2021年05月28日

違法ライセンス問題こそ「アルマゲドン」



" 東京オリンピック・パラリンピックの聖火を日本に運んだ特別輸送航空機「TOKYO2020号」をモデルにした非売品の模型の偽物を販売したとして、警視庁生活経済課が東京都大田区の金子幸広容疑者(39)を商標法違反の疑いで逮捕したことが捜査関係者への取材で判明した。金子容疑者は偽物の模型を中国から輸入し、販売していたとみられる。財務省によると、全国の税関では東京五輪関連の偽グッズの輸入差し止めが相次いでおり、エンブレムがデザインされたピンバッジやTシャツ、レプリカメダルなどの模造品が確認されている。逮捕容疑は2020年6〜7月、インターネットのフリーマーケットアプリで、特別輸送機の偽物の模型3個を計約3万円で顧客3人に販売し、同大会組織委員会の商標権を侵害したとしている。逮捕は26日。20年4月以降、偽物の模型20個超を計約30万円で販売していたとみて調べる。輸送機には公式エンブレムなど特別なデザインが施され、20年3月に全日本空輸と日本航空の共同運航でギリシャ・アテネから聖火を運んだ。組織委は100個超の模型も作製し、非売品として関係者らに配布していた。捜査関係者によると、デザインは酷似しており、大きさは本物(200分の1)と同じもののほか、異なるサイズもあった。本来は作られていなかった箱も用意され、エンブレムや、全日空と日航のロゴマークなどが描かれていた。五輪関連グッズの偽物はネット上で今も販売されており、組織委はサイト運営者に削除を働きかけるなどしている。組織委は「公式サイト以外のネット販売やオークションサイトで購入する際は注意してほしい」と呼びかけている。" (毎日新聞 2021年5月28日付記事引用)

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(東京2020オリンピック聖火を運ぶ特別塗装機 "TOKYO 2020 号" の公式レプリカ/全日空websiteより)

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大会組織委員会の商標権を侵害した容疑で逮捕者が出た。

かたやスポンサー企業には侵害を黙認し、改正商標法31条で「合法化(後述)」した側(大会組織委員会)には現状、何のペナルティもない。

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特技懇2020.5.29 no.297記事に以下の一文がある。

これによりオリンピック商標が通常使用権の許諾を通じてさらに活用されるようになって、多くの種類のライセンス商品が販売されるようになった。」(下線=筆者)

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「IOCファミリーによるオリンピック商標の違法ライセンス問題を考える:イマジン出版(柴大介著)」



この本のP.93-96の記載から、「非営利公益団体の登録商標ライセンス活動の制限」があることは法改正前、それら団体にとっては共通の認識であって、その法律行為(ライセンス契約および活動)が違法(不健全)であるとの認識(「登録商標のライセンスを法的に正面から認める方が健全」)は大学やNPO法人ばかりでなく、その活動をまさに最大化する必要性があった非営利公益団体=公益財団法人たる、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が認識していなかった筈はないことが判る。違法(不健全)であるとの認識があるから「非営利公益団体の登録商標ライセンス活動」は「制限」されざるを得なかったということである。

またP.102の脚注に『本論考を検討する過程で「違法ライセンス契約を商標権の禁止権不行使契約と読み替えれば違法状態を解消できるのではないか」なるご意見を何人の方からいただいた・・が、要は「侵害行為黙認契約」で・・脱法的行為といえる』とある。

したがって、上掲の特技懇の一文は、侵害行為黙認契約(非係争型契約)であってもその法律行為による権利(オリンピック商標に係る)の特定の者に対する供与はライセンス契約に他ならず、「ライセンス商品が販売されるようになった」ではなく「ライセンス商品が販売されていた」=「非営利公益団体の登録商標ライセンス活動の制限」があると大会組織委員会は知りつつ、違法(又は脱法的)な法律行為を行なっていた(サブライセンスは現行法に照らしても完全に違法)と法改正後に自認した一文と理解すべきなのかもしれない。その侵害行為黙認契約(非係争型契約)は関係当事者間の私的合意に過ぎず、商標法に何ら基づかないにもかかわらず法的に問題がないとしていたわけである

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ライセンス契約の違法(又は脱法)状態は確かに存在したが、商標法第31条改正を経て「合法化」され過去に遡って違法状態は解消した、とする向きがある。その認識の上で、スポンサー企業は大手を振ってオリンピック関連商標を使ってライセンス活動を行なっているのかもしれない(過去のライセンス活動の違法性を認識しているのなら尚更に)。

しかし、商標法第31条改正を以って、ライセンスとその派生効果について違法状態が過去に遡って「合法化」されたのではない

P.132「法律不遡及の壁」に「改正商標法は、施行前に設定された商標権及びその派生的権利には遡及適用されず、施行前の違法ライセンスとその派生効果が解消しないため、施行前に主要なオリンピック商標が登録されていることを鑑みれば、ライセンス禁止条項を一部削除する法改正をしても、本問題は実質的に何も解決していないことになる。」とあり、その根拠は商標法第31条改正は原則遡及しない実体法改正に基づいており、実体法改正で遡及する場合は「・・・についても本法を適用する」等の経過規定が置かれるとされるところ、経過規定は手続部分である商標法第68条の28第1項の一部について「なお従前の例による」とされる以外は置かれていないことにあるとしている。

したがって、ライセンス契約の違法状態は商標法第31条改正を経ても過去から今に至っても継続しており、かかる契約に基づくスポンサー企業(IOCとの間でライセンス契約を結んでいるトヨタなどパートナー企業も同じ)のライセンス活動も違法ということである。

公益著名商標のサブライセンスについては法改正と関係なく過去も今も禁止=違法であり、しかし、多くのサブライセンス商品が公然と出回っている。これらは「商品化権」というマーケティング分野の当事者間でしか通用しない概念(関係者間の合意でしかない)=実定法に依拠しない契約上だけの概念での「キャラクターなど著作物の "利用"」としているが、実質は公益著名商標の不正 "使用" 許諾である(商標法違反)。商標法で禁止されているサブライセンスをあたかも正当であるかにみせかけているに過ぎず、その法的根拠は商標法で一切説明することができない。(拙稿:「商品化権」ですから・・!?

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なお、オリンピック関連商標を用いたライセンス商品の巨大な経済力は大学/NPO法人のロゴが付いたようなグッズ販売のわずかな経済力とは到底比ではないことを鑑みれば、その非係争型契約は取引市場における公正な競争秩序を阻害するとして公取委が独禁法を適用する可能性があり(商標権についても、そのライセンス契約に独禁法上の指針を適用する旨が公取委から公表されている/資料,p.3)、公取委が乗り出してもおかしくない)なおさら、非係争型契約(禁止権不行使型契約)だから法改正前でもOKだったいうわけではない。

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さらに、上述の禁止権不行使型使用許諾は非係争型契約で、なおかつその契約に基づく事業(公益目的と称して)に多額の税金が投入され、契約当事者間での商標権の消極的効力(侵害行為黙認)と、片や納税者であり受益者たる国民に対するアンブッシュ・マーケティング対策のような商標権の積極的効力(前述の商標権侵害容疑での逮捕)との間で、経済的な力が均衡を欠くことになる。

これは、上述の逮捕事例に限らない。オリンピックエンブレムを掲げて商店街でオリンピック応援セールを行うことすら「アンブッシュ・マーケティング(侵害行為)」に該当する。

上掲の本のP.49には「アンブッシュ・マーケティングに対する牽制の在り方」として『「アンブッシュ・マーケティングととられる」行為等に対し差止請求できるかの主張・警告がなされている・・高度な公益性の観点から、組織委員会は、これらの行為がどの法律で規定されたどの行為なのかを明示した方が望ましいと思われる。」との記載がある。

実際、商標権の積極的行為を以って禁じようと大会組織委員会は躍起になっている。

開催都市契約の39項d)の<無許諾使用に対する措置>にはこうある。

「無許諾使用に対する措置:OCOG は商標権を含む(ただし、それには限定されない)本大会に関する財産の無許諾使用について監視するものとする。OCOG が、かかる無許諾使用が発生した、または発生しそうであることを知った場合、OCOGは、(@)その旨を即刻 IOC に通知し、(A)IOC の要求および指示に基づき、当該無許諾使用(または、本大会に関する知的財産を侵害するその他の行為)を防止および阻止するために必要なすべての合理的な措置を即座に講じるものとする。その措置には、当該無許諾使用に関与している団体または機関に対して、その使用が IOC の権利を侵害していることを通知すること、また、開催国内にて、政府が、当該無許諾使用を防止または阻止するための適切な措置を取るようにすることが含まれるが、これらには限定されない。上述の財産の無許諾使用に関する開催国における措置は、IOC と協議のうえ OCOG により、OCOG の費用にて行うものとする。上述の財産の無許諾使用に関する開催国外での措置は、OCOG の費用で、OCOG と協議のうえ IOC により、または IOC の要請に従い OCOG自身が行うものとする。OCOG が、上述の措置を講じることができず、またはこれを拒否した場合、IOC が本契約、コモンローまたは衡平法に基づいて有する権利に加えて、IOC は、OCOG の名義でかかる措置を講じることができる(ただし、それは義務ではない)。」(下線=筆者)

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大会組織委員会(OCOG)が保有している商標権(商標権者=大会組織委員会)の侵害が「IOCの権利を侵害している」ことになるのかについては議論があるが、大会組織委員会はそのようなアンブッシュ・マーケティングは発見したら通報するように呼びかけを行なっている(例:東京 2020 教育プログラムとして参加を大会組織委員会に申請する団体への「マーク等の使用等に関する確認書」)。

「18. 特記事項
(1)当団体は、自ら又は実施パートナーその他の第三者をして、アンブッシュマーケティング(IOC、IPC 又は貴法人の事前の許諾無しに、オリンピック・パラリンピックに関する知的財産を使用すること、又はオリンピック・パラリンピックのイメージを流用すること)を行わないことを誓約するものとします。また、当団体は、本事業の実施会場において、第三者によるアンブッシュマーケティングを防止するためにあらゆる合理的な措置を講じるものとし、アンブッシュマーケティングが行われていることを把握した場合には直ちに、貴法人に対し書面により通知し、必要な調査を行うことを承諾します。また、貴法人の要求があれば、当団体は自らがアンブッシュマーケティングの解決に向けてあらゆる措置を講じることを承諾します。」(下線=筆者)

そもそも侵害者に対する権利行使権能(侵害防止・通知・調査をする権能)がない「オリンピック・パラリンピックに関する知的財産を使用する」者(上述の「申請者」)にアンブッシュ・マーケティング監視を半ば義務付けるかの内容の確認書については、公益目的事業を行なっているにも関わらずその公益著名商標の使用を希望する者に使用権を自由契約だからといって許諾することは公益著名商標の制度趣旨に反する上、権能のない者に行使権能(侵害防止・通知・調査をする権能)を与えることは、商標権濫用であり、同時に、独禁法19条「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」違反(強行法規適用)にも該当する内容を含むものだ。

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開催都市契約ではさらに以下記載がある。

87. 準拠法と争議の解決:免除特権の放棄
「本契約はスイス法に準拠する。その有効性、解釈または実施に関するいかなる争議も、 スイスまたは開催国における通常の裁判所を排除して、仲裁によって最終的に判断され、スポーツ仲裁裁判所のスポーツ仲裁規則に従いスポーツ仲裁裁判所によって決定される。」

これに法の適用に関する通則法を照らすと、

公序)
「第四十二条 外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。」

スイス法に準拠すれば上述の問題がことごとく「問題ではない」とされるのであれば、すなわち、わが国の法秩序(公益著名商標制度)や取引市場における公正な競争秩序(独禁法)=「公の秩序」に反することであり法秩序を破壊することであるから、通則法が該当し、ゆえに開催都市契約および関連する諸契約(IOCとのパートナー契約(TOP))にスイス法は適用されず日本国の法律が適用される(通説)という大転回になる。

開催都市側に懸念される損害賠償請求など、スイス法に準拠するからこそIOCにとって一方的に有利な契約内容も、日本国の法律と裁判管轄権が適用されれば認められない可能性まである。

また、上述の違法な法律行為は税法上IOCに認許されているであろう「外国公益法人」なる身分の認定取消ともなり(税法上の優遇がなくなる)、「営利法人」たるIOCの「公益目的事業」として大会組織委員会に委託されたオリンピックに税金を投入する(した)法的根拠さえ失うことになる。

商標法の違法ライセンス問題が蟻の一穴となって千丈の堤(IOCの世界観)をも崩すことになるが、これは決して想像を逞しくして言うのではない。

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「アルマゲドンに見舞われない限り、東京五輪は計画通りに開催される(ディック・パウンドIOC委員)」

オリンピック関連商標の違法ライセンス問題は、商標法に留まらずこの国の法秩序全体を破壊する「アルマゲドン」であろう。

コロナ以前に違法ライセンス問題で東京五輪はそもそも開催できないと、法律に関わる者であれば先ず以って指摘すべきことである。逆に言えば、その「アルマゲドン」を糊塗するためには「何が何でも開催する」となるが、たとえ開催したとしてもすでに発生している「アルマゲドン」をなかったことにはできない。「アルマゲドン」はブーメランとなってIOCに跳ね返り、その組織、事業およびビジネスモデルを根底から覆すことになるゆえに「IOCの世界観の終末」を意味している、と私は考える。

IOCファミリーによるオリンピック商標の違法ライセンス問題を考える:イマジン出版(柴大介著)」は事の重大を認識する上で唯一の指摘である。オリンピック開催反対のその科学的根拠を、主観的政治的にも捉え得る事象(コロナなる感染症)などではなく、客観的事実と法律(政治解釈の余地のない行政手続法=商標法)に求めるこの本の購読を強くお勧めしたい。どうにも否定しようもない根拠だからだ。

(おわり)


posted by ihagee at 06:19| 東京オリンピック

2021年05月26日

ガイアツに頼るは恥



" 英BBC放送電子版は25日、米国による日本への渡航中止勧告が「ガイアツ(外圧)」となって、東京五輪の中止につながるよう多くの日本人が願っているとの見方を伝えた。日本特派員の記事は、渡航中止勧告が「米国代表団の東京五輪出場取りやめにつながることを多くの日本人が期待している」と指摘。日本人の多くが五輪の中止を望んでおり、米国代表団が辞退すれば日本政府は開催断念を強いられるとみられていると紹介した。さらに、米国オリンピック・パラリンピック委が五輪出場に影響しないとの見解を示したことに「(開催に反対する日本人は)落胆しているようだ」と伝えた。" (2021年5月24日付共同通信)

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母屋でボンボンと火の手が上がっているのにその家の主人ときたら庭先に緋毛氈を広げ野点(のだて)の準備をして遠来の客をもてなそうとしている。「来るとの約束だからもてなさなければ、そうでもしないと逆恨みされて火でもつけられたら・・・」と主人は言う。煙に巻かれ真っ青になった家人が通りに向かって「誰か助けてぇ」・・・。

白昼夢のような情景だが、これが現実のありさまの喩え。

我が事なのになぜか他人(ひと)任せ。自分でありながら自分でなく頭と体がバラバラに動くその様は傍目では操り人形のように滑稽だが、それが我々の姿であって、身動きに糸や操り手を期待する「ガイアツ」は決して褒詞ではない。

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"Gaiatsu−the Japanese term for “foreign pressure”−is the idea that the only way to get Japan to do something that it doesn’t want to do is for foreign partners to apply enough pressure so that eventually Japanese decisionmakers relent." (CSIS=戦略国際問題研究所 websiteから)

「ガイアツ(外圧)」とは、日本にとってやりたくないことをやらせるためには、外国のパートナーが十分な圧力をかけて、最終的に日本の意思決定者が降参するように仕向けるしかないという考え方である。

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「日本の意思決定者」は「ガイアツ(外圧)」がなければ決定できないは、日本は意思決定能力が乏しく、「外国のパートナー」は圧力さえかければ日本が言いなりになると学習しているということである(Gaiatsuという国際語になっている)。「やりたくないことをやらせる」のは米国であったりIOCであったり、反対に「やめさせる」は外国のメディアであったり国際世論であったり。降伏・追従=自ら敗れたことを認め相手に従うこと、を常に仕向けられる(ことを期待する)性(さが)は悲しい。その行為の主体でありながら意思を他者に投げてばかりいるから行為に責任を負う意識も希薄になる。

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「ガイアツ(外圧)」が何たるか知らない国が相手なら、IOCは疾うに(とうに)尻尾を巻いて逃げていっただろう。

いかなる主権の原理も本質的に国民に存する、その国民から明確な意思を表示すれば「ガイアツ(外圧)」など必要としない。「ガイアツ(外圧)」に頼るということはその原理がないということ。大いに恥じなければならない。必要なのは国民主体の「ナイアツ(内圧)」。



「オリンピック」を「戦争」に置きかえてみたら、

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(おわり)


posted by ihagee at 03:26| 東京オリンピック

2021年05月25日

これがパリだったらIOCは開催しない



「これがパリだったら IOCは開催しない」

” いかなる主権の原理も本質的に国民に存する。どの団体も、どの個人もそこから明確に発しないような権威を行使することはできない。自由とは他人を害しないすべてのことをなしうること。” (人権宣言から)

人権宣言(1789年)発祥の国、主権原理にとりわけ市民意識(観念)の強い国柄では、コロナ禍での開催にパリ市民の大多数が反対すれば、それがパリ大会であればIOCは開催を自ら直ちに中止する。

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開催都市および属する国家の市民/国民の主権を蔑ろにしてまで、IOCは開催の自由を行使し得ない。つまり、かかる意識の高い市民/国民に対しては、IOCは敬意を払うということだ。

さらに、人権デューデリジェンス(人権侵害のリスクを特定して、予防策や軽減策をとること)の立場では、開催都市がその行動指針を厳しく要求するのであれば、公衆衛生上のリスクが人権の基本たる「生存権」を脅かし少なからず「犠牲」まで想定した時点で、IOCは開催を自ら中止するに相違ない。

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逆に、人権(国民主権)意識が低く、デューデリジェンスが企業の行動指針になっていないような都市/国家にこそ、どのようなリスクがあろうともIOCはその権威を遠慮なく行使するのである。そんな意識の低い市民/国民相手だから、「五輪を可能にするのは日本の皆さんのユニークな粘り強さの精神と逆境を耐え抜く能力(バッハ会長)」とか、ステレオタイプの国民性を持ち上げて "おべんちゃら" でも言っておけば、開催に靡くとIOCはタカをくくっている。

つまり、日本国/東京都の国民/都民、大手新聞各社などオリンピック協賛企業はその程度と、IOCは見ているわけだ。われわれ国民は誰もが昨今のIOC関係者の高圧傲慢な発言に苛立っているが、しかし、どのようなリスクがあろうと開催しようとする東京都および菅政権および大会組織委員会などが、開催反対の大多数の民意を無視し「何が何でも開催」とIOCと共に踵を合わせているから、結果としてIOCを増長させているのである。

中国政府による少数民族に対しての人権抑圧問題で国際社会からその開催に反対の声が上がっている北京大会(2022年)ですら、要するに、国際世論が反対しようが、当事国の市民意識が低いからIOCは開催の意向を取り下げる必要がない。

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「東京だから開催しない」とIOCに言わしめ、「御見逸れしました」とIOCに頭を下げさせることこそ必要であり、そうさせるも翻せば我々の一人一人の意識(主権が国民に存する)に掛かっている。

「水は低きに流れ、人は易きに流れる」、しかし、低きところ易きところに国民主権の原理は存在しない。低きところ易きところへ流れる先を失ったとき、オリンピックはその歴史を終えるだろう。

(おわり)

posted by ihagee at 04:07| 東京オリンピック