福島から始まった聖火リレー。参勤交代の大名行列よろしく「下にー、下にー」とスポンサー企業のド派手なコンボイトラックが旗持ちを勤めている。
ところがその旗にあのシンボルがない。

前回リオ大会(2016年)ではあったのに。

前々回ロンドン大会(2012年)ではあったのに。

さらにその前の北京大会(2008年)ではあったのに。

最上位のワールド・ワイドパートナーたるコカ・コーラは過去の大会のトーチリレーで常に嚆矢としてIOCの旗持ちをしてきたが、その「下にー、下にー」と堂々と正面に掲げるべきオリンピック・リングがない(目立たない箇所にあるのかもしれないが)。

(コカ・コーラの本来の旗印)
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IOCファミリーによるオリンピック関連登録商標の違法ライセンス問題があるからなのだろうか?
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2019年3月20日開催の参議院法務委員会、小川敏夫議員(立憲民主党・民友会・希望の会)が、オリンピック関連商標(商標法第4条2項に基づく登録)のスポンサーへのJOCの使用許諾は、許諾を認めないとする商標法の条文に明らかに違反(第31条1項但書き)するとJOCを所轄する文科省に質した。
(拙稿:「大問題:スポンサーに対するオリンピック関連商標使用許諾は商標法違反」)
国会でも明らかになったこの問題はIOCのバッハ会長も知るところである。
(拙稿:「国際オリンピック委員会への手紙」)
(国際オリンピック委員会(IOC)への手紙(2019年4月21日付で国際郵便にて発送され4月25日付でIOC本部=スイスに配達確認済)の写し(添付物共)一式がPDF形式でネット公開された(公開書面)。)
" 改正商標法は、施行前に成立した商標権に基づくライセンス契約に遡及して、違法であったライセンス契約が施行後に合法化されることはない、ということもお話ししました。従って、これまでお話ししてきた違法ライセンス問題は、改正商標法の施行後も、実質何も解決していないということになります。"
(「オリンピック関連登録商標の異議申立と違法ライセンス疑惑の狭間で(5):IOCファミリーによるアンブッシュ・マーケティング規制の不毛」から引用)
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オリンピック・リングを含めオリンピック関連商標に係るライセンス契約は、商標法違反と国会の質疑応答でも明らかになった上では(商標法が改正されても改正前の登録商標に基づくライセンス契約は遡及的に合法化されない)、IOCと直接パートナーシップ関係にあるコカ・コーラ社としては、そのトーチリレーの鼻先にオリンピック・リングを掲げづらくなった・・ということなのか?(商標審査基準では「非営利公益団体」として IOC,JOC を例示しているので、IOCが商標権者であるオリンピック・リングは商標法第4条2項に基づく登録となる)。
商業主義オリンピックのそのレーゾンデートルたるオリンピック関連商標に係るライセンス契約がそもそも法的に問題を孕んでいたということは、そもそも東京大会は開催できなかったということでもある。コロナに打ち勝った証どころか、商標法という思わぬ伏兵に寝首を掻かれていたということだ。
(おわり)