2020年02月11日

「その他」=Otherとは何だ?(続き)



“世界保健機関(WHO)はクルーズ船内の感染について、日本への上陸前の発生とし、感染者の数を日本国内の発生には合算せず「その他」とするようだ。国内の発生は無症状の人も含め25人。“ (毎日新聞 2020/02/07記事引用)

WHO、「上陸前だから日本国内の感染者ではない」という日本政府の主張を受け入れる、との報道。疫学上の発生条件の違い(発生条件:閉鎖空間)を数値に反映するよう日本政府がWHOに要求したということらしい。今のところ日本だけがこの学問上の違いを主張し感染者数をWHOに仕分けさせている。

以上、先の記事の引用。

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ジョンズ・ホプキンス大学のCoronavirus 2019-nCoV Global CasesでのJAPANの数値が混乱している。おそらく、Othersという「日本でありながら日本でない」地域分類の不明さが理由なのだろう。

クルーズ船内の感染者数:135を日本国内感染者数:26と併せて:161=JAPAN と一旦は表示されるものの(2月11日午前5時時点)、
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今(2月11日午前6時半時点)はまたクルーズ船内の感染者数をOthersに仕分けた表示に戻っている(WHOから戻すように指摘があったのだろう)。
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疫学上の発生条件の違いは数値上であれば示すことができても、地図に重ねるとその発生場所=クルーズ船は、船が着岸している日本以外に示しようがないということ。

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日本政府はクルーズ船をオリンピックおよびパラリンピックの訪問者向けのホテルとして使用することを検討している(参照:2018年10月27日付スポーツ報知記事)。クルーズ船を宿泊施設として長期停泊させるこの「ホテルシップ」計画は、大きな見直しを迫られることになるだろう。リスクに対する備えが全くないばかりか、WHOを介して政治的に真っ先に印象操作を企てたことに対して国際社会から疑念をもたれている。宿泊施設どころか隔離施設として乗客乗員ごと閉鎖空間での感染環境に長期間曝し、それが日本国民の為(水際防疫)という論理は、却って「ホテルシップ」がリスクの温床(隔離対象)となる側面を強調することにもなった。

そのような「ホテルシップ」ではなく、感染症指定医療機関の陰圧病室数を早急に増やしリスクへの備えを行うことが求められている。

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「その他」=Otherとし、クルーズ船の乗員乗客の上陸よりも船内での隔離を優先した理由ははっきりしている。すなわち、感染症指定医療機関の陰圧病室が埋まってしまう為。今後、国内感染者が少しでも増えれば、その余地が途端になくなるとの恐れであろう。一般個人が新型コロナウイルスの感染を疑って検査を感染症指定医療機関に申し出ても、その人自身が一次感染の事由(湖北省に渡った)または一次感染者との接触の事実がない限り検査を断られる現状はここに由来している。

万一、感染症指定医療機関の陰圧病室(1871)が埋まれば、あとは、院内感染覚悟の一般病室か、隔離(自宅隔離など)しかない。感染環境下に置かれたまま、自然治癒か死を待つ隔離=武漢と同じ状況に陥る可能性は誰も排除できない。

(おわり)

posted by ihagee at 07:02| 日記

2020年02月07日

「その他」=Otherとは何だ?



中国本土に始まった新型コロナウイルス感染禍は連日報道されている通りの状況となっている。

我が国も例外ではなく、横浜市の大黒ふ頭に着岸しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス(3771名乗船)」では船内感染者は計61人に上っている。

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“世界保健機関(WHO)はクルーズ船内の感染について、日本への上陸前の発生とし、感染者の数を日本国内の発生には合算せず「その他」とするようだ。国内の発生は無症状の人も含め25人。“ (毎日新聞 2020/02/07記事引用)

「その他」=Other については、WHOのサイトにその出典がある(以下の通り)。

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日本の領海内にあるクルーズ船とわざわざ注釈を付け、“international conveyance (Japan)” と項目にあるが、旅客機も含め、国際運輸機関=“international conveyance" での感染は日本だけの問題ではなく、「その他」=Otherと別に感染者数を計上するのであれば、日本以外の国や地域が関わる“international conveyance” についても同じ扱いであるべきところ、なぜか日本に限定している。とても奇異な集計の仕方である。

WHOのサイトでインフルエンザの感染者集計も確認したが、このような「その他」=Otherの別項は見られない。

WHOの集計上「その他」=Otherと別項にしても、地図で表せば、は日本国に重ねざるを得ない(日本国内の感染者数のと合わせて二つ)。その一つは日本国ではない=「日本国内での感染」ではないと主張したところで、図示すれば何の意味もない。日本だけの「その他」の仕分けは国際社会から奇異に受け止められる可能性がある(コロナウイルスの感染状況を視覚化しているジョンズ・ホプキンス大学のサイト)。

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(61名の数値が表すを国内感染のと二つ表示。日本国以外でこのような表示の仕方はない。)

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「その他」=Otherが異様に思えるのは私だけだろうか?旅客機だろうが客船だろうが日本行きのその途上で感染が判明したのであれば、人命の観点から国籍を問わずまずは全員を医療が十全な施設に搬送し、直ちに検査・措置を受けさせるべきであろう(その間しっかり防疫を行うことは当然)。クルーズ船は病院船ではない。武漢で感染してから日本に旅客機で入国した患者も日本の国内感染者としてカウントしているのだから、61名の感染者の内、少なくとも21名の日本人(上陸後入院)は日本の国内感染者としてカウントされて然るべき。

一旦日本の領海・領空に入った上は、「その他」=Other扱いにして漂流させ、その乗客乗員の命を危険に晒しても良いわけではない。いかなる国籍の人であろうと検疫と隔離治療を行うのが日本政府の人道的立場であって、日本国内の発生(数値上)にしたくないばかりに、「こんな人たち」扱いをしてはならないと思う。

オリンピックを控えていることからかもしれないが、「その他」=Otherに不都合を押し込め、あたかも水際作戦が成功しているかに印象付けるのは大変良くない(「アンダーコントロール」と壮語し、原発事故の実害を過小化したと同じ印象操作)。安倍政権の日頃の手前勝手な印象操作ぶりが、国際社会にそれこそ印象付けられることになる。

(おわり)

追記:
WHO、「上陸前だから日本国内の感染者ではない」という日本政府の主張を受け入れる、との報道。疫学上の発生条件の違い(発生条件:閉鎖空間)を数値に反映するよう日本政府がWHOに要求したということらしい。今のところ日本だけがこの学問上の違いを主張し感染者数をWHOに仕分けさせている。しかしその発生条件の違いを理屈に水際の防疫に利用している(クルーズ船に隔離している)主体は日本国・日本政府に変わりはない。二週間もその閉鎖空間に留め置いて、結果としてその中で感染者(持病が悪化するなどの要因もある)を増やしても、日本国内ではなく「その他」のことにしておくことはたとえ疫学上理屈が通っても、その乗客乗員の人命の観点からすれば、「その他」で良しと国際社会で共有されるのであろうか?同じ閉鎖空間の旅客機の乗客と同様、船が日本の港湾に接岸したのであれば直ちに医療設備が整った施設に全員を移すべきというのが国際世論ではなかろうか?「その他」=Otherと隔てることが、「漂流させておけば良い」との誤ったメッセージを国際社会に発信することになり兼ねない(大型クルーズ船「ウエステルダム号」はどの国も受け入れを拒否し漂流している)。

再追記:
「すべて中国人の責任だ」「船なんて放っておけ」「船籍の国の責任」「乗員乗客の自己責任=各自国籍の国に責任がある」「日本の対応は評価されている」「日本人は別だ」などとネットでコメントする向きがある(特にヤフコメ)。そう言う人たちは以下の図を見たら良い。

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ジョンズ・ホプキンス大学のサイト上の地図をズームアウトすれば(国際社会から眺めれば)、アジア全体の問題として意識を共有しなければならないことが判るはずだ。日本人も中国人もない。「その他」=Otherがいかに無用な仕分けであるかも判る。

「おもてなし」などと言って諸外国から観光客をさかんに呼び込んでおきながら、同様に呼び込まれる種々のリスクを、来た人の責任などとそれらの国に安易に転嫁して良いのか?リスクに遭遇する場面で途端に「帰れ」と島国根性がむき出しになるようでは、観光立国などやたら叫ばない方が良いのではないかと思う。

再々追記:
「その他(Other)」なる地域での感染者数が増大している。「日本にあって日本でない」とはまるで「募っているが募集していない」と同じ誰かの言い方。しかし、国際社会では「日本」の感染者扱い。

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(wikipedia "2019–20 Wuhan coronavirus outbreak"より引用)

「その他(Other)」に感染者数を押し込んで、「こんな人たちには負けない」などと日本が一人叫んだところで、アジア全体のクライシスの中にあっては戯論に過ぎず、IOC(および欧米のTOPスポンサー企業)は夏のオリンピックの開催地をアジアから欧州のいずれかの都市に変更することをそろそろ視野に入れているようだ。商業オリンピックゆえ集客の見込みが立たなければそういう結論になるやもしれない。
posted by ihagee at 17:56| 日記

2020年02月02日

サイアノタイプ - その101(引き伸ばし機)



前回記事に引き続き "チバ・システム" にチャレンジしたものの失敗を重ねるばかりでムダに紙を消費してしまった。素人合点は良くない。このシステムに係る論文("千葉方式 -重クロム酸塩ゴム印画法に代わる毒性のない写真法" 小林裕幸著)をまずは読むべきなのだろう。

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通常のサイアノタイプでプリントを行った。

用紙:Cotman Water Colour Paper B5 Medium
感光剤:Jacquard cyanotype kit (Potassium Ferricyanide & Ferric Ammonium Citrate)
引き伸ばし機:Lucky II-C (Fujinar-E75mmF4.5)
光源:50W 395nm UV LED unit (SMD=surface mounted LED modules) / レギュレータ & PC用空冷ファン
アナログネガ:120 infrared film(1950年代北海道積丹美国)
露光時間:約五時間

アナログネガは赤外線フィルムゆえハイコントラストでサイアノタイプにはとても相性が良い。

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(美国小学校・現在:https://goo.gl/maps/fAzCmcNMK9RMfcaH7
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オキシドール浴後(トーニング無)、乾燥、ワシンの水溶性つやだしニスで仕上げた。ほぼ黒に近い変色をもたらした。

通常のフィルムの場合は以下の通り。やや青味が残るがサイアノタイプとしては最大限階調を表現していると思う。

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染色(ダイ)用のJacquard社 SolarFastキット(ブラック)でのプリントも試みる(関連記事「サイアノタイプ - その93(引き伸ばし機)」)。過去の作例では乳灰色のドロリとした液剤をスポンジ刷毛で水彩画用紙に塗って乾燥させてから露光した。Jacquard社の説明では塗った状態ですぐにネガ(OHPフィルム)を重ねて露光すべし(コンタクトプリント)とある。つまり塗布した乳剤を乾燥させると感光が悪いということ。

そこで、乾燥させずいきなり引き伸ばし機で露光を試みた。

用紙:Cotman Water Colour Paper B5 Medium
引き伸ばし機:Lucky II-C (Fujinar-E75mmF4.5)
光源:50W 395nm UV LED unit (SMD=surface mounted LED modules) / レギュレータ & PC用空冷ファン
アナログネガ:35mm (135) film (Fuji Acros 100) 、百年以上前のポストカードをデジタルスキャンし、フィルムレコーダ (Polaroid Digital Palette CI 5000S)でアナログ変換したもの
露光時間:約五時間

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SolarFastは専用のウォッシュ液(薬品臭がある)で洗浄で洗うことによって発色を安定・定着させる。ジャスミン茶などタンニンによるトーニングやワシンの水溶性つやだしニスによる変色を受け付けない。露光不全の場合は全体に黄味がかって黒くならず薄いセピア色の寝ぼけた像になる。前回同様今回もそうなった。露光時間を延ばせば乳剤がその間に乾いてしまうので、光源を強化し露光時間を短縮するしかない。コンタクトプリントを前提としたSolarFastはその通りに用いるのが無難ということか。

比較まで、同じくデジ→アナ変換して作成したアナログネガフィルム(ガブリエル・レイ)での通常のサイアノタイプは以下。ワシンの水溶性つやだしニスで仕上げた。

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(おわり)

posted by ihagee at 10:12| サイアノタイプ