最初から計画の杜撰、青天井の費用、手続の不備(ロゴなど)、IOCや国際陸連関係者への買収(裏金)疑惑などが続出した上、利害者の権益やら思惑までドロドロと噴出するに至っている。スポーツ選手は蚊帳の外、御簾の向こうでは功利に血眼の魑魅魍魎が跋扈している景色である。
国際的対面(メンツ)があるから今更施設の計画見直しなどできないと大会組織委員会関係者は口を揃える。IOCまでが「信頼壊す」とこれを援護射撃する。メンツやIOCとの信頼関係を重んじなければならない程、そんなにスポーツというものは大事なのか?大会費用の多くを拠出するのは我々、開催都市の市民であり、その市民との「信頼」よりも優先するIOCとの信頼関係とは何なのだろうか?3兆円を下らない大会費用を常識化しようとするスポーツ、否、スポーツに名を借りた建設需要を擁護し、放送権やスポンサーシップに絡む巨額な広告宣伝を正当化する為の「メンツ」や「信頼」でしかない。商業主義が本音で建前として理念を言い続ける五輪の姿がはっきり見えてきた。
河川・池・湖を前提とするカヌー競技までが海の競技に宗旨替えして、本音に迎合する。競技前提すらもうどうでも良いのだろう。波や風の影響ばかりでなく、淡水と塩水では舟の浮力が変わってしまう。これではもはやカヌーとは呼べないだろう。そんな大前提まで有耶無耶に当のカヌースプリントの選手たちまでも、莫大な建設費用がかかる「海の森水上競技場」を支持する。その理由が「五輪の精神は皆が選手村に集って心を開いて戦うこと。変更は絶対に避けてほしい」だそうだ。その「集まって心を開く」ことに一体いくらカネがかかると思っているのか?
ここは、開催権返上も視野に入れて考えるべきだろう。代替開催都市としては五輪のインフラが整っているロンドンを推す声もある。
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五輪発祥地としてそもそもギリシャ(アテネ)がある。
発祥地での恒久開催(大政奉還)をなぜどの国も提案しないのだろうか?開催都市に巨費の施設整備を結果として要求する五輪、開催都市毎にテロ対策・治安・衛生維持にまで万難を排して準備させることなどいずれ将来的に行き詰まる。伝染病を媒介する蚊にすら協力を求めなければならない。これではキリがない。そして後足で砂を蹴るように、開催後の開催地の将来世代に借金という負の遺産を送っても今が楽しとスポーツをする意義がどこにあるのだろうか?
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長野冬季五輪(1998年(平成10年))では、施設整備に巨額の資金がかかり、莫大な借金をして、2002年度には1兆6475億円もの県債残高を抱えることになり未だに借金を抱えたままである。招致・開催して県民に将来的に借金を残す。長野五輪すら知らない世代がその数週間のスポーツの祭典の後始末を負わされる。
1960年のローマ五輪の借金すら返し終えていないとして、ローマ市長が五輪招致など無理だと言うのは常識というものである。2020年東京五輪を行うことにどう常識を見出したら良いというのだろうか?
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商業主義を五輪に認めるのであればスポーツの理念の下に置くべきである。その理念だけ辛うじて国際的に名を残しているのがギリシャであり(聖火の着火式と開会式で一番に入場する名誉だけ残されている)、今はその国家財政は破綻の危機にある。その危機の発端が2004年アテネ五輪だとも言われている。
アテネ五輪では、新国際空港や地下鉄、高速道路などの関連支出が多く、総額は当初計画から倍増の89.5億ユーロ(約1兆円)に膨張し夏季五輪では歴代5位の出費になった。アテネ、そしてギリシャが、開催後財政危機に陥ったのもここに始まる。五輪の残したツケは開催都市ばかりでなく国家の存立まで危うくする。
ギリシャの国家財政が完全破綻し欧州ユーロ圏の崩壊のトリガーともなれば国際的に五輪どころではない。夏季五輪恒久開催とともに夏季五輪の商業権をギリシャに優先的に認める程度の思慮もあって良いのではないか?恒久開催の為の施設整備であれば、テロ対策・治安・衛生等の点で最初からきっちり設計しやすい。ギリシャ(アテネ)は観光国でもあるから五輪恒久開催はまさに観光立国の政治・経済上の安全保障となる。スポーツ競技に最大限特化することについて、スポーツ界は反対の理由もないだろう。恒久開催で同じ競技条件を維持管理することは競技の公平性にも叶う。
同様に、冬季五輪はスカンジナビア諸国内で恒久開催都市を決めたら良い。
五輪会場の中でスポーツを介した国際融和が図られれば、それで五輪の理念は果たされる。
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景気浮揚策とか地域経済活性といった、五輪の理念とは直接関係のない政治・経済的思惑をこの際排し、五輪の理念を維持するに必要な商業権に限定し、ギリシャといった小国の政治・経済上の安全保障策に置き換えた方が得策である。
万博もその発祥地はパリである。昔ながらの奇抜なパビリオン(建物)を見世物小屋にする時代でもなかろう。そんなものが見たければディズニーランドでも誘致すれば宜しい。メッセとして建物の中でソフト(技術・文化など)を見せて博覧会は十分なのである。パリでの恒久開催も同様に提案されるべきことである。
五輪開催都市権を返上する代わりに、日本がそれら提案を国際社会に発信すればメンツを失うどころか、経済の南北問題での南の諸国からも賛同を得られることだろう。五輪はいつまでも北の経済優等国の特権ではない筈である。
日本が率先して各国のスポーツ競技団体から寄付を集め、アテネでの恒久開催の為の施設整備を推し進める。それ位の大胆な提案があっても良い。
(おわり)
追記:
小池知事「(東京都を)ぜい肉つけた巨大肥満都市」とバッサリ。
そのぜい肉・肥満の元に2020年東京五輪がある。豊洲新市場も元をたどれば東京五輪の都合に行き着く。築地市場の問題だけなら過去半世紀じっと待った築地の市場関係者である。あと二年時間をかけて対策を講じ直すこと位待てるだろう。ところが、東京五輪の都合があるからこそ明日にでも豊洲に引っ越せと大会組織委員会辺りから圧力がかかる。都民の食の安全への信用など二の次三の次であろう。
小池知事の五輪の施設計画見直しにIOCまで文句を付けるのであれば、ぜい肉・肥満を国際的に蔓延させる大元のIOCにも返す刀でバッサリやってほしい。WADAが告発したドーピング問題にも寛容であるばかりか賄賂の温床ともなっているIOCなる巨大な利権、その利権にまとわりつく◯通辺りまで、この際、まとめて退治てくれればまさに桃太郎侍である。小池知事が自認するところのジャンヌダルクであろう。
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