2019年03月22日

サイアノタイプ - その71(引き伸ばし機)



中華製懐中電灯タイプのブラックライト(FOCUSPET 100 LED)から取り外したユニットをもっぱら光源に採用し、本稿(サイアノタイプ / 引き伸ばし機)を連載してきた。 しかし、このユニットの欠点はLEDの寿命にある。B5サイズの印画紙に20枚も焼かないうちにLEDが劣化し感光に必要な紫外線を出さなくなる。そのたびに、安価とはいえどもFOCUSPET 100 LEDを買い足すわけだが、やはり不合理である。

そこで、φ5mm砲弾型のLEDが抜き差し可能な科学実験用のスペクトロライトSPL-100-CCを購入した。しかし、今度は装着するUV LEDの選択が必要になった。FOCUSPET 100 LEDのように感光に必要な紫外線を出すUV LEDであり、しかし高寿命であることが要件である。ナイトライド製の波長370-375nmのLEDを 6個、と残り94個はノーブランドの390-410nmで試してみたが、結果は良くない(前回記事の通り)。

作例(五時間かけたが、全体に淡い):
img057.jpg


ノーブランドのLEDは十数時間用いた段階で見た目にも光度が落ち劣化が早い。ナイトライド製のものは元々可視光が少ないため暗いが劣化はしていない。ノーブランドのLEDは一個10円もしないが、ナイトライド製のものは一個で数百円する。しかし、少しづつ投資しつつ試すしかないかもしれない。

----

さて、スライドプロジェクター(Minolta Mini 35)を利用したホームメイドの引き伸ばし機(光源はパーティ演出用UVブラックライト)でのサイアノタイプは好調である。光源の劣化もなく安定してプリントができる(焼き時間は十分〜四十分程度/B5印画紙)。ただし、欠点がある。プロジェクターのレンズ(P-Rokkor 2.5/75mm lens)のままだと投射距離が長すぎるのでテレコンのレンズを重ねて使っているがそのせいか、中央以外ピントが合わない。全体に眠くべたっとした感じになる。

作例(焼き付けは四十五分程度・水洗後ジャスミン茶でトーニング):
47347037021_bf38ac7437_k.jpg


元々、スライドプロジェクター自体が単焦点で設計されていたら、もう少し緻密なプリントが期待できそうである。検討の余地有り。

このホームメイドの引き伸ばし機での収穫はパーティ演出用UVブラックライト(10W)が光源として最適だったことだ。このパーティ演出用UVブラックライトも中華製の安物だが、長時間のライティングを元々想定した商品なのでLEDは耐久性に優れる(熱対策も施されている)。前々回の記事でチップオンボード(COB)LEDと記載したが間違い。SMDチップだった。チップ自体小さく集積しているため、光源が正方に小さくまとまっており、コンデンサーレンズの中心に光束を合わせるには都合が良い。

このパーティ演出用UVブラックライトに味をしめて、50Wの物をアマゾンから購入した。引き伸ばし機の光源として用いてみたくなったからだ。

61dqqmqQtwL._SL1200_.jpg

(10Wと比較して筐体がかなり大きい。)

このままだと大きすぎて使いづらいので解体した。

Collage_Fotor987.jpg


SMDのユニットとレギュレータ(電源)を取り外し、PC用のクーラーとファンを装着し引き伸ばし機(Lucky II-C)にマウントしてみた。コンデンサーレンズとの距離を合わせるために百均でプレゼント用の紙筒を買って、天地を丸くくり抜きアルミ箔を内貼りしてスペーサとした。

1910年代の古いガラス乾板をネガとして用いて早速サイアノタイプを行う(vif Art (B5 H.P. surface) paper )上掲の作例とガラス乾板は同じだが反転させてプリントした。比較して判るように階調も上がり結果は上々。焼き込みの仕方次第で濃淡も調整できそうだ。

作例:
40537252613_2e461039a1_k.jpg

(四時間焼き付け・水洗後オキシドール浴)

なお、ネットから得た知識に従い、Potassium FerricyanideとFerric Ammonium Citrateの配分を1:2にして、感光度を上げた。

光源としても安定しており、プリントの仕上がりも安定している。これならスペクトロライトSPL-100-CCを買わなくても良かったかもしれない。

また、以前、試してみたパーティ演出用UVブラックライトはCOBだったが、COBはその性質上、集積実装できないので、光源が散らばり、引き伸ばし機のコンデンサーレンズに組み合わせるには不適だった。そこでハイパワーLEDは総じてダメだと思っていたが、今回、SMDでは思わぬ良い結果となった。

スクリーンショット 2019-02-16 10.26.04.png

(COB LEDのパーティ演出用UVブラックライト)

作例(唯一成功したこの一枚以外、COBではプリントができなかった):

40115517033_6a1d157166_k.jpg

(四時間焼き付け・水洗・オキシドール浴後、ジャスミン茶でトーニング)

(おわり)


posted by ihagee at 00:00| サイアノタイプ

2019年03月21日

大問題:スポンサーに対するオリンピック関連商標使用許諾は商標法違反






同日の法務委員会の質疑応答内容:参議院インターネット中継・録画映像

----

以下、コメント。

オリンピック関連商標の権利はIOC, JOC, 大会組織委員会(OGC)などが所有し、JOCの責任で発足した東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会がスポンサー契約の窓口となり、オリンピック関連商標の使用権をスポンサー(すなわち協賛企業)に与えている。

2019年3月20日開催の参議院法務委員会、小川敏夫議員(立憲民主党・民友会・希望の会)が、オリンピック関連商標(商標法第4条2項に基づく登録)のスポンサーへのJOCの使用許諾は、許諾を認めないとする商標法の条文に明らかに違反(第31条1項但書き)するとJOCを所轄する文科省に質した。

表向き使用許諾でなく、商慣行として差止請求権(禁止権)不行使(すなわち、使用を黙認する)を以って脱法的に使用させていようと、使用許諾に変わりなく同法に違反(脱法ではなく違法)。もしそれが「許諾」ではないと関係者が主張するのであれば、許諾なき使用、すなわち許諾なく勝手にスポンサーに使わせていることになり商標法の侵害行為・刑事罪を構成する。いかなる形での使用にせよ、現商標法に照らせば違法使用であると糾弾。文科省・経産省・内閣府の官僚たちは答えに窮する場面多々。著作権がどうの民法がどうの、民間企業同士の秘密契約で合法と当事者から聞いているなどと四の五の意味不明な答弁を繰り返すに至って、オリンピック関連商標のスポンサー(企業)の使用について違法性があからさまになった。

違法性については、例えば、都下縦横に走り回るJPN TAXI(ジャパンタクシー)の車体に貼り付けてある、オリンピック・エンブレム(スポンサー:トヨタ)は商標法に違反して同エンブレムを使用していることになる。トヨタに限らず、スポンサーのオリンピック関連の登録商標使用は全て商標法違反ということになる。

後付け的にこっそりと商標法第31条1項但書き削除を含む「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定を経て今国会に提出されるものの、法案が国会で成立したとしても法令不遡及の原則に依って、現行商標法で出願登録されたオリンピック関連商標に基づく使用許諾は過去に遡って合法化されない。スポンサーシップ・プログラムでオリンピック関連商標を使用しているスポンサーにとっても刑事罰に問われるような違法使用状態が続くことになる。東京への招致段階の開催都市契約でIOCとの間で交わした法的側面からの政府保証の信用も疑われ(民間企業同士の契約問題ではない)国際問題に発展するだろう。日本だけでなく外国の大企業もスポンサーに名を連ねており、信用問題は彼らにも波及する。

国会質疑応答で違法性が公になった以上、オリンピック関連商標(エンブレムマスコットなど)の使用を続けることは犯罪。JOC竹田会長退任に至る裏金疑惑に引き続き、商標法のあからさまな違反にIOCは黙っていないだろう。

アンチ=アンブッシュ・マーケティングを掲げ商標法で保護されているエンブレムなどオリンピック資産の不正使用排除を金科玉条とするオリンピックゆえに、当のオリンピック関係者が自ら法を犯し剰えスポンサー(企業)に場合によっては刑事罰が科されるような違法行為をさせていることは大問題である。2020年のオリンピック開催に赤信号が点ったといっても過言ではなかろう。

もりかけ疑惑や統計不正問題では、現場の判断やら怠慢に責任があると安倍政権は行政の末端に責任を転嫁している。しかし、今回の問題の所在は行政の末端にあるのではなく、IOCに法的側面からの保証を与えた(2012年野田政権時)日本政府にある。つまり、オリンピック開催に向けた法的整備の責任は安倍政権にそっくり引き継がれている上は(2018年1月末までに必要な法整備をする旨をIOCに約束していたが、現法体系で保護は万全であると日本政府はIOCに説明)、最終的にはその責任は日本政府に問われることになる。「法の支配」の意味すらわからない人がこの政府のトップに君臨しているが、その意味を今度こそ肌身を以って知ることになるであろう。

(おわり)

追記:




「お咎めなしで法律の方をそれに合わせて変えようとしている。」

・・お咎めなしにはならない。なぜなら法を犯しているから(脱法ではなく商標法違反=違法)。
・・後付けで法律を変えても、違法行為は過去に遡って合法にならない(法令不遡及の原則)。
ただし、この国に法があるのなら。そのことが問われているのである。

----

法を蔑ろにしたままオリンピックが開催されようとしている。今や至るところで目にするオリンピック関連マークやマスコット。これらの大半が商標法違反・使ってならないとなれば、社会経済は大混乱に陥るだろう。事実、商標法違反であり使うことはもはや国をあげての犯罪行為である。このまま不法・犯罪に目を瞑り、公正(フェア)をモットーとするオリンピックを開催しようなどということは、もはや内政や政争政局に関わる問題などではなく、国際社会に於いて国家の信用に関わる一大事である。日本国を本当に愛するのであれば、等閑にしてはならない。

以下、拙い英訳も用意しました(貴兄の外国のお友達にもこの問題をお知らせ願いたく)。

Do you know that no licensing the use of Olympic–related registered trademarks to any person may be granted in terms of Japan trademark law, due to a provisory clause under Article 30(1) and Article 31(1) of the Japan Trademark Law? That clause refers to the provisions of Article 4(1)(vi) and 4(2) of the Japan Trademark Law substantially applied to every Olympic-related registered trademark in Japan if the owner of the trademarks is a non-profit organization. In fact, the owners of those Olympic-related registered trademarks are JOC, OGC and IOC, non-profit organizations. The provisory clause provides no licensing the use of registered trademark to any third party is possible, insofar as the provisions of Article 4(2) are applied to the mark.

Indeed, under the principle of freedom of contract for parties, non-assertion of rights to prohibit the use of Olympic-related registered trademarks (that is interchangeable with licensing the use of Olympic-related registered trademarks) may be claimed on the contract between the owner of the registered trademarks (e.g., JOC, OGC, IOC) and a person who wishes to be licensed to use (e.g., a company who wishes to be affiliated with the OGC under the sponsorship program), but which activity would give rise to a way to circumvent the original meaning of the provisory clause set forth above, that would aid unlawful use (viz. infringement of trademark right), and this means the lack of equilibrium in law, when compared to the practice (the top priority for JOC, OGC, IOC) of prohibition of ambush marketing (unlawful use) in terms of the same trademark law.

Meanwhile, the Bill for Partial Revision of the Trademark Law has been submitted to the Diet in this March in which the provisory clause under Article 31(1) be deleted, intended to allow the licensing the use of (non-exclusive right to use) registered trademark to any third party by the owner of the registered trademark, even if he/she is a non-profit organization. The reason for the revision is described in a minute book by the Industrial Structure Council, Intellectual Property Committee, Trademark System Subcommittee in the METI (Ministry of Economy, Trade and Industry, JAPAN), that is, “There is a problem in that even if the non-profit organization’s famous trademark is licensed to a third party, no legal effect is caused in terms of the existing trademark law. So, non-assertion of rights to prohibit the use of the mark is claimed on the contract between parties as if it was actually granted the licensing the use, but there is another problem (infringement).

Yes! Existence of problem has well been recognized by the METI, and the same METI substantially provided the IOC with the written guarantee of no problem.
(As seen from 2020 Candidature Procedure and Questionnaire (May, 2012) p115, no legislation was in fact, passed before "1 January 2018”.) The Host City Contract of which credit is secured by the governmental guarantee (the guaranteed by the METI) based on the 2020 Candidature Procedure and Questionnaire (May, 2012).

Even if that bill is passed through the Diet, and enacted, the credit worthiness would have seriously been damaged as of May, 2012, and the existing licensing granted to the third parties under the sponsorship program is in a state in which problem remains unsolved because new legislation is never applied to the trademarks as licensed due to “Principle of the laws and ordinances not being retrospective”.

To apply new legislation in order to solve problem, the registered Olympic-related trademarks must all be abandoned, and be filed again. This will be an astounding event, no doubt about it.

PS. On March 20, 2019, the Legal Affairs Committee of the House of Councilors made a question-and-answer session on the licensing of Olympic-related trademarks being in violation of trademark law. The bureaucrats were not able to respond properly, and the act of illegality was revealed.

posted by ihagee at 07:48| 東京オリンピック

2019年03月11日

サイアノタイプ - その70(引き伸ばし機)



科学実験用のスペクトロライトSPL-100-CCが届いた。φ5mm砲弾型LED(5個から100個まで)の抜き差しが可能なソケットを配列した基板で、18mA 定電流24Vの電圧のアダプタとケーブルが付属する。さっそく、φ5mm砲弾型LEDを用意した。ナイトライド製の波長370-375nmのLEDを 6個、と残り94個は390-410nmでノーブランド。LEDの足の長さがナイトライド製とノーブランドのものは違うので外見で見分けがつく。

さて、370-375nmのLED6個は均等に方陣に配置し残りは390-410nmで埋めた。砲弾型のLEDはカソード(-)はアノード(+)よりも足が短い。極性を間違えないように基板に差し込む。ソケットに押し込むとカチッと留まる。

基板上のLEDの配列面積はほぼコンパクトディスク(CD)の円盤の大きさと一致するので、CDケースを加工して基板とPC用の空冷ファンを合体させた。ファンからの風が基板の裏面に当たるようにケースの中央を丸く抜いて風穴を作った。基板にはポツポツと熱対策用に放熱穴が空いているのでファンからの風はこの穴も通ってLEDを足元から冷やすことになる。

この新たなユニットを銀塩写真用引き伸ばし機(Lucky II-C)に組み込んだ。レンズはNikon EK-Nikkor 1:2.8 f=50mmで、ネガはおよそ100年前のガラス乾板を使った。さて、何枚もプリントするものの芳しくない。

印画紙面の焼き目を視認するが、これまで使用してきた中華製懐中電灯タイプのブラックライト(FOCUSPET 100 LED)から取り外したユニットの場合と比較しても焼き目が浅い。深い濃緑色に印画紙上に顕像して焼き上がりとなるが、従来のユニットと同じ時間(5時間程度)かけても淡い緑色にしかならない。こういう焼き目では水洗すると殆ど像が残らないので失敗ということになる。淡いながらも何とか像が残ったのが以下の一枚。

img057.jpg


コンデンサーレンズとの距離やコンデンサーレンズの構成を二枚から一枚に変えてみるといった試行錯誤を施すも結果は同じだった。つまりLEDが目的に合っていなかったということ。ナイトライド製の370-375nmはUVカットグラス越しに着灯状態を視認すると殆ど可視光線が出ていないせいか暗くしか見えない。ノーブランドの390-410nmは中華製懐中電灯タイプのブラックライトと同じく明るい。さて、どちらが目的に合っていなかったのだろうか?ちなみに、新たなユニットを直接印画紙に間近でかざしてみると忽ち感光した。つまり、コンデンサーレンズと引き伸ばし用レンズを介することでプリントに必要な紫外線が減衰してしまったということになる。

これまで使用してきたユニットのLEDの特性と同じであればそのような仲介物があってもプリントできた筈である。その特性と同じLEDを装着すればプリントは可能だろう。LEDの選択をし直す必要がある。

Collage_Fotor598.jpg

(右下は新たなユニットでの印画紙上の顕像 / しかし水洗すると淡い像しか残らない)

無駄な投資とならないことを願うばかり。

----

さて、これでは面白くないので、スライドプロジェクター(Minolta Mini 35)を利用したホームメイドの引き伸ばし機に戻った。

DSC02103.JPG


こちらは快調そのもの。B5印画紙に10分〜45分以内で焼き上がる。プロジェクターレンズ(P-Rokkor 2.5/75mm lens)ゆえに、ピントが四隅で合わないのが欠点。

閉場直前の築地を2018年9月15日に撮影した35mmフィルムを使った(カメラ:Canon AL-1 / Kodak 400 Tmax / Carl Zeiss Jena, Flektogon 4/25)。フィルム撮影の結果は拙稿『「五輪」という破壊(続き6)』で報告の通り。

47346394821_45e3af1c7c_k.jpg


32404335577_fdf29f652f_k.jpg


47347037021_bf38ac7437_k.jpg


各々、45分焼き付け、水洗後、ジャスミン茶でトーニング

(おわり)

posted by ihagee at 13:21| サイアノタイプ