2021年08月28日

COVID-19 ワクチン接種への異論 - 続き6


アパルトヘイト(Apartheid)=人種隔離政策。


(「白人オンリー」南アフリカ1982年)

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「パレスチナ問題では、ユダヤ人によるアパルトヘイトに近い行為が問題視されている。何百万人ものパレスチナ人(アラブ人)が、教育、自由な移動、雇用、健康の提供といった基本的な権利を否定されている。南アフリカの黒人が白人ではないという理由で差別されたように、パレスチナ人はユダヤ人ではないという理由で差別されている。アパルトヘイトとする批判を、反ユダヤ主義に基づく差別と非難している。」(アパルトヘイト:イスラエル / wikipediaより)

そのイスラエルで新たな隔離政策が始まった。


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イスラエルでは、1940年に制定された公衆衛生条例により、健康上の緊急事態における強制的な予防接種が認められており、基本法によりそれに対する憲法上および法律上の保護(「人間の尊厳と自由および患者の権利法」)が与えられている。今のところ、イスラエル政府はCovid-19に対する強制的な予防接種プログラムを開始していないが、同国政府は、コロナ法に基づいて2021年2月19日に発行された規則により、主に民間部門で使用される「グリーン・パス」として一般的に知られている制度を制定した。この制度では、予防接種を受けた人やCovid-19から回復した人にデジタル証明書が発行され、レジャー、スポーツ、文化活動への参加が認められる。スポーツジムでのトレーニング、文化的イベントへの参加、ホテルでの宿泊、レストランでの食事などは、グリーン・パスを持っている人にのみ許可されている。グリーン・パスで制限されている以外の施設では、その施設の運営者が施設の入り口でCovid-19検査を行い、その場でCovid-19検査を受けて陰性であれば入場する手段を採るようだ。

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パレスチナ問題でのアパルトヘイトに近い行為を他民族・宗教に対するユダヤ人の優越が明記された「ユダヤ国民国家基本法」で自己正当化したと同様、「グリーン・パス制度」導入を以って形としてはアパルトヘイトに近い行為(以下の懸念事項に於いて)をイスラエルは公衆衛生上の必要な介入として正当化している。

グリーン・パス制度に関連する主要な懸念事項:
@ 予防接種の有無による個人の区別と、その人権への影響である。これは、(「グリーン・パス」を持っていない人々の)個人の権利と公衆衛生上の必要性をどのようにバランスさせるかという問題である。
A グリーン・パス制度が限られた公共活動のために実施されたにもかかわらず、この政策が事実上、拡大される傾向がある。具体的には、グリーン・パスが労働市場では正式には適用されないにもかかわらず(労働市場規制を導入するかどうかについて、厚生省と財務省の間で意見が一致しないため、規制の空白が生じている)、ワクチン接種者と非接種者の区別がすでに労働市場で行われている。雇用主は、予防接種を受けていない従業員の職場への立ち入りを制限したり、場合によっては仕事を打ち切ったりするなどの措置を取るための特権を行使するなどの例である。
B ワクチン・パスポート導入により個人情報が政府によって管理されること。

様々な理由(思想信条・身体条件等々)でワクチンを接種していない(接種を選択しない)人々の権利、特に労働の権利、人間の尊厳、職業の自由が、公衆衛生上の介入(「グリーン・パスオンリー」)の下で脅かされつつあるということだ。


(現在イスラエルでは、6歳以下の子供はワクチンを接種しないとレストランに行くことができません。医療アパルトヘイトは今や一般的に行われており、政府によって強制されています。人々は、自分の自由、仕事、子供のために戦っています。)


(フランス : ワクチンパスポートが必要なレストランをボイコットして路上で飲食。パスポートが枷となってレストランは客足が戻らない。)

「ワクチンパスポート」に基づくワクチンを接種していない人々を対象とする隔離政策は、実質「医療アパルトヘイト」ではないか?という問題意識は、グリーン・パス制度に関連し現実に起こりつつある上述の事項からも容易に浮かび上がる。

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新型コロナウイルスワクチンを共同購入し途上国などに分配するWHO主導の国際的な枠組み(COVAX)には、「医療アパルトヘイト」はワクチン接種が進まないからだ、国民の8割方が接種を済ませれば非接種者が存在しようと集団免疫が確立し、公衆衛生上の隔離政策(非接種者に対する)を採らずとも新型コロナウイルス感染は終息する(人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなることで、感染症が流行しなくなる)という考えが底にある。

スクリーンショット 2021-08-28 10.01.41.png

(厚労省のウェブサイトから)

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ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンの2回接種を完了し、現在では、接種可能な12歳以上の約78%が2回のワクチン接種を済ませているイスラエルで、一旦は達成されたと思われた集団免疫が今は変異株(デルタ株)の感染拡大と死亡率増加という局面になっている。マスク着用が再び義務化され、併せて上述のグリーン・パス制度に基づく隔離政策が強化される憂き目は、「ワクチンですべてが解決する」という考え方が誤りであることを示す例となっている(イスラエルは3度目のブースター接種を進めながらも、ワクチンだけでは十分でないことを学習したようだ)。

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我が国の方向性:
@ ワクチン接種依存
菅首相「明かりはハッキリ見え始めた」…ワクチンはデルタ株にも有効と強調、全ての対象者の8割に接種できる量のワクチンを10月初旬までには配分すると言明(高齢者向けの新型コロナウイルスワクチン接種で接種を終えた人の割合は7月30日時点で1回目が86%、2回目が74%に達している)。
A ワクチンパスポート “国内での活用の在り方検討”
新型コロナウイルス対策をめぐり加藤官房長官は、社会経済活動の回復に向けて、ワクチンの「接種済証」や、いわゆる「ワクチンパスポート」の国内での活用の在り方を検討していく考えを示した。

イスラエルの事例を他山の石としないようだ。これでは同じ轍を踏むことになる。特にAについては(安倍=菅政権と続く)政治の無責任の裏返しである「私権制限論」が鎌首をもたげるので要注意である

私権制限論:
「社会不安、社会危機を解消するため、個人の自由を大きく制限することがあると、国会の場で決定していくことが重要だ(吉村洋文・大阪府知事会見 / 2021年4月23日)」
” 吉村洋文・大阪府知事が新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために「個人の自由を制限する」法整備を求めるのに対し、泉房穂・明石市長は、こうした私権制限論に反対し「政治家の責任放棄だ」と批判しています。「自由か、安全か」の二者択一は古くから論議されてきましたが、新型コロナウイルスが国民に与える恐怖感は、ともすれば「安全」を重視するあまり「過度な自由制限」に傾く危険性をはらんでいます。” (ラジオ関西トピックス 2021年5月3日付記事引用 / 弁護士・藤本尚道氏)

関連記事:「政治家の責任放棄=私権制限論

(おわり)

posted by ihagee at 10:32| 日記