2021年11月23日

ヴァンダイク - その1(引き伸ばし機)



Flickrに投稿したサイアノタイププリントについて「ヴァンダイク(Van Dyke)」でも試せるか?ととある外国人から質問を受けた。試せるか?とは、本ブログの「サイアノタイプ」で採用するUV光源の引き伸ばし機(+アナログネガ)で、という意味である。

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そこで「ヴァンダイク(Van Dyke)」を試してみることにした。サイアノタイプよりも敷居が高い。

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サイアノタイプと同様「ヴァンダイク(Van Dyke)」もそのプリント理論が発見されたのはかなり古い。

1842年のジョン・ハーシェル卿の論文「植物の色といくつかの新しい写真プロセスに対する太陽スペクトルの光線の作用について」が出典とされている。ジョン・ハーシェル卿は「写真」(Photography)、ネガ、ポジという名称を提案し、定着にチオ硫酸ナトリウムを用いることを提案し、1842年には青写真(cyanotype)、金コロイドを用いたクリソタイプ(Chrysotype)を発明した(wikipedia)というから、本職の天文学者、数学者としての多大な功績もさることながら写真技術に於いてもメルクマールを残した。


ジュリア・マーガレット・カメロン撮影のジョン・ハーシェル卿

WWJニコルが最初の実用的な鉄銀プロセスであるヴァンダイクの一形態であるカリタイプの特許を取得したのは1889年。ヴァンダイクの実用上の公式は、1895年にArndt and Troostによってドイツの特許に最初に登場し、1895年10月にThe Photo-Beacon誌で最初に公開された。20世紀の最初の数十年の間に、Vandykeとして今日知られているプロセスはセピアプリント、ブラウンプリント、または単にカリタイプを含む他の多くの名前があるようだ。

1961年のブリタニカ百科事典が第二鉄-銀プロセスの1つとしてヴァンダイクに言及しているため、ヴァンダイクという用語が一般的に使用されるようになり、プロセス上、ヴァンダイクとカリタイプは別々のプロセスとして区別されている。

「ヴァンダイク」なる名前は、フランドルの画家「アンソニー・ヴァン・ダイク(Anthony van Dyck)」に由来している。この画家の作品を特徴付ける渋紙色(しぶがみいろ)の色調がプリントに現れることからそう呼ばれるようになったのだろう。ちなみに、油絵具の「ヴァンダイクブラウン」(#905740)はヴァン・ダイクにちなんで名づけられた顔料である。

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ヴァンダイクの反応プロセスは、第二鉄、Fe(3+)を含むクエン酸第二鉄アンモニウムに基づいている。紫外線に曝すと、第二鉄は第一鉄、Fe(2+)に還元される。銀鉄プリントを作成するには、第一鉄を硝酸銀とさらに反応させる必要がある。

感光剤(フォーミュラ)は一般に以下の薬品と手順に従って作成する。

溶液A
クエン酸鉄アンモニウム:9.0 gm
蒸留水:33.0ml

溶液B
酒石酸:1.5グラム
蒸留水:33.0ml

溶液C
硝酸銀:3.8グラム
蒸留水:33.0ml

溶液AとBを組み合わせ、攪拌しながらゆっくりとCを加え茶色のボトルに注ぎ数日間熟成させてから使用する。

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硝酸銀は日本の法令では毒物及び劇物取締法により劇物指定であり、アンモニア水と反応して爆発性を帯びたり(雷銀)、誤まって皮膚に付くと酸化作用による腐食性を発揮するなど(目に入ると失明の危険性)、個人が取り扱える化学薬品ではない。毒物あるいは劇物であっても希釈した製品であればその対象外となるので、すでに調合済みの感光剤(フォーミュラ)をeBayを介して調達した。

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サイアノタイプの場合、露光後の処理は反応しなかった薬剤を水で洗い流すだけと簡単だが、ヴァンダイクの場合は露光中の画像形成に使用されなかった硝酸銀と鉄を除去したのち(硝酸銀は皮膚を腐食する可能性があるので手袋が必要)、現像を停止し画像を安定化させるための定着作業が必要となる。

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@ 水洗作業:

硝酸銀は水に可溶性の為、紙の繊維に残った硝酸銀は水洗で取り除くことができるが、アルカリ性(カルキが入っている為)の水道水では残留鉄は染み(ステイン)となって画像を劣化させる。つまり、アルカリ性に振れた浴で処理すると残留第二鉄がプリントに残り、鉄(III)が銀を酸化するため色褪せをもたらすようだ。

従って、浴はわずかに酸性であることが不可欠となる。水4Lあたり約小さじ1杯のクエン酸を加えることで適切なpH(pH7を若干下回る程度)となるようだ。水道水にいきなりプリントを晒すのではなく、この割合でクエン酸を加えた水(20℃程度)を張ったバット(トレイ)にプリントを入れて1分程、濯ぐのが良いようだ。必要に応じて同じくクエン酸を加えた水を張ったバットを取り替えながら濯ぎを繰り返す。

この過程でプリントは鮮やかなオレンジ色に変化する。定着作業に入る前のこの段階で必要であれば調色(トーニング)を行う。

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A 調色作業(必要に応じて):

プリントの銀が調色剤(トナー)中の金属に置き換わることで色調が大きく変わるが、銀の約90%が置き換わる金(塩化金(III))等を含むチオ尿素トナーがベストのようだ。もっとも、塩化金(III)は毒物及び劇物取締法により劇物に指定されているので個人が扱うことはできない。

チオ尿素トナー

蒸留水 750ml
1%塩化金 50ml
1%チオ尿素 50ml
酒石酸 0.5g
塩化ナトリウム 20g
蒸留水 1000ml

この調色プロセスは画像の保存性にも関係している。つまり、上述の水洗を行なってもプリント中の残留第二鉄をすべて取り除くことは不可能な為、銀を酸化させ最終的には色褪する。銀を他の金属に置き換えることでこの色褪せを防ぐことができるということである。

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B 定着作業:

チオ硫酸ナトリウム(所謂ハイポ)50gを水750mlに加えてかき混ぜ完全に溶けたら、250mlの水(20℃)を加え、5%チオ硫酸ナトリウム溶液(定着液)を作成する。この定着液をバット(トレイ)に満たしプリントを5分間程、含浸させる。定着液に入ると画像が大きく暗くなる。含浸時間を長くすると色が褪せてくるので頃合いを見計らう必要がある。この際のバッドはゼラチンシルバーで通常使用する金属製のバットではなく、百均などで売られているプラスチック製のバット(トレイ)が良い。プリントから離れた銀粒子がバットをエッチングするからだ。

この含浸作業の後、チオ硫酸ナトリウムをプリントから完全に除去する為に、バットにプリントを入れて20℃の流水に40分間晒し、プリントを吊るして乾かす。

C クリアリング(必要であれば):

上述のバットにプリントを入れて20℃の流水に40分間晒すことに代えて、1%の亜硫酸ナトリウム溶液(1000mlの水に10gの亜硫酸ナトリウムを加えたもの)に20分含浸した後、20分流水に晒す作業(クリアリング)。

亜硫酸ナトリウム溶液はクリアリングペーパー用に希釈したコダックハイポクリアやハイコなどの市販の溶液があるが、皮膚への炎症性があるので時間がかかるが単純に流水に晒す方(Bまでで)が良いかもしれない。

プリントが乾くと画像がさらに暗くなる。このことはヴァンダイクがプリントアウトプロセスであり、最終濃度の約半分となるように露光を制御する必要がある。サイアノタイプの場合は露光が過多であっても漂白作業で調整できるが、ヴァンダイクは露出度の高い領域では階調がなくなるので、露光直後のプリントは見た感で淡めになるのが良いようだ(以下、状態を表す動画)。


(スラブ舞曲も心地よい)

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前置きが異常に長くなってしまったが、ヴァンダイクはサイアノプリントと異なり何かと薬品や所作を必要とする。

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@ 水洗作業用にクエン酸(クエン酸の代用としてホウ砂)、B定着作業用にチオ硫酸ナトリウム(所謂ハイポ)、作業全般に用いるポリエチレン性使い捨て手袋、それぞれの作業に用いるバット(トレイ)は百均の野菜などを洗うトレイを各々購入した。

紙はサイアノタイプで実績のあるCotman Water Colour Paper(B5 Fine)を用い、調合済みの感光剤(フォーミュラ)からスポイトで数滴紙に落としてスポンジ刷毛で均一に塗布(薄い緑色)。この一連の作業はサイアノタイプと同様、暗室でなくとも可能(暗めの室内灯下で作業)。

露光はサイアノタイプの場合と同じ。但し、最終濃度の約半分となるように露光を制御する必要がある。用いるアナログネガのコントラスト次第だが、露光時間はサイアノタイプの場合よりも短くなるようだ。

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(Polaroid Digital Palette HR 6000で作成したアナログネガ=35mmフィルムをLucky Attache-35 (EL-Nikkor 1:2.8 f=50mm)にセットして露光している状態)

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(6.5" x 4.25"の写真乾板をLPL Model 7451(EL Nikkor 135mm / F5.6)にセットして露光している状態)

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(露光完了直後のプリントの状態)

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(@ 水洗作業中の状態=オレンジ色がかっている)

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作例:
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(露光時間約4時間・露光過多と感光剤の塗布ムラが結果に反映している)
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(露光時間約1時間)

比較(サイアノタイプ・トーニング有):
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UV光源の引き伸ばし機(+アナログネガ)でヴァンダイクプリントは可能である、とその外国人に返事をした。プリントの結果は満足するに至らず、試行錯誤が必要ということも判った。ヴァンダイクは奥が深いと云われるだけある。

(おわり)


posted by ihagee at 09:26| ヴァンダイク

2021年11月17日

それでも「白い嘘」なのか?(ワクチン)



NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長三木由希子氏のネット記事に目が留まった。

公文書とは何か…「薬害エイズ事件」の文書が与えた大きな影響 公文書問題30年史(1)

薬害エイズ事件訴訟で原告側の有力な証拠となり国が謝罪し和解する理由にもなった、通称「郡司ファイル(厚生省生物製剤課長を務めた郡司篤晃氏のメモファイル)」に端緒する「公文書」の定義の件(以下記事抜粋)は興味深い。

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“ジャーナリストの魚住昭氏が自身のウェブサイトで採録・公開している週刊現代「ジャーナリストの目」でも、郡司ファイルがどのようなものであったのかが触れられている。

それによると、「実は厚生省の新庁舎ができたとき、職員たちは「机の上に物を置くな。日常、使わない物は(新設の)倉庫に入れろ」と指示されていた。その倉庫から見つかったファイルの中身は雑多なメモや新聞記事だった。メモは、課内のスタッフが議論のために書いたのを直ちに捨てるのも気が引けるので、郡司篤晃課長がファイルしておいたものだった」とある。

魚住氏は、「つまり『郡司ファイル』は隠されていたのではなく、単なる『ごみファイル』だったのである」とまとめているが、これは、「行政文書」に関わる議論が濃縮されたような話だ。

郡司氏は部下からメモを示されていたので、部下のメモや参考資料としとして共有されたものは、職務上共用された文書に当たる。

また、ファイルは適切に管理されずに倉庫に放置されていたとしても、共用部分にファイルが保存されていれば、必要な場合に組織的に用いることができるものとして保管されていることになる。郡司氏の意図は関係なく、組織的に用いられる文書としての形式を満たしていることになる。“

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その「郡司ファイル」には

“「非加熱製剤を使用しないよう業者に対する行政指導をする」などと、新任の技官補佐が「思いついた個人的意見」を記したメモもあったが、それが課内で議論されたことは一度もなかった。まだHIVの正体が分からなかったからだ。” (魚住昭氏)

そうであろうとも “組織的に用いられる文書としての形式を満たしていることになる。“

つまり「郡司ファイル」は情報公開条例の請求対象文書としての「行政文書」に「組織的に用いる」という定義を加えるきっかけとなった。

この定義は反面、

“余計な文書は残さない、文書をやたらと共用しないし共用スペースで保管しない、個人メモと行政文書の線引きをして分けて管理する、合法的に廃棄できるものは廃棄するといった教訓になる。情報公開請求の対象文書の範囲を広げる役割を果たした郡司ファイルは、その反面、組織的に用いられる状態に文書を残すことのリスクを、政府内で印象付けたともいえるだろう。結果的に、その後、情報公開法施行を前に文書の廃棄が始まり、何が行政文書に該当するのかという線引きが問題になるのである。“(三木由希子氏)

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たとえ『ごみファイル』であっても情報公開条例の請求対象文書として「(共用部分で)発見される文書」であれば組織的に用いられる文書(=公文書)としての形式を満たしていることになる。さらに言えば「課内のスタッフが議論のために書いたのを直ちに捨てるのも気が引けるので、ファイルしておいた」郡司氏に公文書隠匿の悪意はない。

他方、安倍政権下、森友学園公証記録(財務省)、南スーダンPKO派遣記録(陸上自衛隊)等々、1年未満保存文書のため短期間で廃棄済みだから存在しない=公文書の隠蔽廃棄は “職務上共用された文書”であるにも関わらず、事後その形式要件を満たさなくすることを意図するゆえに悪意がある。それが何故悪意なのかは、その情報を隠匿する側にとって利益となり、情報が開示されるべき国民にとって不利益となるからだ。

「郡司ファイル」を「教訓」として逆にこのような悪意に基づく公文書管理の恣意的運用が蔓延することになった。学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、「郡司ファイル」と本来なるべき「赤木ファイル(自殺した同省近畿財務局職員赤木俊夫氏が改竄の経緯を記した文書)」は「発見」されたものの黒塗りの開示であり、これは上述の利益・不利益の観点に照らせば「悪意」を意図しているに他ならない(赤木氏の公務災害認定報告書のみ本月17日付でほぼ全文開示された)。

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<本題>

“職務上共用された文書”(公文書)を国民の目から遠ざけたり(隠匿・廃棄)、大衆を欺く(嘘をつく)ことが、むしろ公共の利益の為になる場合もある

そんな馬鹿なことはあり得ない!と思うかもしれないが、新型コロナウイルス感染下の公衆衛生の保持に於いては、嘘や不真実は許されるのである

新型コロナウイルス(COVID-19)に関するWHOの「パンデミック」宣言を考えてみたら良い。日本国に於いて、このウイルスに罹った人は総人口の1%足らずであり、季節性インフルエンザの感染規模と同等またはそれ以下のendemic エンデミック(地域流行)又はepidemic エピデミック(流行)の範囲でしかない。

しかし、この感染症は国際社会に於いては人類にとっての脅威(パンデミック)とされている。これは我が国の感染状況に照らせば未だ明らかに事実の「誇張」であるが、人々があまり注意を払っていないとき、より良い公衆衛生の結果を達成するために誇張したり(不真実)嘘をついたりすることは、人々に注意を払わせ、結果として命を救うことになる。そのつく嘘が公共社会にとって利益となるのであるから「善意」に基づく嘘ということである。事実、WHOと米CDCは例えば、遺伝子ワクチン接種による免疫獲得の機序を過度に単純化したり、ワクチンの効果をあえて過大評価し非接種者が感染を拡大する主因であるとする。また、追加の接種を続けない限りパンデミックを抜け出すことはできないと言う。これらには多分に「誇張」がある。また、治験中で未だ確証(特に中長期の安全性)もない「安全性」を喧伝することは「善意」に基づく嘘または不真実である。

また、厚生労働省配下の「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」に於いて、構成員の間における自由かつ率直な議論が妨げられることがないようにする観点等から審議内容の公表等について座長が適当と認めるときは非公開とすることができることとしている。感染症の専門家であるからと言って、大衆の行動など他の複雑な問題に対する特別な洞察を備える者ではない(リスクコミュニケーションの専門家がボードに加わっているが洞察すべき問題はその範囲だけではない)。その議論の内容によっては「一般の人がパニックを起こすのではないか」と専門家自身がパニックを起こしたり(エリートパニック)、専門知識は譲渡できないにも関わらず、自分たちが他の分野にも通用する一般化された賢さを持っていると勘違いする。ここから、たとえ自由かつ率直な議論であっても国民の目から遠ざけたり、公共の利益のためであれば時として大衆を欺いたり嘘をつくことも倫理的であると考える。

新型コロナウイルス感染下の公衆衛生の保持に於いて必要な誇張や嘘だから(それで救われる命があるのなら)、これを「善意の嘘(白い嘘・高貴な嘘)」と呼ぶ。

関連記事:いつまでも「うそつきロボット」で良いのか(原発事故なる国家の宿痾(治らない病)

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つまり、“公衆衛生には「嘘をつく権利」が自己割り当てされている” と考えて良いだろう。

公衆衛生の保持のために必要な「善意の嘘(白い嘘・高貴な嘘)」ならばそれでも良いだろうが、そのつく嘘が公共社会にとって利益とならない、否、むしろ害悪となる場合、それは「本当の嘘」でしかない。

「善意の嘘(白い嘘・高貴な嘘)」や小さな不真実の積み増しは予測不可能な結果をもたらすこともある

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「あなたが私に嘘をついたことではなく、もはやあなたを信じられなくなったことが私を揺さぶった(ニーチェ)」

より良い公衆衛生の結果を達成するために誇張されてきた「パンデミック」。その為についた嘘や小さな不真実自体にやがて人々は注意を向けるようになる。複数の情報源を漁り、多くの視点を得ることによって、その嘘や不真実が公衆衛生上の利益にならないことを人々が知った時(「本当の嘘」と知った時)、社会は予測不可能な結果に陥る(「もはやあなたを信じられなくなった」)。

白い嘘と本当の嘘は以下の6つの特徴で区別することが可能ではないだろうか?
(参照:What Is a White Lie? Certain features distinguish white lies from big lies. by Ekua Hagan

1:「意図」
本当の嘘には悪意があるが、白い嘘には善意がある。
2:「結果」
本当の嘘の結果は深刻なものになりがちだが、白い嘘の結果は非常に些細なものであることが多い。
3:「受益者」
本当の嘘は、嘘をついた人に利益をもたらす傾向があるのに対し、白い嘘は、嘘をつかれた人や関係に利益をもたらす傾向がある。
4:「嘘の度合」
本当の嘘は大部分が嘘であるのに対し、白い嘘は真実を曲げただけのものが多い。
5:「普遍的に誤りである」
本当の嘘は普遍的に間違っていると考えられているのに対し、白い嘘は大体において真実ではないと考えられる。
6:「嘘の白さ」
本当の嘘はその嘘が与える刺々しさが際立つが、白い嘘は社会的に受け入れられる、取るに足らない、良心的な嘘である。

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新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン接種(mRNAワクチン)について上述の特徴を当て嵌めてみると以下のようになる。

1:「意図」
他国での治験完了や国内の完全な薬事審査を必要としない緊急認可は、その治験中の医薬品によって引き起こされるあらゆる危害から製薬会社を免責することであり、何ら科学的確証もなく「安全」を吹聴したり、医薬品と危害との間の因果関係について科学的に真実を求めようとしないことは国民にとって利益にならない。製薬会社を免責とするのであればなおさらに加害者の存在の有無に関わらず被害者に対して補償する「無過失補償制度」が必要であるのに、接種は自己責任と被害者を放置することは悪意がある。
2:「結果」
約半年ほどの新型コロナウイルスワクチンの接種の間に、過去すべてのワクチン死亡報告事例の毎年の記録を大幅に上回っているどころか、約 30年間ほどのすべてのワクチン死亡事例と匹敵するものとなっている(米CDC「ワクチン有害事象報告システム」)。「安全」なる白い嘘の結果は「非常に些細な」ものなどではない。
3:「受益者」
接種者にのみ社会生活や経済活動上の便宜を図る。接種による感染予防効果が期待値通りでないにもかかわらず、ワクチンを有効手段とすることは製薬会社の利益にしかならない。インドなど感染集積地で収束効果があった安価な経口駆虫薬(イベルメクチン)について頑なに承認しないことは、公衆衛生上の「受益者」が国民である観点を欠くことである。
4:「嘘の度合」
ワクチン有害事象はメディアで報じられることがない。報じられるとしても接種直後の軽度なアナフィラキシーばかりで、科学的確証(中長期の安全性については当然確証などない)のない「安全」サイドのバイアス=嘘の度合が常に報道にかかっている。
5:「普遍的に誤りである」
治験中の医薬である上での危険性(有害事象は厚労省に報告されているのだから予見可能性はある)の社会周知がなされておらず、社会的同調圧力で半ば強制的に接種を図ることは「ニュルンベルク綱領」が定めるインフォームド・コンセントの法的原則を欠く非倫理的な人体実験である。
6:「嘘の白さ」
接種・非接種者の間で深刻な差別・分断が生じ、社会全体が殺伐となる。非接種者の雇用(生存権)を奪ったり犯罪者呼ばわりすることに公権力が加担する(オーストラリア)など、ウイルスと戦うのではなく、人間同士、そしてワクチンと戦わざるを得ない様相や、公衆衛生上必要な介入をはるかに逸脱した差別主義(アパルトヘイト)の様相は、到底「白く」ない。

新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンおよびワクチン接種に存在するのはそれでも「白い嘘」なのか?

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白い嘘の歴史

白い嘘の定義が文書化されたのは、1741年にイギリスで発行された「The Gentleman's Magazine」という雑誌に掲載された記事である。その中で著者は、「ある高貴な女性が...白い嘘と黒い嘘を賢明に区別している」と書いている。白い嘘とは、誰かの財産や利益、評判を傷つけることを目的とせず、ただ、おしゃべりな性格や、素晴らしい話をして人を楽しませたいという気持ちを満たすためのものである」と書かれている。つまり、「白い嘘」とは、昔話を盛り上げるための無害な嘘に過ぎないと考えたのである。白という接頭語が使われたのは、歴史的に白は純粋さや善良さを連想させ、黒や闇は悪意や邪悪さを連想させたからである。オックスフォード英語辞典によると、嘘をつくという意味での「lie」という言葉が初めて使われたのは1,000年以上前だが、「white lie」という言葉が記録されたのは1567年のことで、以下のように抜粋されている。"I do assure you he is vnsusspected of any vntruithe or oder noted cryme (exceptte a white lye) wiche is taken for a Small fawte in thes partes." このように、白い嘘という言葉は、その始まりから、本当の嘘が持つ道徳的な負担や非難から解放された、より軽い嘘という意味合いを持っていた。

(おわり)

追記:「受益者」の観点:
「新型コロナウイルスのワクチン接種1回当たりの平均価格は、配送費などを含めて2400円程度とみられることが27日、政府の資料で分かった。政府が確保済みか、確保に向けて海外の製薬会社と協議中のワクチンは計6億8400万回分で、支出額は1兆6685億円に上ることも判明。世界中でワクチンの獲得競争が激しくなる中、政府はこれから供給を受ける分の単価を高く見積もっており、値上がりしている可能性がある。(共同通信2021年8月27日付記事引用)

比較:イベルメクチン(ジェネリック薬)[260円] 1回/12mg

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再追記:
要は「白い嘘」なのか?であって、「本当の嘘」をあれこれ詮索することではない
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「本当の嘘」の「意図」などは「関係者の認識の食い違いなどにより、物事の真実が明らかにならない」藪であるから不用意に入り込まないことだ(拙稿:「藪の中」考)。その藪にはオカルトめいた陰謀論まで紛れ込んでいる。
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客観的な物事に照らして「白い嘘」なのか?だけに関心を抱き、自分と家族の身の処し方だけを考えることが大事だと考える。たとえ「真相は藪の中」であろうと、藪中思考は一分の理もない。
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子宮頸がんワクチン被害者救済(ワクチン接種再開反対)に取り組んでいる池田利恵・日野市議会議員が先日自身のフェイスブック上で「京王線事件はやらせ」かと受け取られるような内容の投稿をしたようだが、かかる藪中思考は本論の立ち位置までも危うくする。客観的な物事に照らして「白い嘘」なのか?だけを問えば自ずと持論の正しさが明らかになるのに残念なことだ。






posted by ihagee at 18:05| 日記

「これまでのIOCの言い分を考えてみよう」



「IOCを相手取った」IOC登録商標『五輪』無効審判について、同無効審判の請求人でもある三木義一氏(弁護士、前青山学院大学学長)主宰のYouTubeチャンネル『庶民大学TV Japan』に以下最新動画がアップロードされた(ゲストは同じく請求人である柴大介弁理士)。




「これまでのIOCの言い分を考えてみようではないか」と題するこの動画では、IOCファミリー(オリンピックファミリー)の有する4条2項登録商標(公益著名商標)
例:
・「OLYMPIC」

・「オリンピック」、および

それらと類似する(上掲のオリンピック表示標章と類似する)
・「五輪」について、商標法上の使用権と禁止権の関係から

・IOCファミリーの商標権者(特にIOC)
・IOCファミリーの中の商標権者以外の者(開催都市、組織委員会、JOC、スポンサー企業)
・IOCファミリー以外の者(我が国の大衆=メディア、国民、事業者及びその需要者)
の各々について使用実態を詳らかにしている。

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具体的には、IOCファミリーの商標権者以外の者及びIOCファミリー以外の者は、使用権原なく登録商標を使用していることになるので商標権侵害をしていることになり(商標法第67条)、商標権侵害罪に該当する行為を行っている(商標法第78条)。

他方、IOCファミリーの商標権者(IOC)はかかる違法使用に対して過去ただの一度も差止警告をせず(「五輪」について)、剰えIOCファミリーは4条2項登録商標(公益著名商標)について広範に公然と商標法上違法となるライセンス活動をしており、その対価として4000億円に迫る協賛金を得ている。組織委員会の「大会ブランド保護基準」では、IOCが我が国の商標法に反する違法行為をしライセンシーを商標権侵害の状態に置く惧れがあることを自認してしまっている。つまり、IOCは、開催都市契約に基づき、組織委員会・JOCを通じて、大々的な商標法違反活動をしていることを自認していることである。

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これらの点はIOC登録商標『五輪』無効審判(商標登録第6118624号)の直接の無効理由とはなり得ないが、IOCが「五輪」をオリンピックに関する主な知的財産として全く認識していなかった事実を示している。

次回動画は以下の無効理由について触れていくとのこと。

理由1:商標法第3条第1項柱書違反
IOCは、本件登録商標の出願時に出願商標『五輪』を使用している又は使用意志があるとは認められない。

理由2:商標法第3条第1項第2号
『五輪』は、我が国では自他商品識別力を喪った商標法第3条第1項第2号に該当する慣用商標であり、商標法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。

理由3:商標法第4条第1項第6号
『五輪』は商標上の非営利公益事業の表示商標であるオリンピック表示標章に類似する商標であるから、商標法第4条第1項6号に基づき登録を受けることができない。

理由4:商標法第4条第1項第7号
IOCは自らが表示主体となる標章及び商標の管理及び権利行使を適切に行っておらず、請求人を含む我が国における公共性と公益性を損ない、請求人を含む我が国の需要者が不測の不利益を被ることになるため、IOCには「主体に着目した公序良俗違反」が適用されるべきである。

理由5:商標法第4条第1項第10号
『五輪』は、他人での業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である『Olympic』及び『オリンピック』に類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項10号に違反し、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきである。

(おわり)

追記:
IOCファミリー(オリンピックファミリー)も我が国の大衆も「五輪」を違法に使用し続けてきた。その違法状態を放置し続けたことは「異常と言っていいのか、到底法治国家とはいえない世界であったということができる」(動画より)。

その認識もなく性懲りも無く2030年冬季オリンピックの札幌開催招致活動が着々と行われている。札幌以外の立候補都市の地政学的条件を勘案すると札幌開催決定の可能性が高い。

法治国家たる認識に立つからこそ、「一億総懺悔」などとその違法の旗振りをした者(IOCファミリーおよび日本政府)までも一般大衆の一億に紛れて懺悔(傷を舐め合うばかりの無責任)を託つことなど許してはならず、その責任を明らかにすべく、IOC登録商標『五輪』無効審判(商標登録第6118624号)を提起した意義は大きい。


posted by ihagee at 03:21| 東京オリンピック