヨーク」でようやく我が国でもその存在が知られるようになったが、昨年公開のMomが遺作となった。



私は彼女が全盛時代の作品しか記憶にない。つまり、ボリウッド(ヒンディ語映画)・クイーンのディーヴァ中のディーヴァとして君臨していた美の象徴としてのシュリ・デヴィである。

彼女の芸歴は1969年のタミル語映画(コリウッド映画・子役)に始まるというから休業期間を除いて人生の殆どを映画俳優に捧げたというに等しい。言葉も民俗宗教性も異なるテルグ語映画、ヒンディ語映画と掛け持ちをするタレントぶりを発揮するところも、インドを代表する女優と称される所以でもある。

シュリ・デヴィの代表作のダンスシーンで彼女を偲びたい。


(1986年作品 Nagina / シュリ・デヴィ自身はこのイメージが付き過ぎて嫌だったようだが)


(1991年作品 Banjaran / ジャイアンのようなRishi Kapoorとは数多く共演した)



(1983年作品 Maine Tujhe Chhua / Jeetendraとはいつもキッチュな踊りを披露)


(Mr. India / 世界制覇を企む悪の組織と戦う話。Anil Kapoorとの共演作ではコミカルな演技が多い)



(1991年作品 Tere Bina Jag / Vinod Khannaとの共演。天知茂似のマッチョなVinodも昨年亡くなっている)


拙稿「インド映画考 – その2(再会)」で

"Padmini(パドミニ)、Hema Malini (ヘマ・マリニ)、Sri Devi(シュリ・デヴィ)やRekha(レカー)といったディーヴァたち(いずれ別稿で取り上げるつもり)は、コリウッド映画から出発してボリウッド映画に進出したが、彼女たちの踊りや演技力の素晴らしさが言語・文化圏を超えて広く認識されたのであろう。その成長・成功の過程を作品から辿れるのも映画の良さである。"

と述べたが、15年ぶりの銀幕復帰というファンとの「再会」を果たしその成功の過程がこれからまた始まるという矢先の突然の死だけに悔やまれる。

(おわり)


posted by ihagee at 18:20| インド映画