2022年09月23日

この商標よ〜く考えると、おかしくないですか?



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東京2020オリンピック・エンブレム
商標登録番号: 6008759(図形)
商標権者:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
区分: 1-45 計45区分

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2022年9月22日付朝日新聞 DIGITALに「ミライトワ」受注先が800万円送金 組織委元理事側に渡った疑いなる記事が掲載されている。

東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、公式マスコットの「ミライトワ」や「ソメイティ」のぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」(東京都千代田区)が、大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で逮捕=側に約800万円を支出した疑いがあることが、関係者への取材で分かった。関係者によると、同社幹部らは、東京五輪でも公式マスコットのぬいぐるみを製造できるよう、2018年ごろに高橋元理事に「今回もお願いします」と依頼したという。マスコットは「ミライトワ」と「ソメイティ」に決まり、組織委は、価格帯を分けてサン・アローと別の会社の2社を承認した。その後、サン・アローは高橋元理事のゴルフ仲間の知人が経営する会社に資金を送金。さらに知人の会社側から高橋元理事に、現金で約800万円が渡った疑いがあるという。

(記事抜粋ここまで)

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高橋元理事の受託収賄容疑に係る記事内容であるが、商標法に照らすと以下の重大な問題が浮かび上がる。

先ず第一に、公式マスコットのぬいぐるみの製造販売は大会組織委員会の所有する商標権の使用ということ、サン・アローは大会組織委員会との契約で使用許諾を受けたライセンシーであることである。

使用されている商標権:

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(大会マスコット 商標登録番号 6076124)


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(東京2020オリンピック・エンブレム 商標登録番号 6008759)


使用態様(オリンピック・エンブレムに着目):

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(大会マスコットおよび商品の下げ札に付されたオリンピック・エンブレム)

商標の使用区分:第28類(おもちゃ、遊戯・運動用具)

先ず、オリンピック・エンブレムは公益著名商標として登録されている。そして記事内容の時系列に従うと、大会組織委員会がサン・アローとの間で係る商標の使用許諾を含むライセンス契約を行ったのは商標法第31条第1項の改正前(2019年5月27日に施行以前)であるから、改正前の商標法第31条第1項が該当し、同項で認められていなかった公益著名商標の使用許諾且つ違法ライセンス契約ということになる。この違法状態は商標法改正(改正によって公益著名商標の通常使用権は許諾可能となった)によって遡及的に解消されるものではない(商標法は強行法規であるゆえ)。

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第二に、オリンピック・エンブレムは、2 以上の文字,図形,又は記号の組み合わせからなる「結合商標」であり、結合商標はその構成要素が各々単独で商標として自他識別機能を有するということ、その構成要素が各々単独で出所表示機能を有するということ(権利の帰属および使用主体)、である。



組市松紋の図形要素
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は、単独で商標として商標登録番号: 6008751(図形) 商標権者:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 区分: 1-45 計 45 区分、

TOKYO 2020の文字要素
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は、単独で商標として商標登録番号: 5626678(標準文字) 商標権者:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 区分: 1-45 計 45 区分

オリンピック・シンボルの図形要素
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は、単独で商標として商標登録番号: 1026242(図形) 商標権者:コミテ アンテルナショナル オリンピック(IOC) 区分: 2,8,13,15,20-24,26,27,31,33,34,45 以外の計 30 区分

従って、自他識別機能および出所表示機能が組市松紋およびTOKYO 2020とオリンピック・シンボルとの間では一致していない。オリンピック・エンブレムは大会組織委員会が商標権者であるから(出所:大会組織委員会)、オリンピック・シンボルの図形要素は他人(=IOC)の商標であり、それらの結合商標たるオリンピック・エンブレムについての類比判断に於いて明らかに他人(=IOC)の商標が分離観察される。また、需要者が通常有する注意力を以て全体を見た場合、オリンピック・シンボルを先ず認識するのであれば、出所表示機能に於いて混同を生じるものとなる(大会組織委員会の商標であるのに、IOCの商標であるかに誤認する)。

このように構成要素間で、自他識別機能および出所表示機能に於いて不一致・混同を生じる結合商標は、そもそも登録し得ない。オリンピック・エンブレム以外にそのような登録事例は存在しないのである。たとえ、その他人(=IOC)が大会組織委員会と同様に非営利公益団体でありその目的事業が非営利公益事業でありその事業目的に於いてオリンピック競技大会が共通しているのだから不一致・混同は生じ得ず、ゆえに問わないというのであれば、IOCの公益性は日本の法律(公益法人制度関連三法)によって認定されていなければならない。スイス民法典第60条でIOCは非営利法人格を有する協会(Vereine)だからといって、その公益性はそのまま日本で認められることはないのである。さらにその公益性の認定の前提としてIOCはそもそも一般社団(財団)法人として国内登記されていなければならないのである(大会組織委員会、JOCはその然るべき手続を踏んでいる)。

IOCについては、さらにスイス連邦政府の「特権、免責あるいは地位において合意が交わされたその他の国際機関(the agreements on privileges, immunities and facilities concluded with the international organisations)」となっており、「専門機関の特権及び免除に関する条約」に日本国は批准しているが、日本国に於いてその機関を特定する「附属書」にIOCは未だ記載されていない(附属書に記載されている機関:WHOなど)。従って、条約に照らしても、IOCは依然日本に於いては「権利能力なき社団」であり非営利公益法人として認許されていない単なる任意団体に過ぎないということになる。

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また、構成要素間で商標の使用区分も一致していない。
例えば、オリンピック・シンボルの図形要素に係る商標では第15類の楽器は指定区分から除外されているが、その他の構成要素に係る商標(組市松紋およびTOKYO 2020)およびオリンピック・エンブレム自体の使用区分は全区分(45区分)が指定され登録されている。

ところが、東京大会公式ライセンス商品「伝統工芸コレクション」として販売されていた
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「東京三味線 小じゃみせん」 <東京都伝統工芸品>は第15類の楽器でありオリンピック・シンボルの図形要素に係る商標の指定区分には含まれていない。需要者が通常有する注意力を以て全体を見た場合、オリンピック・シンボルを先ず認識するのであれば、第15類の楽器が指定されていなくとも、オリンピック・シンボルが三味線に使用されているといった取引の実情を需要者の間に広く認識されていればともあれ、そうではないのであるからオリンピック・シンボルの要素は商標として機能し得ないということになるのではないか?

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第三に、結合商標はその構成要素が各々単独で商標として機能し得るのであるから、オリンピック・シンボルの図形要素に係る商標はIOCにその権利が帰属する。結合商標としてオリンピック・エンブレム商標の権利は大会組織委員会に帰属しその使用を第三者に許諾すると、結果としてオリンピック・シンボルの図形要素に係る商標は大会組織委員会を介してその第三者(サン・アロー)に再許諾(サブライセンス)したことになる。

つまり、オリンピック・シンボルの図形要素に係る商標に着目すれば、たとえIOCとの間で適法な通常使用権者であっても(大会組織委員会)、その通常使用権を他人(サン・アロー)にさらに許諾(サブライセンス)することは商標法上できないということである(商標法違反)。私契約上、禁止権の不行使をサン・アローとの間で大会組織委員会が定めたとしても、サン・アローをオリンピック・シンボルの図形要素に係る商標について、IOCの商標権を侵害する状態に置くことになるに変わりがない。「東京三味線 小じゃみせん」の場合では東京都(または葛飾区伝統産業職人会)がそれに該当する。

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第四に、自他識別機能および出所表示機能に於いて不一致である結合商標であっても、その構成要素ごとの事業者の共同事業に用いる商標であれば不一致にならないとも考えられる。つまり、大会組織委員会およびIOCの共同事業(オリンピック競技大会)に用いる商標であるのだから、その共同事業体(それ自体は権利能力なき任意団体)の構成員として大会組織委員会が代表して商標登録出願を行うことは妥当であるということである。共同事業体ゆえに総有的に商標権は事業体の構成員全員(大会組織委員会およびIOC)に帰属し、共同事業体の内部関係においてまで「他人」とみなし、商標法上の自他識別性や不正競争防止法を適用することは同法の予定していないところである、という平成15年(ワ)第19435号 不当利得返還請求事件での判示に照らせば、自他識別機能および出所表示機能に於いて不一致である結合商標(オリンピック・エンブレム)であっても、その構成要素ごとの事業者の共同事業に用いる商標であれば不一致と見做さないということである。

しかし、共同事業体となると、「外国法人が共同事業に参加していると認められた場合には、当該外国法人は源泉地国内に恒久的施設を有することとなるとした課税当局の判断である」といった問題が発生する。この外国法人はすなわちIOCであり、「恒久的施設を有する」IOCはその事業所得について法人税が課されることになる。オリンピック憲章および開催都市契約ではIOCが「開催都市、NOC、および OCOG は、IOCは開催国における恒久的施設の創設義務、または何らかの種類の現地法人の設立義務から免除されることを表明および保証し、政府がこれを確実に実施するようにする。」旨定められており、そもそもIOCは共同事業体の構成員足り得ない。

共同事業体の構成員に総有的に権利が帰属する商標は団体商標制度が担っているのであるが、商標「五輪」の異議申立事件で特許庁は登録の根拠条項を商標法第4条1項6号(公益著名商標)および2項と明らかにしており、オリンピック・エンブレムも公益著名商標として登録したわけであるから、共同事業体を前提とし得ないわけである。

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オリンピック・エンブレムがその構成要素に係る商標権が異なる者(大会組織委員会およびIOC)にそれぞれ帰属するのだから、商標登録出願時に大会組織委員会およびIOCが各々権利持分を記載して共同出願すれば良かったのかもしれない。その場合でもIOCは権利主体となるために国内登記が必要となる。その要件を未だIOCは満たしていない。すなわち、日本の法律ではIOCは権利能力なき社団・任意団体に過ぎないのである。

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IOCは権利能力なき社団・任意団体に過ぎないという本源に立ち返ると、そもそも、IOCのパートナーシップ契約からヒエラルキー的に発展しているスポンサー契約まで、法律行為ではなく無効ということになる。そのヒエラルキーの最上位(IOCと直接パートナーシップ契約を結んだトヨタなどの企業だけがオリンピック・シンボルを使用することが可能)のみならず、その最下層(そこでは「商標権」とは言わず、「商品化権(実定法にない商取引上の概念)」の使用と言い換えられている)にまでなぜ結合商標なりにオリンピック・シンボルが使用可能であるのか疑問に思わなくてはならない(最下層のサン・アローは結合商標なりにオリンピック・シンボルをなぜその商品に使用できるのか?)


(IOCと直接パートナーシップ契約を結んだトヨタなどの企業だけがオリンピック・シンボルを使用することが可能)

契約当事者に本来なり得ないIOCと、東京都およびJOCとの間の開催都市契約自体が法律的に無効ということにもなる。

大会組織委員会とスポンサー企業との間の東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件(受託収賄・贈賄事件)ばかりが取り沙汰され、「一個人が関与したとみられる疑惑(アダムス IOC広報部長)」とIOCは我関せずであるが、それでは「木を見て森を見ず」であり、商標法や一般法たる民法の観点から法律関係を精査すると、IOCファミリー全体の違法行為を容易に見出すことができるのである。スポンサーシップの最上位から最底辺まで貫くオリンピック・シンボル(=IOC)という横串こそが違法性を象徴(シンボル)していると言えよう。

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係るオリンピック・エンブレムについては特許庁に無効審判が請求されている。詳しくは以下動画を視聴願いたい。


(IOCファミリーの違法行為を直接問う! オリンピックエンブレムの無効審判)

(おわり)


posted by ihagee at 07:25| 東京オリンピック

2022年09月22日

第3の矢なき評価



安倍元首相の国葬「法的根拠なく国費で開催」専門家が問題視 実施理由「功績」に疑問も(AERA dot. 2022年9月22日付記事

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記事では、到底看過すべきではない様々な問題点が安倍国葬儀について識者から指摘されている。

その中で、国葬に「賛成」の意見で目立っているとされる安倍氏の国への貢献の代表的なコメントが非常に私には気になった。

インバウンド政策、大胆な金融緩和で、どん底の日本経済を立て直した」(48歳、投資家・コラムニスト、男性)

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安倍氏の国への貢献は、そのアベノミクスの成果、つまり、アベノミクスの本丸となる「成長戦略」と謳っていた「第3の矢」で語るべきことだ。

「インバウンド政策」は観光需要創出であって「第2の矢」、「大胆な金融緩和」は言うまでもなく「第1の矢」であり、日本経済の立て直しに不可欠な「第3の矢」は結局飛ばなかったのに、「どん底の日本経済を立て直した」と評価し国葬への「賛成」理由としてしまうことへの疑問である。

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アベノミクスの本丸となる「成長戦略」と謳う「第3の矢」の成果は以下とされている。
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GDP、株価、企業の経常利益等は「第一の矢」の副産物である。また、GDPおよび企業の経常利益は、数値統計化する上で基準や算出方法を恣意的に変更することで創り出された好適な数字である(拙稿:国家ぐるみの壮大な「粉飾決算」(続き))。また、株価も日銀がETF(上場投資信託)を購入し、株価を下支えした官製相場で経済の実態を表すものではない(拙稿:公文書が書き換えられてしまう国(日本独自の問題))。カジノを含む統合型リゾート(英称:Integrated Resort、略称:IR)、いわゆる「IR整備法」が(我が国の)経済成長の柱 / 経済活性化の “起爆剤” (安倍首相=当時)はまさに窮すれば鈍するの典例で、「人の不幸を前提に成り立つカジノ」は健全な国家の経済成長の柱であり得る筈はない(拙稿:犯罪が経済成長の柱)。

企業倒産件数に至っては「廃業」を選択した中小企業の数は全く含まれていない。「痛くない注射針」を製造し町工場の「ものづくり」の力を世界的に知らしめていた岡野工業(後継者が見つからず廃業)はその数に入っていないのである。

外国人訪問客数が躍っているが、”オリンピックや国際観光(インバウンド)が我が国の経済政策の主柱(・・・)、そんな危なっかしい水物に賭けなくてはならないほどこの国の製造業を中心とする産業力は凋落し国民の大半は貧しくなったということでもある。事実、コロナ禍はそれらインバンド需要を直撃した。経済構造の根本的な問題や課題に取り組もうとせず” (拙稿:「科学の樹」のないこの国の暗愚・続き4)のままである。”外的環境の変化の影響を受けやすく中長期的な先の見通しが立ちにくく、収入が不確定な業種”に依存することは到底、「第3の矢」に言う成長戦略ではない。

国内景気の判断を「緩やかに回復している」といった業況・景況判断は、現実はあまりに違うと大多数の国民はあらためて肌身で実感したままである(拙稿:「アンダーコントロール」なる日本国の基礎疾患)。

つまり、この大言壮語する「成果」なるものは、「資本流出規制や金融鎖国をして財政と金融を一体運営し、統制経済下に置く」(浜矩子氏)上で、その時々に望まれる数字を与えるための統計(統計改竄)を並べただけの代物だと言える。「統制経済」と「統計改竄」が表裏となって結局、国家が崩壊したソ連邦の経済体制と相応する点が多い(拙稿:ソ連邦崩壊に学ぶこと・統制経済と統計改竄)。

アベノミクスの経済原理とは「ストック」の反対の「ストックのフロー(流動)」の極大化にあると言われている(岸田政権もこの基調である)。前者をミクロとすれば後者はマクロである。社会資本(農地やコミュニティ)や金融資本(預貯金)の壁を取り払ってため込まずに使い続け、燃やせるものはどんどん燃やして経済活動の糧にしようという考えである。経済の基礎代謝増大=経済活性ということ。本来は虎の子(ストック)の国民年金の原資まで取り崩して「運用」なる官製相場の焚き木にしている(拙稿:立ち位置を知ること)。

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安倍長期政権の失敗(罪科)は、技術のトレンドに於いて発展系にあり且つ経済発展の基礎をなす重要産業を全く生み出さなかったことになる。気付けばそれら重要産業のキープレーヤーは韓国・中国等、周辺諸国となっていた。その意味でアベノミクスの本丸となる「成長戦略=第3の矢」は全く飛ばなかった。

それどころか、その場ばかりの経済的な果実を求めるばかりで、その果実をつける根や幹となる「(基礎)科学」を軽視した安倍長期政権は結局、科学の樹全体を枯らせてしまったのである(拙稿:「科学の樹」のないこの国の暗愚

「どん底の日本経済を立て直した」どころか「どん底」に向けてしまったのが安倍氏の国への「貢献」である。法律的な問題を除いても、安倍氏の「貢献(功績)」を客観的に評価すれば国葬(儀)に全く値しないことは明白である。

(おわり)




posted by ihagee at 11:06| 日記

2022年09月20日

西側に責任がある(ハンガリー・オルバン首相)



ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、ロシアとの武力衝突により、ウクライナは領土の最大半分を失う可能性があると考えている。バラトン湖近くのケチェのリゾート地に集まったFIDES党の活動家 - ハンガリー市民同盟 - との会合でこの見解を表明した(現地ネプサヴァ紙)。

この戦争は2030年まで続く可能性があり、ウクライナは領土の3分の1から半分を失う可能性がある。局地的な戦争に西側が介入して世界的なものにし、今、ヨーロッパはロシアに制裁を課すことで、自分自身を傷つけている。制裁によって引き起こされたエネルギー危機により、ヨーロッパの産業の最大 40% がこの冬に停止する可能性がある、とオルバンは警告した。

EU首脳は秋に再会し、ロシアに対する制裁をさらに6カ月延長する予定だが、そのような動きは阻止されなければならない。しかし、EU でそのような地位にあるのは自分だけであるが、イタリアで行われる選挙の結果、この考え方を支持する政府が形成されることを望んでいる、とオルバンは述べた。

オルバンはまた、2030 年までに、金融ショック、移民の増加、およびその他の多くの要因の影響を受け、EU の状況が大きく変化する可能性があり、「肯定的な答えが見つからない場合は、結論を出さなければならない」と述べた。

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欧州委員会は9月18日、「民主主義の後退とEU通貨の管理における腐敗の可能性に関する懸念のため」、ハンガリー向けの約75億ユーロの補助金の交付を一時停止することを勧告した。この制裁は法の支配の侵害に関するとし、ハンガリーの公的調達法を巡る問題や不十分な利益相反対策など不正防止措置の不備を指摘した。加盟国は3カ月以内にこの勧告の可否を判断する見込み。75億ユーロは、ハンガリーの2022年の国内総生産(GDP)見込みの5%に相当する。

AP通信によると、欧州委員会はヴィクトル・オルバン首相を「民主制度を崩壊させ、メディアを支配し、少数派の権利を侵害している」と非難しているが、オルバン首相はEUのその非難を否定している。

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ウクライナ大統領府の首席補佐官であるミハイル・ポドリャクは、ウクライナがその領土の一部を失い、欧州連合が崩壊するだろうというオルバンの声明に以下、ツイッターでコメントした。

「オルバンは、ロシアに対する制裁解除のために戦うと言っている。スペードをスペードと呼ぼう。ハンガリーは、ヨーロッパの納税者を犠牲にして、欧州連合の崩壊を求めているトロイの木馬だ。オルバンはウクライナを憎み、ヨーロッパにロシア世界を夢見ている。EU はこれらの妨害行為に資金を提供すべきなのか?」

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Transparency Internationalが調査・公表している2021年度腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index – CPI)によると、ハンガリーは73位(43.00 pts)、ウクライナは122位(32.00 pts)である。

12〜13種類の調査報告に基づいてスコア化し評価し、スコアは0ptsから100ptsで評価され点数が高い方が汚職が少ない。上位3カ国はニュージーランド、フィンランド、デンマーク(共に88.00 pts)で、日本は18位(73.00 pts)。政治民主化度では、ハンガリーは86位、ウクライナは101位、日本は43位となっている。

「国境なき記者団(Reporters Without Borders・以下RSF)」によって調査・発表される報道の自由に関する最新(2022年)国際ランキングでは、ハンガリーは85位 (59.8 pts)、ウクライナは106位(55.76 pts)、日本は71位(64.37 pts)である。

(おわり)


posted by ihagee at 01:30| 日記