2016年09月08日

「五輪」という破壊(続き)

「上野こども遊園地」先月末に閉園の報(東京新聞・9月8日報)。とても驚いた。

東京五輪までに上野公園を大規模に改修するに、「上野こども遊園地」は邪魔だということで、都から運営会社は立ち退きを命じられた。「上野こども遊園地」と同じエリアで既に整備された場所にはスターバックスの店舗ができたそうだ。

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「自分も子どものころ、ここで遊んでいた。いままで一度も事故を起こしたことはない。経営状態も悪くないのに」。遊園地の運営会社「西村」社長の西村真一さん(58)は「ショックですよ」と肩を落とした。樹木に囲まれた六百八十平方メートルの敷地に、遊具が集まる。飛行機や子馬がくるくると回るメリーゴーラウンド、「アンパンマン」や「ドラえもん」の乗り物…。料金は一回百円。ゆっくりと回り、上下する乗り物は、二歳から楽しめた。空襲で焼け野原となった東京で「子どもたちに夢を」と、西村さんの祖父、鷹之丞(たかのじょう)さんが一九四六年にオープンした。もともとは公園内の別の場所にあり、昭和三十年代に現在地に移った。乗り物券の使用期限はない。子どものころに買った券をおずおずと出す人もいた。西村さんは「ずっと取っておいてくれたのか」と、当時の料金で「二十円」と書かれた券を百円券に引き換えた。映画やドラマのロケにも使われることもしばしば。俳優の榊原郁恵さんや舘ひろしさんらが訪れた。少子化が叫ばれるようになっても客が減った印象はなかったという。近年の売り上げは年間七千万〜八千万円で推移している。昭和レトロブームで若者や外国人観光客の姿も目立つようになった。

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昭和30年代から世代を超えて思い出を提供し続けた場所が、たかが数週間の五輪によって破壊される。こんな理不尽はないだろう。「日本の顔となる文化の森」をうたい文句で「上野こども遊園地」の跡地はオープンカフェになるとのこと。ささやかな幸せまで奪って、何が「日本の顔となる文化」だ。顔を向ける相手を間違えていないか?そして「五輪」とは一体何様のつもりなのか?

上野こども遊園地.jpg

文化価値を経済性との天秤に簡単にかけるのは発展途上国並。成熟した国家と言えぬ文化的民度の低さを東京五輪に向けて国際社会に発信するようなものである。そんな五輪ならやめてしまえ。「五輪」という破壊、これからも続く。「商機を逃すな。百円の幸せなぞ邪魔だ・壊してしまえ!」とばかりに、それを涼しい顔で眺める安倍政権とそれに群がる連中。小池都知事も知らぬ顔なのか?呆れてモノも言えない。

「上野こども遊園地」には明日別れをしに行くつもり。ささやかな「もてなし」なら要らぬとばかりに都から放逐される遊具たちをフィルムに収めて思い出にするしかない。悔しいことだが。

(おわり)

追記:
政府・日銀が民間大手企業の筆頭株主になるとの報道。
GPIF (年金積立金管理運用機構)だけでなく、ETF(上場投資信託)の購入枠でも、政治権力が民間企業を縛る。
米社ブルームバーグの試算では、8月現在日経平均の構成225社のうちの76%(171社)で日銀が上位10社以内の大株主になっているのが判明。更に来年には電通、住友不動産、オリンパスなど55社で筆頭株主になる見通し。

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我々一般庶民の年金積立金や公金。運用を名目に政治的に利用するどころか、その出資者たる我々を縛りにかかる。つまりは、戦前の全体主義の下での「統制」の到来。金融も経済もマスコミもときの政治権力の意向を忖度しそれに無批判に追随する。その安倍総裁の任期を無期限にしようとする与党内での動き。かのチョビ髭の総統閣下も無期限であった(ドイツ工業連合会・Krupp財閥が全面的にこれを支えた)。

当時の日本も似たり寄ったり。私たちはどこまで階段を登っていますか?いつかきた道・戦争への道と符合。五輪の裏でこの道筋を仕上げようとしているのだろうか。「法衣の下に鎧を隠しているような男の言動にだまされてはいけません」と巨泉さんは警告している。
posted by ihagee at 18:07| 東京オリンピック