Voigtländer Superb (Skopar 75mm F/3.5)で撮影したフィルムを再度スキャンし直し(Scanner: Epson GT-X980)、トリミングとトーニングを施してみた。
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上掲のようにトーニングはデジタル処理のエフェクトで簡単に付加できるがやはり不自然感は拭えない。本来フィルムでのトーニングはフィルムを現像する際、またはパライダ紙に焼き付ける際の物理的色付けでありその程度の幅は一律でない。フィルムと感光紙を要素とする化学反応という複雑且つ一回性のプロセスで生まれる色合いに勝るものはない。フィルム自体に演出を行うのなら、カラーフィルターを装着するか、レッドスケールフィルムを露出オーバーで撮影するとノスタルジックな色合いになる。
以下、レッドスケールでの作例(フィルム:Lomography Redscale XR 50 - 200 カメラ:Bencini Koroll 24 S、Scanner: Epson GT-X980 エフェクトなどデジタル処理は一切加えていない):
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スキャンの時点でデジタル処理じゃないかと言われればその通りだが、少なくともフィルムになるまでのプロセスはアナログである。つまり人間の意識が働かなくてはならないプロセスがそこにはある。デジタル撮影よりも高揚感・達成感があるのも意識が働くからだろう。
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人間の意識が働くことを省略化・単純化するのがデジタル社会。それにどっぷり浸かるということは、その人の思考も行動様式も割り切り・単純化されていくということである。あるかないか・白か黒かの二元論はとても判りやすい。右か左かという政治イデオロギーと同じで勝ち馬の側に乗れば他者を意識する必要がなくなる。「こんな人たち(には負けない)」とか<排除の論理>はこの割り切り・単純化の際たるものだ。しかし、人間社会そんな簡単に割り切れるものではないし、生身の体は正直にアナログのままである。遺伝も細胞分裂も排泄も老化も生死も全てありのままでしかない。二元論など通用する筈がない。「トロッコ問題」に代表されるようにAI技術を入れたところで同じだ(拙稿『「AI本格稼動社会」への大いなる懸念』)。脊髄反射的なわかりやすさにかまけて、論理的思考を停止する危険性がある。ありのままを素直に語るよりもバラ色のスローガンや五輪といったプロパガンダの花火に無意識に惹かれる人々が増える。ありのままとは、この国が抱え込んできた様々な社会問題である。それを素直に語るということは本来地味な政治を志向することになる。複雑且つ難しい論考をしなければならない。負(マイナス)は負として国民に正直に語る政治・議論や論理を尽くす政治を安倍政権は否定する。福島の事故原発、国の財政問題や国民年金など、サラッと虚飾・粉飾をすべきことではない。
このように、ありのままを素直に語れる社会がどんどん遠のいていくような気がしてならない。その反対に大政翼賛的な大義のためなら全員右を向かなくてはならない<いつか来た道>の社会に戻っている。歴史はその先に何が到来するかはっきり示している。歴史に学ぼうとしない愚民になってはならない(拙稿「私たちはどこまで階段を登っていますか?」)。安倍政権支持層のコアは生まれた時からデジタル社会・バーチャリティに囲まれて育った若い世代(10〜20才台)だとも言われている。安倍政権がデジタル媒体を積極的に用いるのも当然だろう。都合が悪くなるとリセットボタンを押しまくる。「未来志向」なる言葉で過去から積み上げてきた議論や認識をバッサリと切り捨てて構わないとする論考のない政治。バーチャルで思いつき的ゲーム感覚の政治。その政治にデジタル社会・バーチャリティは格好の培地なのだろう。その培地で育つ世代はある意味で時代の申し子だろうが、その結果が近い将来身に降りかかるのは自分たちだと彼らは認識していない。安倍首相は「全ての子供達の幼稚園や保育園の費用を無償化」を消費税引き上げの使途とする選挙公約をしている。子供達のためだといいながら、子供達を含む将来世代の財布からカネを無心するに過ぎない。財政問題の将来へのツケ送りの為の方便として将来世代が使われているだけのことだと、若者たちは気づかないところに悲劇がある。気づかせない政権の狡猾さがある。欧米の先進国なら世代間でしっかり話し合うべきことを、我が国では何も行っていない。廃炉に向けた脱原発は本来、将来世代が現世代に強硬に要求すべきことである。現世代が経済的恩恵を原発に受けたのであれば、現世代でその片付けを始めるのは当然の責任論だ。将来世代は現世代の責任を指摘しなければダメだろう。五輪を開催するカネがあるのならその責任に費やすべきだ。首都圏の経済的繁栄のために福島に置かれた原発の事故である。なのに、福島を踏み台にして(「アンダーコントロール」)尚も五輪で首都圏の経済再生を図るその傲岸不遜に呆れるばかりである。ドイツでは社会倫理として現世代の果たすべき責任論から脱原発に政策を転換した。責任なき現世代を象徴するのが安倍政権と言っても決して過言ではない。
(おわり)
タグ:トーニング Bencini Koroll 24 S EPSON GT-X980 Voigtländer Superb レッドスケール Skopar 75mm F/3.5 Lomography Redscale XR 50 - 200
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