2016年07月29日

乾板写真の美

ロール・フィルム写真以前の乾板の時代、1900年頃のオリジナルのネガを米国から入手した。
感光乳剤をガラスに塗ったドライ・プレートで撮影した写真である。

ガラスはフィルムと異なり、平滑性に優れ劣化しない。
さすがに乳剤は湿気などで劣化するが、劣化を免れた撮像には驚異的な美しさが記録されている。
真実とはこのように記録されるのだろう。そういう時代をうらやましく思う。
そうやって丁寧に撮られた子供たちは100年を超えても存在し続ける。

乳剤面を向けてEPSON GT-X980で2400dpiでスキャン(カラースキャン)した後、ポジ転換しブログ掲載用にリサイズした。湿気や熱に弱いプレートは防湿庫に保管した。

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(おわり)
posted by ihagee at 08:26| 古写真

2016年07月10日

スキャナ・カメラという試み

さて、ToRiZoは今のところ手に入る最も小型(A7)のフラットベッド・スキャナである(欧米では'Doxie Flip'という名で販売されている)。

ACアダプター化については先のブログ記事にて述べた。

CIMG3117.jpeg

アルバムから写真を剥がすことなく直に読み取る利便性。ここからハタと思いつくことがあった。

フィルムカメラの焦点面も読み取ることができるかもしれないと。

古いフィルムカメラの再利用法としては、ミラーレスカメラを用いる手法が一般的である。フィルムカメラのレンズだけドナーとして用いる、又はカメラの筐体にミラーレスカメラを組み込むということだろう。前者はアダプターさえあればカメラの筐体は不要(比較的安価)、後者はいわゆるデジタルバックでアダプトできるカメラが限られる上に非常に高価である(例:ハッセルのデジタルバック)。さらに言えば、前者は小さな撮像素子の大きさでしかレンズを活かせない。後者はフィルムの実際のコマ面積分の撮像素子が必要となりコストがかかりすぎる。

他方、ラインスキャナーの読み取る情報量はCCDやCMOSの比ではない。読み取る面積は走査する面積であり中判カメラのフィルム焦点面など難なくカバーする。欠点としては、ドキュメントの読み取りを目的とするゆえに、小型化されないこと(ToRiZoはアルバム上のプリントされた写真をスキャンする目的ゆえにA7まで小型化されているが)、読み取る時間分の対象物の動きまでブレとして記録することだろう。

したがって、一般的な据え置き型のA4フラットベッド・スキャナからスキャナ・カメラを発想すると、スキャナとの物理的バランスから自ずと大型カメラとの組み合わせとなる。この手のスキャナ・カメラの試みは様々ネット上で事例が挙がっているがどれもが大掛かりである。


(この事例のようにA4のフラットベッド・スキャナ、ノートパソコン、電源を必要とするなら機動性に劣る)

中判カメラを通り越して大判カメラとの組み合わせではフィールドに持ち出すことは不可能である。ToRiZoを私はAC電源化したが元は乾電池で駆動し、本体のSDカードに撮像を記録するスタンド・アローンの用い方ができる(スキャン結果も小さな液晶表示ながらもToRiZo本体で確認できる)。そして小型であることから、中判カメラに組み合わせることを考えると、現状では最適なスキャナと言えるかもしれない。

ただし、反射原稿を読むためのスキャナなので、透過物を読むようにはできていない。それでも、ものは試しと古びたオリンパス・シックスのフィルム焦点面にリア・プロジェクション用のフィルムを載せて、無理やりToRiZoでスキャンしてみた(カメラ側:バルブでシャッターを開放・絞りも開放、スキャナ側:カラー600dpi)。野外の景色は外光がスキャナーの内部に回り込んで黒くしか撮影できなかった。そこで、部屋を暗くしてパソコンの明るい画面に映し出したパターンを撮影してみた。

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Old film camera (Olympus Six) with a digital back (not the expensive one like Hasselblad CFV-50 Digital Back, but a cheap portable flatbed scanner 'Doxie Flip')

Old film camera (Olympus Six) with a digital back (not the expensive one like Hasselblad CFV-50 Digital Back, but a cheap portable flatbed scanner 'Doxie Flip')

結果は見ての通り。色を認識することができなかった。ToRiZoの光源をオフにし、さらに外光が回り込まないような工夫を施せば中判〜大判カメラと組み合わせて電池駆動のスキャン・カメラが実現可能かもしれない。透過光を直接取り込むことができればスクリーンすら不要だろう。腕の立つ方、夏休みの宿題にどうだろうか?

(おわり)

追伸:
スクリーンを介在させずにToRiZoでスキャンしてみた(カメラ側:バルブでシャッターを開放・絞りも開放、スキャナ側:カラー600dpiで共に手持ち)。
スクリーンがない方が対象物をはっきり捉えることができるようだ(モノクロであることは変わりない)。窓からベランダに向けて撮影した例では外光が強すぎて中央部分に盛大にフレアが起きているが、レンズの絞りや減光フィルターを入れることで調整できそうである。幸いにしてToRiZoの光源の強さは反射原稿の距離までしかなく(据え置き型の一般的なスキャナと比較してとても弱い)、カメラのレンズ面にまで届いて干渉するようなことはない。

スキャン結果は以下の通り。走査線の出方はまるで、1960年代の実況中継のテレビ映像のようである。手持ちのいい加減な試みでもなんとなく可能性が見えてきた。カメラとToRiZoをしっかりと一体化し、余計な光が回り込まないように遮光し、絞りやフィルターで露出を調整の上、三脚で固定して撮影すればもっとかっちりとした像を得ることができるだろう。撮像の周囲がケラれているのはその部分での光の入射角度が影響しているのだろう。光をディフューズさせればケラれが収まるかもしれないが、それには前述のリアプロジェクション用フィルムをかませると良いのかもしれないが、それでは画像が眠たくなる。ならば6x7版のフォールディング(蛇腹)カメラならもっとマシかもしれない。手提型であれば持ち運びも容易だしToRiZoとも物理的に大きさが符合する。

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Old film camera (Olympus Six) with a digital back (not the expensive one like Hasselblad CFV-50 Digital Back, but a cheap portable flatbed scanner 'Doxie Flip')
(部屋の中の掛け時計を写す)

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(ベランダに向けて写す)

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(食器棚を写す)

以上
posted by ihagee at 10:58| Scanner