
"「新自由主義」などという聞こえの良いだけの「経済の弱肉強食」で格差を広げ、青年の学費ローン地獄などという社会現象を生み出した政権が、無教養な一野党の歓心を買うために、総選挙の公約に高等教育無償化のための改憲を加えるなどということは、政治の低能化の証しのひとつだと言えよう。"
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法律の基礎知識すら備わっていない政治家が憲法を改正しようとしている。その無教養の最たるが首相本人であることは以下の国会答弁に集約されていた。(拙稿「カギのかかった箱の中のカギ(憲法第21条)」から)
2016年2月15日の衆院予算委員会・山尾志桜里議員(民主)と安倍総理大臣(首相)の間での質疑:
山尾:『総理、このまえ、大串議員に、「表現の自由の優越的地位ってなんですか?」と問われました。この時、総理の答弁は、「表現の自由は最も大切な権利であり、民主主義を担保するものであり、自由の証。」という、かみ合わない謎の答弁をされました。法律の話をしていて『自由の証』という言葉を私は聴いたことがありません。』
安倍:「ま、これは、あの、ま、いわば、法的に正確にお答えをすればですね、経済的自由、そして、えー、精神的自由より優越をするという意味においてですね、えー、この表現の自由が重視をされている、ということでございます。」
「ま、いわば、表現の自由がですね、この優越的な地位であるということについてはですね、これは、まさにですね、えー、経済的な自由よりもですね、精神的自由がですね、優越をされるということであり、いわば、表現の自由が優越をしているということでありますが。いずれにせよ、ですね、それをですね、そうしたことを今、この予算委員会でですね、私にクイズのように訊くということ自体が、意味がないじゃあないですか。」
山尾:「総理、もう一度お伺いします。精神的自由が経済的自由より優越される理由、総理は今、優越されるから、優越されるんだ、といま、おっしゃいました。これは理由になっておりません。これがわからないと大変心配です。もう一度お答えください。どうぞ。」
安倍:「内心の自由、これはですね、いわば、思想、考え方の自由を我々はもっているわけでございます。」
山尾:「総理は、知らないんですね。
なぜ、内心の自由や、それを発露する表現の自由が、経済的自由よりも、優越的地位にあるのか。憲法の最初に習う、基本の「き」です。経済的自由はたいへん重要な権利ですけれども、国がおかしいことをすれば、選挙を通じてこれは直すことができるんです。
でも、精神的自由とくに表現の自由は、そもそも選挙の前提となる、国民の知る権利が阻害されるから、選挙で直すことができないから、優越的な地位にある。これが、憲法で最初に習うことです。それも知らずに、言論の自由を最も大切にする安倍政権だと胸を張るのは、やめていただきたいと思います。」
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内心の自由の意味すら知らない、憲法すらまともに読んだことがない政治家が、憲法を解釈したり改正したりすることの恐ろしさを我々は認識しなければいけない。そんな政治家を推しそれでも良いとする人は同様に無教養の誹りを受けなければならない。
(おわり)
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