2017年10月15日

招き猫の誘惑



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(大内宿・2001年撮影)


「ちょっとお寄りなさいよ」と招き手は客商売では猫になって繁盛の象徴。

招き手でころりと客を参らせる猫はフィルムカメラの世界にもいる。人呼んで「招き猫型カメラ」 Tenax 1である。参るのは男性よりも女性の方が多いとも聞く。(『フィルムカメラのススメ「OLYMPUS PEN F編 & TAXONA編」』レポート

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この招き猫を作ったのは泣く子も黙る独ツァイス・イコンで且つ「ましかく写真(24mm x 24mm)」が撮れるとあってはこれは招かれないわけにはいかない。ましかく写真については拙稿「ましかくプリント」と『「チェキ」の横恋慕』でも触れた。中判(120)フィルムでは当たり前のフォーマットも、35mmフィルムでは当たり前ではない。

招き手に当たる部分はシャッターチャージ・フィルム送り・フィルムカウンターと連動している。その手の先もくるりと手の裏を返す芸当をするという。大きさはタバコの箱より少し大きい程度、かの35mmハーフ・フォーマットのオリンパス・ペンと勝負できる小ささという。

1930年台に製造を始め第二次大戦のドレスデン爆撃で工場が破壊されて製造中止、戦後は東独に別れたVEB ツァイス(ドレスデン)で製造が再開される経緯は、同じドレスデンのIhagee ExaktaのKine Exaktaと同じだろう。

「ましかく」は構図を決めやすいことは中判カメラで6x6フォーマットが主流であることからも明らかだろう。35mmフィルムにおいてはコマ数を稼げる。画質や構図を犠牲にしてまでコマ数を稼ぐハーフ版よりも合理的だと個人的には思うがなぜか35mmフィルムカメラではマイノリティのまま、インスタントのチェキのinstax SQUARE SQ10で息を吹き返したということだ。

さて、その招き手で「こっちこっち」と私を招いたのは以下の猫だった。

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eBayでポーランドから出品されていた戦後生まれの東独(VEB)の猫で、写真にある通りフィルターと革ケースが付属している。招き手の決め手はレンズでテッサー37.5mmF3.5(標準はノバー35mmF3.5)。ツァイスにとってテッサーレンズは泣く子も黙らせる三つ葉葵の紋のようなもので、これにはころっとこないわけにはいかない。所有するKine Exacta(戦後モデル)もテッサー 50mmF3.5である。一説にはドレスデン爆撃で罹災を免れたストックにテッサー型のレンズがあって、戦後モデルに一時期利用されたそうだ。

なお、この猫には共通の欠点がある。それは巻き上げ側のフィルム・スプール。ポーランドの猫にはオリジナルのスプールが付いているそうだが写真では確認していない。スプールは固定されていないのでオリジナルのスプールを紛失すると適当にそこらへんのスプールを代用することになるが、これが大事故の元らしい。

兄弟猫であるTaxona(1953年製造開始)での大事故の模様は以下の通り。



スプールについては対処法がネットで様々報告されているのでどうにかなりそうである(「TAXONA のスプールを作ろう」「taxona到着」)。ちなみにTenax 1もTaxonaも構造は同じ。

したがって、ポーランドの猫に我が家に来てもらうことにした。

すでにモノクロームでは巷で「なんじゃこりゃ!? すげぇ!!!」と猫に歓声があがっているようだ。

到着次第、あらためて報告したい。

(おわり)





posted by ihagee at 00:06| VEB Zeiss Ikon Tenax 1

2017年10月14日

Voigtländer Superb 顛末記 - その14



Voigtländer Superb (Skopar 75mm F/3.5)については、前回ブログ記事で接写用補助レンズについて触れた。今が盛りのコスモスで試写してみたいと思う。

1933年(昭和8年)製の84歳のカメラ。一昨年死んだ母と同い年ゆえに少し感慨がある。油絵を趣味にしていた母は、絵の仲間と新宿で集うことが多かった。新宿を見たいというので先週の土曜日(9月30日)に連れ出した(フィルム:Kodak Kodak TRI-X 400 & Y-filter)。

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(母の油絵)


世界堂で画材を集め伊勢丹の画廊の先生の個展に顔を出し、仲間とレストランで食事をしたりしていた。あれから少し街並みが変わったよと見せてやりたくなった。晩年脚を悪くしたので代わりに少し歩き回った。

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ビルの足元から上を見上げて一枚。そういえば、青児の絵が飾ってある自由が丘のモンブランでよくお茶してたね。

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一つ目の巨人(キュクロープス)が真向かいに建っているね。

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新宿文化センターの周辺も変わったよ。

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NTTドコモ代々木ビル

このビルは見ていたかもしれないけど、周辺は2020東京五輪に向けて再開発中らしいね。

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さて、帰るとしますか母さん。お疲れ様でした。

(おわり)







posted by ihagee at 22:05| Voigtländer Superb

2017年10月12日

コスモスの咲く散歩道での作例(Schneider-Kreuznach TELE-XENAR 135mm/F3.5)



コスモスが花盛りとなった。自宅からほど近い「コスモスの咲く散歩道」を訪れた(10月7日)。
新河岸川の木染橋付近から上流へ1キロメートル近く、サイクリングコースに沿ってコスモスの花が咲き「コスモス街道」の愛称で親しまれ、地元町会・寺下商店街と花好き有志のコスモス会の人々が種まきや除草作業に精を出して育てている。国指定史跡・水子貝塚公園の近傍でもある。

このあたりはのどかな田園風景が点在して楽しい。「コスモスの咲く散歩道」も川岸の一段高い土手沿いにあって周りは開けているので、空を背景にコスモスが風に揺れている。

フィルム撮影も試みた。いつもの虫眼鏡レンズではなく真っ当にExaktaマウントのSchneider-Kreuznach TELE-XENAR 135mm/F3.5(PLフィルター共)をコネクターを介してCanon AL-1に搭載しFujicolor100にて撮影した。

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(右:Schneiderレンズ、尚カメラはExakta RTL-1000)


まずはデジタルカメラ(Casio EXILIM EX-ZR10)で状況撮影。

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次にフィルム撮影(レンズ側の自動絞り込み機構はCanonとの組み合わせでは利かないので、開放でピントを合わせてからマニュアルで絞り込んで撮影した / スキャナー: EPSON GT-X980):

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デジカメには素っ気ない花々もフィルムだとかしこまって収まっている。気品とか雰囲気をフィルムは何気に写し取っているように思える(拙稿『フィルムは「化け物」なり』)。

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翌日も好天だったので、Voigtländer Superb (Skopar 75mm F/3.5)とクローズアップレンズを持ってモノクローム(フィルム:Kodak Kodak TRI-X 400 & Y-filter)で撮影を試みた(近日、結果報告)。

その時の状況写真(デジタル撮影):

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畑の傍にモノクロームで撮影すると絵になりそうなものを見つけた。

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地元の人々が花の落ちた花芯からタネを集めて来年の播種に備えていた。

(おわり)

追記:衆院選挙戦・序盤マスコミの調査だと自民圧勝だそうだ。その調査によると改憲勢力(改憲どころか自主憲法成立勢力となる)が2/3を占めるという。信じられない。投票前の各種動静調査は有権者の投票行動に無用なバイアスを与えることになるから一切やめるべきだ(政見放送だけで結構)。個人がそれぞれの判断で一票を投じるべきで、その判断をマスコミや与党が括りあげて言うことは至極問題がある
自民に投票する国民は議論なき政治・対話なき政治が良いのであろうか?スマホで暇に明かしてゲームをやっている諸君。無思考を自ら習慣化してはダメだ。指先の脊髄反射だけで生きているとその先にいかなる将来が到来するか、高神覚昇氏の以下著作を読んで学んでもらいたい。大日本主義(小乗主義)がもたらす戦争をわれわれは歴史として知っている。その大日本主義にひた走るのが現安倍政権である。真っ先に戦場に送り込まれるのは<心に拠点のない人々>である。
心に拠点を求めよ

posted by ihagee at 03:05| Schneider-Kreuznach