三木義一・青山学院大前学長(東京新聞「本音のコラム」でも活躍中)主催の「庶民大学TV Japan(YouTube)」の「オリンピックとライセンス(法令編)」及び「オリンピックグッズと商品化権ビジネス」と題する動画の紹介に続き、その続編となる動画「オリンピック、そして日本社会を蝕む商品化権ビジネス」を以下掲載したい。
「IOCファミリーによるオリンピック商標の違法ライセンス問題を考える」を著した弁理士 柴大介氏がゲストとして参加し、オリンピックと「商品化権ビジネス」について同書籍で取り上げている諸問題を商標法の観点から三木氏相手にとてもわかりやすく解説している。
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(おわり)
追記(以下私見):
「オリンピック、そして日本社会を蝕む商品化権ビジネス」動画の最後で三木、柴両氏が語っているように、一部の者の私益のために、法を侵したり解釈を変更し、道理に合わない理屈を述べ立てること(牽強付会)が平然と行われ(政治)、そのことについて諦めに近い「思考停止」をしてしまった我々の社会の有様は、オリンピック関連商標の違法ライセンス問題(「商品化権ビジネス」としてあたかも法に則っているかに偽装)からあらためて浮かび上がっている。電通の考案した「商品化権」という契約当事者の間でしか通用しない一種の符丁が契約の依拠すべき「商標権」およびその制度を骨抜きにし剰え破壊していく有様である。
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これは商標権・商標制度に限ったことではない。日本学術会議が新会員に推薦した6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題にあるように、学問の自由と自律(「個人が国家から介入を受けずに学問ができること」と「公私を問わず研究職や学術機関が、政治的な介入を受けず自律すること」)を保障する憲法23条および歴史的法解釈までも、その憲法に縛られるべき首相が平然と干渉し、この国の先人たち(昨日惜しくも亡くなられた益川敏英氏など)が築き上げてきた思想的営為共々、徹底して否定にかかっている。
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「政権や政策の正統性」を法に求めず、むしろ邪魔になる法は憲法といえども「縛られない」と蔑み、一切の議論を排する全体主義を全国津々浦々に広めれば広めるほどに政治的不純(嘘)が付き纏う。嘘と思考停止・無責任に日本社会全体が陥る結果になっている。
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テレビをつけても、論理だった議論も丁々発止と議論すべき場面もない。朝から晩までバラエティ(エンタメ)一色、出てくる顔ぶれはどれもこれも背景知識も社会的責任もないお笑い芸人・タレントばかり。何事も茶化して笑っていれば済む事なかれ主義に一緒に笑って巻かれていくか、絶望して諦めるか、いずれにせよ深く考えることが馬鹿らしくなる世の中になっている。しかめ面をして感染者数を伝えたその際から顔を紅潮させてメダルを幾つ取ったと叫ぶNHKを含めテレビ局のアナウンサー達をTVでみるたびに、スイッチ一つでパラレルワールドを行き来するゲームの世界に連れ込まれるような気味の悪さがある。現実社会は一つでしかないのに、彼此を考え合わせることをやめてしまって、彼れは彼れ此れは此れと何の疑問もなく片付ける。その先に“一人暮らしは自宅を病床に”(小池都知事)と、個人を此岸に見捨てても構わないとする社会が到来する。
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正義や道義に悖る大人たちは子供たちにたとえ理想なりとも「正義」を示すことすらできない。ひと昔前なら十指に余るほど挙げることのできた「正義の味方」なるヒーロー像は、今の子供たちには一つとして思い浮かばないだろう(子供たちがはしゃぐのはゲームやコマーシャリズムの世界のキャラばかりである)。むしろ「生き馬の目を抜く」ことを良しとすることを大人は子供たちに率先垂範し、その最たるものがオリンピック(2020東京大会)ではなかろうか。
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