富士フィルム社製の連写カルディア ビュ〜ン16にFuji Natura1600(36枚撮)を詰め、川崎の生田緑地にある川崎市岡本太郎美術館と東京青山にある岡本太郎記念館の二箇所で試写を行った。小田急の登戸駅と代々木上原乗り換えの千代田線の表参道駅間の移動なので一筆書きで回ることができる。

前者は(屋外展示物を除き)ほぼ全展示物が撮影禁止、後者は「どうぞご自由に」いうことだった。いくら館内撮影可能であってもフラッシュは他の人の迷惑ともなるので高感度フィルムを用意したわけである(屋外では中判カメラ用の大きめなNDフィルターをレンズ口に手で被せて撮影した)。しかしこの撮影自由な記念館はどちらかと言えば岡本の晩年の居宅に彼の遺徳を偲ぶ趣きで模型やレプリカが多く、やはり主たる作品は川崎の美術館に集めてある。
現像するとネガフィルムは以下のような状態となっている。

フィルムスキャンにEPSON GT-X980を用いたが、スキャンソフトの小さなプレビュー画面を凝視しながら微妙なマウスさばきで1コマから8サブフレームを切り出すのは至難とすぐに諦めた。通常の35mmフィルムの1コマをスキャンして得た画像データを別ソフトでサブフレームに切り出すことにした。この用途に特化したソフトとしてはCropMaster3(Mac OS用)がある。Apple Storeから800円程度でダウンロードできるので使ってみた。連写カルディアではサブフレームの寸法は高さ9mm、幅9mm(中央部の4サブフレームは幅7mm)とばらつきがあるので、多少切り落とし部分が生じることを覚悟で切り出しのプロポーションはこのソフトにプリセットされている縦(8.5 x 11)か横(11 x 8.5)とした。
切り出したサブフレームを並べてiMovie上で並べてフレーム間の時間を0.1秒として先ずは動画(MP4)で書き出し、書き出した動画ファイルを元にさらにiMovie上で編集を加えた。半透明にしたカットアウトをわずかに時間差をつけて重ね残像効果を加えることでパラパラとした感じを軽減してみた。
なお、岡本太郎記念館の"太陽の塔 1967―2018―岡本太郎が問いかけたもの―" 企画展にちなみ、父が撮影した1970年開催大阪万博の8mmフィルムからデジタル化した映像も挿入しショートムービーに仕立ててみた。
(Taro Okamoto, Short cinematography)
重ねてある音楽はMorton Feldmanの作品の一部(パブリックドメイン)。
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連写カルディアを試してみて判ったことは、ISO1600の高感度フィルムを使っても決して屋内撮影向きではないということ。そもそもの用途がゴルファーのスイングの解析で晴れの屋外で用いるように設計されているわけだから当然だろう。また連写モードよりも1コマシャッターでこちらが動きながら一コマづつ撮影する方が面白い絵となることも判った(被写体が動くものであれば連写モードが良いだろう)。
しかし、フレームをつなぎ合わせてみると思わぬ展開となり画像の粗さも手伝って、結果として「皆で妥協する調和なんて卑しい(岡本太郎)」は多少表現できたかもしれない。
次は動く被写体を相手に<9mmフィルムムービー>を作成するつもりである。
(おわり)
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