2017年07月21日

Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズ(その1)


虫眼鏡(単玉)レンズでのフィルム撮影に旧東独VEB・ペンタコン・ドレスデンのExakta RTL-1000を用いてきた。

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(作例)


TTL露出計以外は全て機械式マニュアルのカメラは信頼感がある。Ihageeの嫡子ではない継子扱いのカメラであるが、Exaktaを名乗るゆえにCarl Zeiss JenaなどのExaktaマウントのレンズが使えるのも(膨大なレンズ資産を継承できる)、そうでないプラクティカ系のカメラよりも有利であり、本家Ihageeにはない設計上の利点も数多く備えている(縦走りメタルフォーカルプレーン、1/125X接点、TTLファインダーなど)。

しかし、個人的に総メタルゆえに重いのが難点だった。もう少し軽く、虫眼鏡(単玉)レンズも含めExaktaマウントのレンズ資産を継承可能なカメラはないものかと思案した。ExaktaマウントのSLRには他にトプコンRシリーズがあるがこれも総メタルで且つRTL1000よりも設計が古い。

また、絞りのない虫眼鏡(単玉)レンズを用いるのであれば絞り優先のマニュアル式カメラが欲しいところだ。そしてハタと思い当たるカメラがあった。Canonの異端児<Canon AL-1>である。「絞り優先なんか本当は作りたくなかったのに、仕方なく作らさせられた」なるこのSLRには幸いにも、Exaktaマウントレンズが装着可能な純正レンズマウント(Canon Lens Mount Converter E)が用意されている。(AL-1については、愛情をもって紹介しているサイトがあった)

折良くヤフオクで極めて程度の良いAL-1(純正のFDズームレンズ2本付き)を手に入れることができた。

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ただでさえ人気のないCanon Aシリーズの中でさらに異端児であることが幸いして格安である。このカメラのアキレス腱は壊れやすい(必ず壊れる)電池ボックスの蓋であるが、出品者の巧みな細工によって改良されている点も気に入った。

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そして、絞り優先AEという設計の新しさゆえに、絞り固定でシャッタースピードを自動で選択してくれる上、フォーカスエイドは老眼の進んだ眼には有るに越したことがない機能である。また、フォーカスエイドはあくまでも「エイド=補助」であって機構的にシャッター操作を邪魔しない点も良い(つまりオートフォーカスでなくマニュアル操作を尊重している)。全面マットのスクリーンはRTL1000のセンターがマイクロプリズムのスクリーンよりもコントラストがはっきりして視認性に優れる。そしてこのフォーカスエイドがレンズに依らずカメラ本体のみで完結している点はFDレンズを含めレンズ資産をそのまま活用できる。ファインダー内のインフォメーションもシャッタースピードが表示される点は安心感がある(シャッタースピード優先のSLRとは発想が逆だが、絞り固定のレンズを使う場合はむしろ有利になる)。


(80年代の雰囲気たっぷりのAL-1のCM)

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(AL-1のファインダー)


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(RTL1000のファインダー)


シャッター時の音やミラー振動もRTL1000より少ない。そして筐体も比較すれば小振りで何よりも軽い。上述の純正レンズマウントはEbay UKから同様に格安で手に入れることができた。

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(Canon Lens Mount Converter Eを介して虫眼鏡(単玉)レンズを装着したAL-1)

さっそく、虫眼鏡(単玉)レンズをマウントしてフォーカスエイドなどカメラ側の機能をチェック。いい加減なレンズでもそれなりにピントを指示し適切なシャッタースピードを割り出すことが確認できた。ExaktaマウントのZeissレンズはレンズ側の自動絞り込み機能をオフにする必要があり開放でピントを合わせることができないが、フォーカスエイドはF11程度まで頼りになることが判る。

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Exakta RTL1000には少し休養を与えて、Canon AL-1 - 虫眼鏡(単玉)レンズでフィルム撮影を試みようと思う。防湿庫で眠ったままのZeissやSchneiderのレンズも出番を待っていることだろう。

(おわり)

posted by ihagee at 05:15| Canon AL-1