2017年08月12日

Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その3)



カメラをExakta RTL1000からCanon AL-1 に変えて、虫眼鏡(単玉)レンズでのフィルム撮影の結果を前回報告した。用いたレンズは3.5倍率のビクセン製のルーペから拝借したガラスレンズだった。

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このビクセンのレンズを用いてExakta RTL1000で撮影した結果が良好だったので

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(拙稿「Exakta RTL1000 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その26)」)、同じビクセン製のルーペ(3倍率のクリエールルーペPB60・日本製)を購入し、もう一組虫眼鏡(単玉)レンズを仕立てた。

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レンズ径は60mm。58mm→62mmステップアップリングの62mm部分に丁度収まった。

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ルーペ把持部に誇らしく嵌め込まれていたビクセンのロゴをレンズフードに貼付。

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Bushnellの望遠レンズから拝借したヘリコイドにexakta用エクステンションチューブ(32mm)を履かせてCanon Lens Mount Converter Eを介しCanon AL-1に搭載。

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なお、ホームセンターで売られている円形ラバー(中央に穴が開けてある)を利用して、エクステンションチューブの内部に絞り機能の為のダイアフラムを設けた。ラバーゆえに多少光沢があるので、群馬県南牧村特産の木炭の微粉末を水性糊に混ぜて面相筆にて丹念にラバー表面に艶消し処置を施した(なお、この処置はフォーカルプレーンの孔塞ぎにも使える。拙稿「Exakta Varex IIa」)。内部反射はそこそこ抑えられるだろう。

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(生乾きの状態で撮影ゆえ一部反射。乾けば均一にマットとなる)


ビクセンのクリエールルーペPB60はマルチコートの非球面レンズだがアクリル製。ルーペには普通表裏があって、ルーペを固定して目の位置を変えて対象物を見る場合と、ルーペの位置を変えて見る場合で表裏を使い分けるようだ。クリエールルーペのレンズ面は表裏の使い分けを要しない両面非球面の設計になっていると思われる。

Flickrでアクリル製虫眼鏡レンズで撮影した写真はわずかしか投稿されていない。同サイトで私とフォロー関係にあるフッチェンロイターさんの以下の写真ぐらいだ。

Tulpen


Lavendel


いまどきの眼鏡のレンズはほとんど光学用アクリルで作られている。従って、眼鏡が手放せない私もアクリル材を通して外界を眺めているわけだ。ルーペとはいえマルチコートで非球面のレンズであれば基本的条件としては眼鏡のレンズと同じ。フッチェンロイターさんの写真は雰囲気があるがもう少し抜けの良い写真をクリエールルーペのレンズで得たい。

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SONY NEX-3に搭載しての試写(フレアや後景のボケ具合などは好天下では異なるかもしれない)。フィルムではどうなることか。

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次に用意したのは、P-Rokkor 2.5/75mmレンズ(Chiyoko P-Rokkor 2.5/75と同じ)。このレンズを用いて撮影した例がFlickrにいくつか掲載されており私なりにフィルム撮影で使ってみようと思い立った。

Bubble Bokeh  -  P-ROKKOR CHIYOKO 75mm f2.5


OI000001-01


P-Rokkor 2.5/75mmレンズはミノルタの昭和35年製造のスライドプロジェクターがドナーである。プロジェクター(ジャンク扱い)はヤフオクで500円で落札した。

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プロジェクターの外観はレトロ感充満でなんとも可愛らしい。しかしカバーを開くと中はマッチョだ。小さなスペースにぎっしりと機械が詰まっている。レンズユニットが繰り出す機構などギミック(からくり)は日本人の得意とする設計だ。金属とガラスの塊は小さくともモノとして強烈にその存在を主張している。

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そのプロジェクターの前面のレンズユニットを借用した。ユニットはヘリコイド付きのレンズボードとP-Rokkor 2.5/75mmレンズが組み込まれた鏡筒からなる。残念なことにレンズボードとヘリコイドは一体となっていて分離できない。鏡筒をベローズなどと組み合わせる手もあるが、このままユニットを使うことにした。レンズは経年の汚れが付着。マイクロファイバークロスで清掃し元の輝きを取り戻した。

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丁度、手元にあったihagee製のエクステンションチューブの内側にヘリコイド部分がぴったり収まった。

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チューブを一段さらに継手してその間に前述のビクセンレンズの場合と同様絞りの為のダイアフラムを設けた(前述と同じ内部反射防止の為の処置を施してある)。スライドプロジェクター用のレンズは元々絞りはなく被写界深度が浅い。四角いスライドの外側に当たるアウトフォーカス部はスクリーンへの投影の必要がない為、収差が考慮されていない設計を考慮しなければならない(上掲の撮影例はその特性をそのまま活かしたようだが、ちょっと背景が煩すぎる感がある)。

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ミラーレスカメラ(SONY NEX-3)で何度か試し撮りをした結果、プロジェクターレンズの味わいを残すためにダイアフラムの開口部はもうひとまわり大きめに直した。

ihagee製のエクステンションチューブとCanon Lens Mount Converter Eを介してCanon AL-1に搭載。かなり不恰好だが35の文字が誇らしく見える。

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P-Rokkor 2.5/75mmレンズに手元にある46mm径のフードやフィルターを付けるための細工を施した。

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レンズボードが目立ってちょっと気恥ずかしいので、黒の艶消しで塗装した。ビニル樹脂ベースなのでいざとなれば剥がして元に戻せる。それでも35の文字が目立って蒸気機関車のヘッドマークのよう。

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SONY NEX-3に搭載しての試写(フレアや後景のボケ具合などは好天下では異なるかもしれない)。フィルムではどうなることか。

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以上、新たに仕立てた二組のレンズについては、追ってフィルムでの撮影結果を報告したい。乞うご期待。

(おわり)


posted by ihagee at 20:51| Canon AL-1