2016年11月24日

総括なき「カネ目」外交



外交上の失策(外交交渉)が立て続けに露呈し始めている(失点ばかりで得点を数えることすら難しい)。外交術策の貧弱さは外務省の責任というよりも、安倍総理大臣個人の政治的資質に拠るところが大きい。TPPにみるように「この道しかない」ではなく、あの道、この道と多様重層的に思考することができない。何が喫緊のプライオリティか深く考えずただひたすら毎月の如く外遊(地球儀外交という<兼高かおる世界の旅>)を繰り広げる。APECの帰りにアルゼンチンに立ち寄って「マリオの絆」などと言っている間、隣国の主席はAPECの熱が冷めきらない内にペルーの国会で演説を行なってしっかりとラテンアメリカ諸国との経済関係の布石を打つ。場を逃さない。その通り、TPP交渉参加国でありAPEC開催国であったペルーは早速、中国が主導を目指すアジア広域の域内包括的経済連携(RCEP)への参加準備を進めていると明らかにした。

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そして、その地球儀外交。費用効果を何一つ具体的に国民に説明できないままでただひたすら海外協力と称するカネのばら撒きに終始した。その総額は30兆円に上り、安倍総理大臣の外遊費は87億7400万円。「安倍総理大臣は総額30兆円を外遊先で配るために87億7400万円を使った。」(30兆円は政権発足から2015年10月まで)

そしてその海外協力。肝心の円借款・ODAが日本の一部大企業に結果としては還流されていることは知らされていない。外遊を表向きに税金を用いた特定企業への利益供与を指摘する声がある。

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産経新聞報(2016年5月31日)
「安倍首相、外国訪問に87億7400万円 第2次政権で41回
政府は31日午前の閣議で、安倍晋三首相が平成24年12月に就任して以降、計41回の外国訪問をし、うち決算を終えた40回分の経費が約87億7400万円に上ったとの答弁書を決定した。答弁書は、41回で延べ92カ国・1地域を訪れ、国益の確保に意義があったと強調。同行者の人数や宿舎費の抑制などで節約に努め、経費は「適正」だったとした。」

ネット民の反応
「あれだけ行ったり来たりしてればそれだけにもなるんだなぁ…」
「単なる個人旅行なんてレベルじゃないんだし。政権を奪われている間に落ちた各国との信頼/連携を取り直したり、新興国/政権との親善をはかったり…」
「外交でしっかり結果を出しているから問題はない。」等々。

何とも好意的な反応だ。政権寄りの産経の報道は、木(87億7400万円)を見せて、森(30兆円)を見せない。

そもそも、安倍総理大臣とその政権が国際的に信頼されているのであれば、逆に日本に各国首脳が次々と参内する筈である。日本からODAや円借款を取り付けたい開発途上国であれば次々と首脳が来日する筈であろう。

逆にそれらの国にわざわざ安倍総理大臣が政府専用機で出かけて、ODAや円借款で多額の国富(元は日本国民から徴収した税金)を差し上げているのである。外務事務次官レベルで済む仕事に総理大臣が代わって出歩く。こんな首脳はG7の中では安倍総理大臣だけであろう。そのODA・円借款の総額は約30兆円とも言われている(第二次安倍政権)。対日債務の帳消までわざわざ先方に出向いて「してあげる」(ミャンマーに5000億円の対日債務帳消)。借りた側の債務の帳消の為にさらに我々の税金を使い先方に政府専用機で出かけるという。貸した側と借りた側の立場がまるで逆である。さらに、安倍総理大臣は、「11月2日、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と都内の迎賓館で会談し、ミャンマーへの包括的な経済協力のため政府開発援助(ODA)や民間投資をあわせ今後5年間で8000億円規模を支援すると伝えた。」というから、帳消しした上にさらに支援するという無茶苦茶ぶり。スー・チーさんは帰国後、その笑顔を早速中国に向けている。

ODA.png

こんなオメデタイ総理大臣ならば外遊先で歓迎されるのは当然。その歓迎ぶりを外交成果と勘違いしさらに金袋を下げて外遊する始末。

先の産経の記事は正しくは、「安倍総理大臣は総額30兆円を外遊先で配るために87億7400万円を使った。」ときちんと顛末をつけるべきである。そしてその肝心の円借款・ODAが日本の一部大企業に結果としては還流されていると知ったらとても好意的には受け取ることはできない。我々国民の税金がそれら企業の海外進出の促進手段として使われているのである。我々一般庶民とは全く関係のない話である。

その円借款・ODAの実態は酷いものである。

開発資金を貸し付ける円借款が、貸し付け先の人道援助や医療・教育施設などの社会インフラ整備よりも、空港・港湾・ダムなどの経済インフラ整備に比重が多く占められており、その経済インフラ整備に於いて、貸し付け先の国での日本の大企業の発注比率に貢献しているところから、結果的に政治家と一部大企業の利権構造となっている。また、ODA(政府開発援助)も同様に一部大企業の海外進出促進の手段として、軍事安全保障上重点国と米国がみなす国々にばかり配分を続けて、本当に援助を必要としているLLDC(後発開発途上国)には配分されていないという実態がある。いずれも、我々国民にはその決定過程は不透明で、借入国との間の交換公文締結の事実が公表されるほかは、借入国の主権や企業秘密を理由に非公表が原則となっており、徹底した秘密主義との指摘が絶えない。

プライマリーバランスだの、そのための消費税引き上げだの、を言い出す前に、安倍政権自体の持ち出しがなぜ問題にならないのか?カネ目も外交だと言うつもりなのか(「安倍政権“バラマキ外交”3年の総額」)? ODA・円借款の貸し付けの決定過程、使途や返済の状況などを詳らかにすべきである。

主な海外への財政支援(政権発足から2015年10月まで)(抜粋):
ODA2.jpg

(おわり)
posted by ihagee at 03:18| 政治