2017年05月03日

ガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)- その3(エドワーズとの出会い)



1902年、リリック・オペラ劇場でのアニュアル・パントマイム劇“Little Red Riding Hood” (赤頭巾) の舞台の上の、キラキラと輝く金髪にハート形に縁取られくっきりと青い目をした女の子の魅惑的な愛らしさに、観客が思わず賞賛の声を上げていた。その声の先には優美な動きをしたかと思えば、開脚して足先が床に着かんばかりのダンスを演じる赤頭巾役のギャビィがいた。興行の成功は最初から決まっていたようなもので、幕間に誰もがこの無名のアーティストの名前をプログラムに探し、それが19才のガブリエル・レイ(Gabrielle Ray)であると見出したのである。これは彼女の輝かしいキャリアの幕開けでもあった。



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この劇の初日にイーストに招かれていた劇場支配人の一人に著名なジョージ・エドワーズ(George Edwardes)がいた。この日の幕が降りるやエドワーズはギャビィと、この公演の契約が終わったら、彼のロンドン・オールド・ゲイティ(Old Gaiety)劇場の“The Toreador” に出演中の人気女優ガーティ・ミラー(Gertie Millar)の代役となる旨の契約を交わした。ギャビィはミラーと4才年下で顔立ちが非常に似ていたことも幸いした。

ジョージ・エドワーズ(George Edwardes 1852-1916)は自らミュージカル・コメディを創作することはなく支配人として辣腕を振るったが、1890年代から1918年までのギャビィの全盛期に亘って、彼はゲイティとディリー劇場の支配人を勤め、その他多くのウエスト・エンドの劇場の公演を催し、地方の劇場を巡る旅回りの一座を16ほど抱えていた。音楽、見世物、そして最も重要なこととして、その時代の真のスーパースターとなる魅惑的な女性という3つの要素ごとに、必要とする人間を選択し、ロングランと興行収益を約束することにおいて彼は卓越した能力を持っていたようだ。ギャビィはスーパースターとなるべく選ばれた一人だった。

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“The Toreador” の一連の興行が終わるや、ゲイティ劇場が改修の為に閉鎖された為、エドワーズはギャビィをロンドン・アポロ劇場に移し、432回もの公演回数でロングランとなった”The Girl From Kay's” でレティ・リンド(Letty Lind)の演じた役(準主役)を彼女に引き継がせた。



ギャビィは役を巧くこなしたばかりでなく、愛らしさとダンスの驚くべきしなやかさは彼女の成功を確実なものにした。

(つづく)

posted by ihagee at 00:00| ポストカード