2016年05月04日

説教泥棒・憲法泥棒

その昔、<説教泥棒(説教強盗)>という輩がいた。

強盗に入った家の主人に「泥棒除けには犬を飼いなさい」「戸締りは厳重におこないなさい」と親切にも忠告して金を奪う泥棒である。泥棒でありながら防犯対策を指南するという二重話法(正反対)を地でいく輩である。その奇天烈さは小説にもドラマにも度々なった。

本来、その家の主人が行うべき防犯対策を、よりによって泥棒に入った者が行う。主客転倒である。世の中これで治るのであれば警察は要らない。

そして、今<憲法泥棒>という輩がいる。<説教泥棒>よりもタチが悪い。

『安倍晋三首相は、改憲派の団体が東京都内で3日に開いた集会「公開憲法フォーラム」にビデオメッセージを寄せ、「今の憲法には自衛隊という言葉はない。本当に『自衛隊は違憲かもしれない』と思われているままでいいのか」と述べ、憲法9条の改正に意欲を示した。この中で首相は、複数の世論調査の結果から、憲法学者の約7割が自衛隊は違憲の可能性があると考えている一方、国民の9割が自衛隊を信頼している、と説明。自衛隊を憲法に明記することについて「国民的な議論に値する」と強調した。その上で、「憲法に指一本触れてはならない、議論すらしてはいけない、といった思考停止の姿勢に陥ってはいけない」と指摘。「今後ともこれまで同様、憲法改正を訴えていく」と語った。(時事通信報・5月3日)

「共同通信社が二十九、三十両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三首相 の下での改憲に「反対」が56・5%で「賛成」の33・4%を大きく上回った。(東京新聞報・5月1日)

その過半数以上が安倍首相の下での改憲に反対と言っているこの国の主人たる国民を差し置いて、その憲法に縛られるべき従者たる為政者が「縛られるべきでない」と改憲を主張する。そして9割の学者が集団的自衛権行使の容認を含む安保法案について「安倍晋三首相は違憲である」と断じていることは無視し、自ら憲法を犯し立憲主義を覆すような「憲法泥棒(慶應大学小林節名誉教授)」となっているのである。

<説教泥棒>も首相ともなると金品どころか、憲法までベタベタと指で触れて「触れられたくなかったら、改憲しなさい」と国民に対して説教を垂れる。

「国民の9割が自衛隊を信頼している」もその実は災害援助やインフラ復旧という「従たる任務」に対する国民の信頼である。それをあたかも集団的自衛権もそうであるかのごとく国民の言葉を盗む。日本は世界に冠たる災害大国である。仮想敵は中国でもISでもない。ホルムズ海峡の機雷を脅威と言うが、国民の生命財産を根こそぎ毀損する地震・台風・洪水、原発こそ脅威であろう。その実を正しく汲むのであれば憲法に名のない<自衛隊>は<災害救助隊>と改名するが現実主義である。

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『犬なんて、何頭いても意味がない。アブラ身を2、3切れ投げれば、すぐにシッポを振るよ』と、<説教泥棒>は警察でその説教の嘘を白状したそうな。所詮泥棒、その親切めいた説教も金品を強奪する方便であり、<嘘つきは泥棒のはじまり>は至極正しい。
憲法を国民から強奪するような<嘘つき>は要らない。<嘘つき>は誰かは言うまでもない。

(おわり)
posted by ihagee at 06:01| 憲法