2018年06月30日

サイアノタイプ - その40(引き伸ばし機)



1950年代のネガフィルム(ブローニー&35mmフィルム)を用いたサイアノタイプ・プリントの続き。

1950年代の上野広小路。奥に松坂屋、手前に森永キャラメルの地球儀広告塔。そのビルに近江絹糸紡績とある。近江絹糸紡績株式会社は昭和20〜30年代初頭に<人権(絹)争議>と後に呼ばれる労使紛争で労働運動史に名を残している。三島由紀夫「絹と明察」もこの事件を元にしているそうだ(未読)。戦後、未だ女工哀史を是とする経営意識が色濃く残っていた時代、この争議が民主主義における基本的人権の重要性を国民規模で認識せしめたとされているそうだ。働き方改革関連法(実質は使用者側の「働かせ方」が動機)など労働者の人権が狭められている今はその真逆にあるのかもしれない。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(Fujinar-E75mmF4.5で七時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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さくらの赤外線フィルムで積丹美国を撮影した一枚(1950年代)。さくらの同種のフィルムは昭和10年から発売され、戦後はアマチュアでも上達者であれば使いこなせたのだろう。火星の表面のような異空間がプリントにも再現されている。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(Fujinar-E75mmF4.5で六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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同じく、積丹美国の一枚(昭和30年(1955)5月撮影)。美国ではなくニセコ辺りかもしれない。子供たちが駈けている清々しさはトーニングせずに仕上げた。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(Fujinar-E75mmF4.5で六時間焼き付け・水洗オキシドール漬)

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1950年代、大阪・堂島渡辺橋を俯瞰して撮影した一枚(35mmフィルム)。写真の橋は架け替え前の旧橋。威風堂々とした橋だったが、昭和41年に素っ気もない近代橋に架け替えられてしまった。川沿いに天ぷらの名店与太呂本店が見える。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(NIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8で六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

(おわり)

posted by ihagee at 07:20| サイアノタイプ

2018年06月27日

サイアノタイプ - その39(引き伸ばし機)



今回は1950年代のネガフィルムから焼き付けてみた。いずれもNIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8を用い、vif Art (B5 H.P. surface)に焼いた。

先ず、1957年(昭和32年)9月、北海道室蘭の天沢小学校グランドでの一枚。ブローニーのハーフ版だが、元が鮮明なだけに、サイアノタイプもかっちりと仕上がった。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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先ず、1955年(昭和30年)の函館(ブローニー)。青函連絡船に載せる貨車のバックヤード。向こうに見える青函連絡船は十和田丸か?。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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夕張・栗山町字日の出にあった新二岐炭鉱。その炭鉱関係者の宿泊施設に面した畑の一コマ(1955年(昭和30年)・ブローニー)。細部も綺麗に仕上がった。。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(八時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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1953年(昭和28年)の渋谷・東横百貨店(西館・現:東急百貨店)の増改築工事中の一枚(ブローニー)。東館は建て替えられてしまったが、元は戦前の建物であるこの西館は現存。周辺は証券会社が立ち並んでいた。

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(八時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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1950年代の積丹・美国の海岸での一コマ(ブローニー)。今も同じ景色なのだろうか?

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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古い写真であってもオリジナルのネガフィルムから直接サイアノタイプでプリントすると鮮明に画像が蘇る。上掲のプリントに用いたネガフィルムはいずれも60年以上前のものだが、記録媒体としての保存性・確かさはいまどきの電磁記録媒体には求め得ないかもしれない。時代を未来にまで保存するのであれば、ネガフィルムは捨てないに越したことはない。

(おわり)

posted by ihagee at 04:14| サイアノタイプ

2018年06月25日

サイアノタイプ - その38(引き伸ばし機)



アマゾンからまた一組、UV 懐中電灯(ブラックライト)を購入。UV LEDユニットだけ外して本稿の光源に用いる。これで三組目となる。二、三千円程の出費だが、これで一ヶ月楽しめるのならまぁいいだろう。

今回から冷却ファンでユニットに直接風を当てることにした。ユニットの裏側はプリント配線が露出しているので導電性のフィンを当てるわけにもいかず、これまでは間に非導電の熱伝導フィルムを介していたが、風を直接ユニットに当てた方が冷えると判断した。

さっそく、何枚かプリントを試みた(レンズはNIKON EL-NIKKOR 50mm F2.8を使用)。

Rolleiflex SL66 - 薔薇の花束ほか(モノクローム)で取り上げた虫眼鏡レンズの写真(Kodak TRI-X400)を元に焼き付けてみた。元が極端なソフトフォーカスなので、やはりそれなりの出来となった。

Rolleiflex SL66 with Homemade lens (using a x2 magnifier lens), Kodak TRI-X 400,  Location: in my home (Asaka-shi, Saitama, Japan), December 24, 2016

(元の写真)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 120 negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(六時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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掛川花鳥園での作例(Schneider-Kreuznach TELE-XENAR 135mm/F3.5ほか)続き、で取り上げたExakta RTL 1000とSchneider-Kreuznach TELE-XENAR 135mm/F3.5での写真(Kodak TMAX 100)を元に焼き付けた。

Exakta RTL 1000 / filmed by Carl Zeiss Flektogon 2.8 / 35, Schneider-Kreuznach Tele-Xenar 3,5/135, Kodak TMAX 100, Location: Kakegawa Kachoen in Shizuoka,  Japan, January 1, 2016

(元の写真)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(五時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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難波田城址公園での一枚(Exakta RTL 1000, Ilford Delta 400、Carl Zeiss Jena Flektogon 2.8/35)を元に焼き付け。

Exakta RTL1000 / filmed by Carl Zeiss Flektogon 2.8 / 35, Ilford Delta 400 / Orange filter Location: Nambata Castle Park in Saitama,  October 3, 2015

(元の写真)

Cyanotype print made on an old photographic enlarger directly from 35mm negative film without using a conventional contact printer and digital processing

(五時間焼き付け・水洗オキシドール漬後、ジャスミン茶でトーニング)

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デジタルネガはあらかじめパソコン上でフレームを決めなくてはならないが、アナログネガと引き伸ばし機の組み合わせなら、当たり前ではあるが印画紙に投影しながらフレームを自在に決めることができる(ズーム)。実際に投影してみて、ピンとこなければ、別のネガフィルムをフィルムキャリアに挟んで・・と、デジタルネガをプリントする必要も手間もないのが良い。ネガフィルムのスリーブから任意のコマを引き伸ばし機にかけてそのまま焼けるのは本当に楽だ。銀塩プリントのように面倒な後処理がないサイアノタイプの利点も加わって、焼き付け時間は長いものの、その前後の処理は至って簡単。暗室も臭い匂いもしないから家人に迷惑をかけなくて済む。

(おわり)


posted by ihagee at 18:17| サイアノタイプ