2016年03月27日

Rolleiflex SL66・安価なレンズ

以前の記事でも触れたが、フォーカルプレーンシャッターで且つレンズ面を50mm繰り出せるフォーカシング機構のRolleiflex SL66ではレンズシャッター式の中判カメラでありえないレンズの選択肢がある。

以下4種類のレンズを用意してみた。

その1:
拡大鏡(レンズ直径:65mm, レンズ倍率:2.3倍、日本製・価格1,000円)

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その2:
拡大鏡(レンズ直径:60mm, レンズ倍率:2倍、キャンドゥの百均商品)

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その3:
マクロフィルターNo.4を2組(+Kenko ND-4 フィルタを組み合わせたもの)

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その4:
ジャンクのオリンパス Wide-Sからのドナー(前玉・H.Zuiko-W f=3.5cm)

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なお、これらレンズをカメラ本体に取り付けるためには以下のアダプタを組み合わせて用いた。
・M42 - Rollei SL66アダプタ(RAF CAMERA・ロシア製 eBayを介して4,000円程度で購入)
m42x1-helicoid-to-rolleiflex-sl66-adapter-65e.jpg

・M42用クランプ付きバレル(65mm内径・Printing Nikkor 150mm lens用・RAF CAMERA・ロシア製 eBayを介して4,000円程度で購入)
Rafcamera.png
・M42-46 ステップアップリング(中国製・eBayを介して400円程度)
・M46-58 ステップアップリング(日本製・ヤフオクを介して400円程度)
・中古のラバーフード

それぞれのレンズでの撮影結果はいずれアップするつもりである。

追記:
SL66のバヨネットマウント(Type VI)に対応したレンズアダプターについて、Copal No.0(取り付け穴径35mm)かNo.1(取り付け穴径42mm)のレンズを装着可能なレンズボード(アダプター)が入手可能である旨、先の記事において触れた。レンズボードなので穴にはスレッドがない。レンズボード仕様の大型カメラ用レンズには都合が良いだろうが、それ以外のレンズを装着するにはスレッドが欲しい。
そこで、探していたところロシアのRAF CAMERAというカメラアクセサリー専門店でスレッドやクランプが付いたアダプターが種々販売されているのを知った。その店のHPからも米国eBay上のショップからも注文できる。購入前に仕様について色々とメールで質問したが(英語)、店主が適切に即答してくれた。そして届いた製品もアルミの削り出しで丁寧に加工されておりSL66への装着に何も問題がなかった。ハッセルを伊達にコピーしたわけではないお国柄。ローライもお手の物だろう。SL66に限らず各種カメラの特殊なアダプターを安価に手にいれることができる。良心的な店なのでお勧めしたい。

(おわり)
posted by ihagee at 19:58| Rolleiflex SL66

2016年03月21日

名も知らぬドイツ人のアルバム

eBayのエステート・セールで写真アルバムを手に入れた。

持ち主はドイツ人のようだが名前は判らない。当人はとうに亡くなって遺品としてアルバムが処分に出されたようである。アルバムには1930年代から1960年代の写真が説明付きで貼付されていた。ベルリンの壁ができた後の写真が旧東独の街並みばかりであることから、少なくともアルバムの持ち主は第二次大戦後は東の住人であったことが推察される。

このアルバムの中で目を引いたのは客船モンテ・サルミエント号(Monte Sarmiento)航海写真である。同船は独海運会社・ハンブルク南米汽船 Hamburg Südamerikanische Dampfschifffahrts-Gesellschaft(HSDG)の客船として1924年に南米東海岸とハンブルクの間に就航。ナチス政権下、ベルリンオリンピックが開催された1936年からはフィヨルド観光の目的でノルウェー間の航路に用いられたようである。2つのダイニングルーム、大ホール、プロムナードデッキ、禁煙ルームや図書室を擁していた。

そのノルウェーの航路の様子がアルバムの写真に収められていた。モンテ・サルミエントに併走するU-ボートや絨毯爆撃によって壊滅的被害を受ける前のハンブルクなど、まさに嵐の前の不気味な静けさを感じ取ることができる。

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(モンテ・サルミエント号の芸人たち)

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(KdF (Kraft durch Freude)の客船ドイチェ(Deutsche)号を遥かにみて)

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(戦禍で廃墟となる前のハンブルク聖ニコライ教会を運河の向こうに眺める)

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(廃墟の聖ニコライ教会・1984年筆者撮影)

この写真の数年後、ノルウェーはドイツに占領される。そのフィヨルドの奥深くは客船に代わってU-ボートや戦艦ティルピッツ等、北大西洋・北極海海域のドイツ水上部隊の泊地となり、連合国軍の対ソ援助物資輸送船団(PQ船団)がその餌食となった。モンテ・サルミエント号は1939年12月に軍用船に改装され、1942年2月キール港係留中に連合軍の空爆によって被弾着底し(乗員38名が死亡)そのまま廃船となる。

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有事に防衛省が民間船を借り上げるとのニュースを耳にする。「船のみ借りるだけだと」現政権は言い繕っているが、『民間船員も戦地に』が先の戦争での実態であったことを忘れてはならない。民間商船が船員共々徴用され、米潜水艦の餌食となり、約2500隻を失い6万人以上の民間船員が海の藻屑となった。戦争で犠牲になるのは軍人でも政治家でもなく、常に民間人である。憲法の制約の下、武力に依らず戦争を回避するための外交的努力をすべき我が国が、その最高責任者からして法を勝手に恣意解釈し民間船の徴用などを軽々に口にする。嘆かわしいことである。

(おわり)
タグ:Monte Sarmiento
posted by ihagee at 20:03| 古写真

2016年03月13日

電解(還元)水素水とやら

世の中「水素」流行りである。

FCV(燃料電池自動車)を核としたバラ色の水素社会を現政権はアドバルーンのように掲げているようだ。電気自動車に比してFCVは国際標準になり得ない問題(技術面・経済面)を数多く抱えているにも拘らず、「この道しかない」の最高責任者である。その道の先が原発に代わる新たな利権・ムラ・神話の創造であればもう懲り懲り、願い下げである。

もう一つの「水素」流行りは、いわゆる「水素水」のようだ。

私が社会に出た今から30年程前は、ミネラルウォーターなどただの水にカネを払って買うという価値観は全くなかった。伊藤園の缶入り緑茶やウーロン茶が登場したのもその当時だったが、水よりは付加価値があると思って買ったものだった。水が悪い外国の旅行先ぐらいしかミネラルウォーターを買わざるを得ない状況はなかったと思う。ところが今や、ミネラルウォーター、ウォーターサーバー、浄水器は家庭の普及品となった。

水道水が不味い・臭いといった問題から、それらが普及したのではなく、水がらみの健康ブームが背景にあるようだ。そしてミネラルウォーター(天然水)やウォーターサーバー(処理水)ではもはや付加価値がないのだろうか、やがてアルカリ水が健康に良いかもしれないとして水を電気分解する<整水器>がブームとなった。そして、極めつきが胃腸症状改善の効果・効能という医薬品医療機器等法(旧薬事法)でのお墨付きを得た<電解水素水>整水器である。つまり、アルカリ水であり且つ電気分解により水素をたくさん含んでいる水が昨今の流行りである。

ゆえあって、その整水器の最大手のN社の商品(家庭用整水器)説明会に立ち会う機会を得た。ペットボトルに詰められた<電解水素水>と共にその<水>で調製した弁当を食しながら営業担当者の説明を聞く段取りである。説明の主たるところは酸化還元作用の実証で、イソジン(酸化物)にその水を加えると一瞬にして色が消え、プチトマトをその水に漬けると真水に漬けるのと比して水が黄色く濁る(つまり、トマトの表面の汚れが水に溶け出す)、漬けた後のトマトの食味が改善される等々、一見マジックショーである。いかなる作用機序によってそうなるのか疑問もあったが、学術論文やら納入実績など矢継ぎ早のセールストークに巻かれてしまった。その水の中の水素溶存量については測定器や試薬を用いた確認はなく、酸化還元作用があれば結果的に水素溶存を示したことになるということらしい。

そしてその整水器の価格が十数万円でカートリッジの年一回の交換に一万円程かかること、整水器からは<電解水素水>のみならず酸性水も処理されて出てくるので、原水の全量が<電解水素水>となる訳ではないこと(酸性水として用いない限りムダになる水が発生する)が判った。

説明会を終えてトイレに立つと、尾籠な話で恐縮だが小便が白濁して出た。そんな経験は今までなかったので説明会で散々食べたり飲んだりした<電解水素水>が我が代謝に何らか影響を及ぼしたのかもしれないと、俄かに<電解水素水>に興味を抱いたのである。

そしてネットで情報を手繰り寄せると、<水素水>の括りで途方もなく多くの商品が出回っていることに気付いた。中には炭酸清涼飲料水と同じく単に水素ガスを水に圧入した商品から、マグネシウムなど触媒を化学反応させて水素ガスを水に溶かし込む商品など、鰯の頭も信心からと思いたくなるようなモノが溢れかえっていた。

ここは百聞一見であると、鰯の頭も信心からを覚悟の上、携帯型の<電解水素水>整水器を購入した。鰯の頭と同じ程度の価格で買えるものとすれば中国製である。商品名はXIAOMAOTU(小毛兎)という。米国eBayで50ドル程度で売られている。発注して一週間もせずに商品が届いた。中文・英文併記の使用説明書は案外詳しい。そして、品物も予想外にしっかりした製品であった。

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具体的にはチタン・プラチナをメッキした電極と演出用のLEDランプ、USBコネクタ(受電部)などを組み込んだボトムに着脱可能に500mlの分厚いガラスボトルが組み合わさった形状である。外装の金属部分はステンレスでボトルのガラス以外のインナーにはTritanシリコンが使われており、水に触れる全ての素材について公的機関に於いて安全性が証明されているそうである。給電は商品に同梱されていたUSBケーブルを介して、パソコン等のUSBコネクタから行う。商品にバッテリーは搭載されていないので、ケーブルなしで単体では機能しない。つまり、USBケーブルが商品のスイッチの代わりである。使用説明書に明記されているが、電子部品が配されているボトムのUSBの差し込み口には一応シールがあるが、そこから水が入ると故障の原因となるとのことなので、商品を洗浄する際はガラスボトルをボトムから取り外して洗い、ボトムと連結した後に水を入れてボトムの内側を軽く洗浄するのが良いのかもしれない。

さっそく、そのように洗浄しパソコンからUSBケーブルで給電して作動させてみた。USBケーブルを挿すや否や、LEDランプが淡い光を放ち細かな泡がボトムから立ち上り始めた。LEDについては私の過去ブログ記事に於いて功罪を述べておきながら(「LEDは<省エネ>に非ず」)、このLEDは構わないのかと問われそうだが、LED光源を用いた「EPSON GT-X980」の記事と同様、ここはご容赦願いたい。
以下、作動状態を示す動画:



電気分解のプロセスはLEDの光の変化と同時に終わる。その間の時間は約6分であった。処理の完了した水に臭気は一切なく(同種の某日本製品ではオゾン臭があるとのことだが)、水の味は主観であるが原水と比較して口当たりが柔らかになっていた。なお、原水として用いる水にウォーターサーバー(処理水)と浄水器の水の二つを試してみたら明確な違いがあった。前者では殆ど泡が出なかったのである。おそらく、ウォーターサーバーの処理水には電気分解に必要な量のミネラルが除去されているのかもしれない。まさに、雑たるが意味を為す上では「ピュアは毒なり」である。薬局で売っている純水なら泡一つ立たないだろう。

上述のN社の高価な製品のように、電極のプラス側とマイナス側を隔てて(二槽)、電解水素水と酸性水を分離する仕組みではない。それらが混ざり合った電解水がその安価な中国製整水器から出来上がった水となる。したがって、酸素と水素が酸化作用と還元作用と共に不安定に混ざり合って存在していると思われる。pHも中性のままだろう。水素溶存量については高価な測定器を用いれば計測可能だが、そのようなモノは持っていない。メチレンブルーの試薬(滴定試薬)があるそうだが、不安定な状態の試料には不向きだそうだ。イソジン(酸化還元作用の確認)も同じようである。この商品の電極板は使い続けるうちにいずれカルシウム等が付着して泡の立ち方が悪くなるだろう。クエン酸で洗うと良いそうなのでそうなったら試してみるつもりである。

この水を飲んでそれなりに気分は良い。飼っている老齢のセキセイインコにも与えたが、ゴクゴクと美味そうに飲むところを見るとまんざら悪い水でもなさそうである。ついでに花瓶の水も取り替えた。信じる者は救われる程度に眉に唾して受け止めることにしたい。

追記:
先日、「水素水」について独立行政法人 国民生活センターから「活性酸素の一種を抑制する水をつくるとうたった装置−飲用による効果を表したものではありません」と発表があった。「人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」ということだ。

上述の大手N社の十数万円の商品や安物の小毛兎も<電解(還元)水素水>としては「人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」の範疇だろう。電気分解水機器で作られる<アルカリイオン水>について「(人体への)効果を期待するには現実的ではない」とその国民生活センターの報告(平成4年)をきっかけに、<アルカリイオン水>が科学的装いを伴って<電解水素水>と業界で言い換えられてきた経緯を考えると、国民生活センターが再度そんな言い換え商品の<電解(還元)水素水>にも駄目押しをした形になる。

N社の商品(家庭用整水器)説明会は今思い出すと、「人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」とは反対の「関連付け」を示唆する内容であった。ストレス・煙草、飲酒、果ては放射能といった文言がゾロゾロとスクリーンに映し出されていたからである。N社の社員はその整水器のおかげで医療費がかからない(健康である)旨、数値を出して説明していたが、これなども「関連付け」に思えてくる。そしてその「関連」の機序も<アルカリイオン水>によるものなのか<電解水素水>によるものなのか、模糊として解らなかった。

N社の説明によると、その<整水器>は1966年に旧厚生省から家庭用医療機器として承認され、現在は医薬品医療機器等法(旧薬事法)において胃腸症状改善の効果・効能が認められている旨、飲用水生成器では唯一効果・効能が認められている機器で、その使用目的は「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」とある。つまり、<アルカリ性電解水>として<胃腸症状改善>をその効果・効能として説明するのが限界であって、<電解水素水>もひっくるめて上述のような「人体への効果と関連付け」を示唆することは、業者側(又は業界団体)の都合解釈でしかないように思える。実際、業界団体の説明では「水素の形態や生体内の活性酸素に対してどのように作用するかなどについては未だ明確な結論に至っておらず」とある。明確な結論に至っていないにも関わらず、家庭用電解水素整水器が「人体への効果と関連付け」を示唆して売られているのであろう。

US50$の小毛兎の価値は電飾程度と諦めもつくが、N社の十数万円の商品価値はアルカリイオン水としての料理面での一定の効果(弱酸性物質はアルカリ性にするとイオン化するので水溶性が増大し、昆布の旨味成分がダシ汁に出やすくなる)程度しかないのか?いずれその使用者が溜息をつくような結果が国民生活センターから報告されるかもしれない。

前述の白濁した小便も昆布のダシ汁と同じだとすれば、今となっては我が身がダシ殻になった気分である。

(おわり)
posted by ihagee at 17:28| 電解水素水, 還元水素水