
東京メトロ日比谷線車内でBGM試行運用とのこと。クラシックやヒーリング曲を車内のスピーカーを介して放送し「より快適な車内空間をご提供すること」が目的だそうだ(2018年1月24日・乗りものニュース記事 「日比谷線車内でBGM試行運用 クラシックやヒーリング曲を放送 東京メトロ」)。
「朝や夕方以降の通勤ラッシュアワーの時間帯に放送するのが、満員乗客への心の落ち着かせに一役買いそうだけれどもな。」「面白いと思う。海外の会社はオフィスにBGMが流れている。小さい音だけど。電車内で小さい音だと聞こえるかなあ。」といった肯定的なコメントが多い。
「心の落ち着かせ」とか「面白い」とかなら、各自イヤホーンで好きな音楽でも聴いていれば良さそうなものである。いまどきのスマホなど携帯端末なら簡単にできることだろう。スピーカーで流すこと自体「いまどき」ではない。余計なお世話だ。
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無関係な聴覚刺激を遮断しようとしないどころか、それを許容し「(自らの)心の落ち着かせ」すら他者にお願いするようではこの国の社会の幼稚化は一層進むであろう。
個人の意識や判断を前提とする社会とは別の方向に進んでいるように思えてならない((拙稿:「<音>から考える - プラスとマイナス」)。小さな無意識化の積み重ねこそ、我々が「自ずとは存在し得ない」社会に転じていくことになる。つまり自己の意識を否定し専ら従う存在とする社会である(拙稿『<意識なきシステム>で「世界一」となる国』)。
情報を峻別し遮断することすら個人に委ねられない<意識なきシステム>社会にこの国がなりつつあることに危惧を感じてならない。
(おわり)
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