2016年09月04日

フレクサレットIV(Flexaret IV )の手入れ

フレクサレットIV(Flexaret IV )。

旧チェコスロヴァキア時代、東欧(正しくは中欧)共産圏の工業における優等生とされていた頃のフラッグシップには今もある人々にとっては郷愁に近い思い入れがあるようだ。



現存するフレクサレットのBelarレンズの殆どは表面に多少なりともスクラッチがあると言われている。コーティングの剥がれなのか、それともレンズ素材自体の問題なのかわからないが、幸い写りには影響しないらしい。わがフレクサレットIV(Flexaret IV )についても僅かにそれらしきスクラッチがあるが問題ないだろう。シアンブルーのコーティングは健在のようだ。

VI以降のモデルではフィルム室には内部反射防止のバッフル措置が施してあるが、IVにはない。ただでさえ逆光に弱くフレアを起こしやすいとされているBelarレンズなので、せめて内部反射は防ぎたい。そこで、後玉周辺のフィルム室内壁にモルトを貼ることにした。

モルトは厚さ1mmで接着テープ付のシート(250mmx125mm)をamazonから購入した。この市販のモルトシートは厚さ(毛足)が1mmから3mmまで幾つか種類があるが、遮光でなく反射防止が目的なので毛足が最も短いシートにした。届いたシートは光にかざすと表面がテカる。遮光目的のモルトだから反射防止には不向きなのかと思いつつも、フレクサレットIVに適用することにした。

モルトプレーン.jpg

フィルム室の内壁(4面)は開口部にむかって裾広がりの台形なので、コンパスで寸法をシートに写し取って、デザインナイフでカットして貼り込んだ。内壁は微妙に途中から角度がついている上、蓋の開け閉めと連動する金具の頭が開口部近くにあって、その辺りではシートが壁に追随しない。木工ボンドを使って固定した。後玉の周囲は細工が面倒なので今回は措置をしていない。

flexaretIV.jpg

フィルム面に接するレールは経年の僅かな汚れ(腐食?)、フィルム面と当接する壁の端部にも僅かに塗装の剥がれが見受けられた。いずれもフィルム面に何らか作用するものではないと思われたが、ここは速乾性の潤滑スプレー(ドライファストルブ)を綿棒の先に含ませてそれら箇所に適用してみた。速乾性でフィルムに液剤が及ぶことがない。

ドライファストルブ.jpg

ここまで措置して、Kodak TRI-X 400 フィルムを詰めて台風一過の晴れ間を狙って和光市の樹林公園に撮影に出かけた。Yフィルターとレンズフードに露出計が必携である。ExaktaやRolleiflex SL66といったSLRと勝手が違って二眼(TLR)はフレーミングが難しい。スクリーンもオリジナルのままで薄暗いのでかなり撮影には手こずった。

Flexaret_IV.jpg

撮影結果はいずれ報告。モルトの効果も確認できる(モルトのテカリが気になる。逆効果ならば剥がすことにする)。
(おわり)
posted by ihagee at 09:35| Flexaret IV