2016年11月20日

芸人



「もともと芸人は愛嬌稼業で、少しでも顔を知られ、評判をよくしようと願うものだから、贔屓筋へは極力愛嬌を売るのが、長じて追従滔媚となり、端から見ると、見苦しいほどの屈従を事とする。勢い利を見ること蟻の如くに附くようになり、一方利益がないと見てとると、疎外して顧みぬ。人情話よりも薄しというのが、今日の芸人社会の状態となっている。
芸人は収入の多い代わりには、出銭も甚だしい。盆暮などには、贔屓筋や出入先に配り物や附届けをする。仲間同士の交際にも、相応の贈答をする。よくいえば、それだけ義理を重んずるともいえる。芸人の中でも、役者、幇間、下座などの弟子は、正月には家元に鏡餅を供えるのが例となっている。」(「日本家庭百貨事彙」(冨山房・明治39年))

どこかの家ではもう正月の飾り付けが始まったようだ。

(おわり)
posted by ihagee at 10:36| 日記